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銀河伝説 (新たなる旅立ちの後) Ⅰ

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  「そんなこんなで金星に行くまですったもんだですよ。携帯にしょっちゅう着信が
   あってメールも5分置き…。訓練してるのか?って思うほど異常なまでに北野に執着
   して来たんです。北野も寮に戻って部屋の電気をつけるとすぐに携帯が鳴るので
   私の部屋に簡易ベッドを置いて泊まってるんです。」

深々とため息をつく太助

  「大変ね。」

ユキも大きくため息をつく。

  「しばらく地球を離れたせいかストーカー行為はなくなりましたが…。」(北野)
  「でも軽い気持ちで付き合い始めたのはお互い様でしょ?だったら北野くんにも責任
   あるわよね?私はどっちの気持ちもわからないけど彼女だけを責めることもできない
   気がするわ。軽い気持ちで付き合い始めたかもしれないけど彼女気付いたら真剣に
   なっちゃってたのかもしれないし。だからってウソを広めちゃいけないけど今
   キチンと話したほうがいいと思うわ。なぜ北野くんがパイロットに進路変更したのか
   も含めて。それを理解してくれないかもしれないけどちゃんと話すべきよ。」(ユキ)
  「でも森さん、話してわかる相手じゃない場合もあるじゃないですか。」(北野)
  「感情的になってしまう子とわかっているならお互い一番仲のいい友人を同席して話し
   たらどう?第三者がいたら多分冷静に話もできるし後から言った言わないって事も
   起きないだろうし。」(ユキ)
  「それ、いいですね。北野そんときゃ俺が同席してやるからな。」(太助)
  「あぁ、頼むよ。あいつと話すと疲れるから。」(北野)
  「北野くん負けちゃうの?」(ユキ)
  「こいつ感情的になる女に弱いんですよ。女系の家族で姉がふたりいるらしいンですが
   口喧嘩で勝ったこと一度もないそうです。」(太助)
  「女性に口喧嘩で敵うことは一生ないと思うわ。」

ユキがクスクス笑う。

  「やっぱりそうですか。」

北野が肩を落とす。

  「でもきっと北野くんだけを大切に思ってくれる人必ず現れるわよ。まだ若いし
   ゆっくりでいいじゃない?パイロットの北野くんが好き!って言ってくれる人絶対出て
   くるだろうしその前に北野くんがこの人!って人を見つけるかも知れないじゃない?」

ユキがにっこり笑う。

  「私みたいに絶望の戦いから人生が変わる人だっているんですもの。大丈夫よ。
   きっとステキな出会いがあるわ。これは北野くんだけじゃなくて徳川くんもよ?
   軍関係だとどうしても出会いが限られちゃうから大変かもしれないけど…お互いの
   仕事をよくわかっているっていう点では利点かもしれないわ。」

ユキがふたりを交互に見て言う。

  「…さっそく時間を作ってもらうよう話してみます。」

北野が太助に今夜空いてるか?と聞き出し始めたところでユキはトレイをもって立ち上がる。

  「私はそろそろ戻らないと…じゃぁちゃんとその後のことを報告してね。」

北野と太助が「「ありがとうござました。」」と立ち上がり敬礼するとユキは笑顔で食堂を出て行った。


















  「…へぇ…そんなことがあったんだ。」

少し息を切らせたユキがいる場所はドッグだ。

  「ヒトにはいろんな恋愛があるんだなって思っちゃった。でもそんな時イヤな自分も
   見ちゃうのよね。」(ユキ)
  「イヤな自分?」(進)
  「そう。」(ユキ)
  「どんな?」(進)
  「人と比べて自分がどれだけ幸せなのかって思っちゃうこと。好きな人が自分の事を
   好きになってくれるってすごいことだって思うの。なんだかすごい上から目線
   じゃない?それって…。」

最後の方の声はかなり小さい。

  「でもそれってユキが〝幸せ”って思ってることなんだろう?それを聞く俺がすっごい
   幸せになるからそれはそれでいいと思うけどなぁ。」

進が幸せそうに笑う。

  (そうだ…最初の航海の時古代くんはこんなふうに笑うこと絶対なかったっけ…)

進の年相応の笑顔を見て安心するユキがいた。

  「さて…そろそろ出港の準備が出来る頃だ。じゃぁユキ、行ってくる。」

艦の影に隠れるように触れる程度のキスを交わす。進はパトロール艇の艇長で一時的にドッグに戻ってきただけでドッグの滞在時間は10分程度。ユキはそこにお昼休憩を合わせドッグまで走ってきたのだった。心残りだが進はギュっとユキを抱きしめると敬礼しパトロール艇に乗り込んだ。その姿を見てユキもドッグを離れる。離陸を待たずユキは仕事へ戻っていった。