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銀河伝説 (新たなる旅立ちの後) Ⅱ

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左の肩が疼く…体が動かない。私は一体どうしたんだろう…

何度か意識が浮上しそうになるがその度に深い眠りに引き込まれる…

  (私はどこにいるの?古代くんはどこにいるの?)












  (美しい…この体を王女に献体したらどうだろうか…)

ユキを撃った男はターミナルに残されたユキを見つめた。

  「…ガリアデスへ運べ。」

男が指示を出すとそこにいた兵士が

  「オンナハ全テ収容所ニ運ベト指令ガ出テイル。」

と反論した。

  「この女を王女に使う。」

男がそう言うと兵士は納得した様子でそのまま担ぎ上げようとした。

  「待て…手荒に扱うな…仮にも王女の体になるかもしれないのだ。」
  「ワカリマシタ」

兵士はそう返事をすると腕に仕組まれた通信機能を使いタンカをもってくるよう指示を出した。








  「完治まで1ヶ月でしょうか。」

白衣を着た男がユキの体を診察して答える。

  「かなりの高さから落ちていますね。地球人は骨が弱い。我々のような鋼鉄の体では
   ないから当然なのだが。両足は複雑骨折で腰骨もやられてます。背骨も一部損傷
   していますし肋骨が肺を傷つけています。撃たれた左肩もかなり重傷…完治まで
   かなり時間を要します。ベッドの上で動けるようになるまで2週間ぐらい必要
   でしょうか。我々の医療技術なら簡単な事です。ただ鋼鉄ではないので治療した
   骨と筋肉がしっかり動くまで時間がかかるでしょう。その間は痛みもひどいので
   2週間は眠らせて自然治癒能力を上げる方法を取ります。我々のクローン用の
   羊水の中で眠らせます。」

ユキは麻酔を施され羊水の成分の中で眠らされていた。肺に直接酸素が送られているので全く苦しさはない。

  「手術の準備ができるまでこの羊水の中で眠ってもらいます。(時計を見ながら)
   30分ほどすれば整うか…少尉はこの女を王女へと?」(白衣の男)
  「そうだ。できれば…脳の移植でと考えたのだ。この女は若く美しい。」

アルフォンと呼ばれた男は白衣の男を見た。

  「それもひとつの手として考えます。では私も手術の準備に入ります。我々の体の
   修理とは違うので…。」

白衣の男はそう言うとアルフォンと別れ別の部屋に入っていった。











どれぐらいの時間がたっただろう…兵士が来て"少尉の館が決まったのでそちらへ移動してください"と言われるまで手術室の前で待っていたがまだ終わりそうにないので新しく用意されたアルフォン邸にやってきた。





  「まぁまぁの部屋だな。」

小高い丘の上に立つ広い邸宅に入るとアルフォンは満足そうにソファーに座った。

  「地球か…なんて若々しい星なのだ。」

地球を制圧したので辺りは静かだ。戦いの炎も落ち着き電気のついている部屋がないので真っ暗だった。

  「星がよく見える…美しい夜空だ。」

その空の先にオレンジ色に光る重核子爆弾が見える。

  「聖総統様がスイッチひとつ入れれば…この星も健康なからだも手に入る…。」

アルフォンは満足そうにいつまでも星を眺めていた。









  "あの女の資料が手に入った"

アルフォンの元に連絡が入った。アルフォンは直接脳に響く声を聞いて端末を開く。

  「モリユキ…と言うのか。」

ユキの制服の中から身分証明書のカードを抜き取り軍の情報を入手したものをアルフォンに転送してきた。アルフォンはそれをゆっくり読みすばらしい献体になりそうだと満足そうに頷く。

  「これ以上ない最高の献体だ。これは我が母星の最先端の治療を施したい。」

アルフォンは手術中の医師へ<絶対傷を残さないように治療せよ>と命令した
















からだが…燃えるように熱い…

9時間に及ぶ大手術を終えたユキは再び羊水の中に浮かんでいた。しかし体は無理な治療で高熱を出していた。白衣の男は手術後もユキにずっと付いて容態が急変しないよう細心の注意を払っていた。術後3日経つとすこしずつ熱が下がり始め2週間ほど経つと随分容態が落ち着いてきた。

  「私の邸宅へ移す。」

まだ意識のないユキをアルフォン邸に移動させると言い出した。白衣の男は納得しない。

  「熱が落ち着いたとはいえ意識を戻すレベルではない。」

白衣の男は反対したが

  「起きた時にこの無機質なガリアデスの医務室より私の所がいいはずだ。心配なら
   お前がついてこい。」

少尉であるアルフォンにそう命令口調で言われてしまうと白衣の男は軍関係の医師。仕方なくユキの移動の準備を始めた。










ユキの手術が終わり高熱が続き容態が落ち着かない頃アルフォンの元に"ヤマトが我々の母星へ向かっている"と連絡が入った。高速連絡艇を撃破しなかった占領軍の詰めの甘さを頭の中で指摘したが自分は情報将校…分野が違うとその事を頭の中から締め出した。