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銀河伝説 (新たなる旅立ちの後) Ⅱ

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  「アルフォン少尉…噂で地球のかなり重要な女を囲ってるらしいな。」

重核子爆弾の中でデザリアム側はすることがなく地球防衛軍の資料をチェックしていた。

  「モリユキの事か?」(アルフォン)
  「そうだ…とても美しいと聞いた。それを囲ってどうするつもりだ?」

同じ位の少尉が尋ねた。

  「王女に献体するつもりだ。」

アルフォンはヤマトの資料に目を通している。

  「ほぅ…そうか。お前は王女のお気に入りだからな…」

少尉がなにか含めるような言い方をしたので

  「勝手に想像していればいい…それよりヤマトは拿捕できそうなのか?」(アルフォン)
  「火星の先でワープアウトの反応が出た後でカザン殿が出撃したから追いつくには
   かなりの時間を要するのではないかと言われている。」

少尉が面白くなさそうに口を開く。

  「そうか。」

アルフォンは戦艦一隻でイスカンダルを救うために戦った艦を一目見てみたいと思いながら端末の中のヤマトを眺める。

  (美しい艦だ…地球はなにもかも美しく作られているのだろうか?)

アルフォンはユキの美しい体を思い出していた。














  「モリユキが目覚めそうです。」

アルフォンが帰宅すると医師が嬉しそうに告げる。

  「まだ我々が肉体を使っていた時のデーターが生かされました。痕もほとんどない。
   予定の2週間を過ぎてしまったが先ほど羊水から上げて呼吸器も外しました。苦し
   そうな表情もないので大丈夫でしょう。後は自然と意識が戻るのを待つだけです。」

医師はそう告げると"それではまた明日"と言って用意された部屋に戻っていった。アルフォンはその姿を見てユキのいる部屋へ入っていった。そこには衛兵がひとりいたがアルフォンが部屋に入ると静かに部屋を出ていく。

  「11号。」

アルフォンが声をかけるとその衛兵は戻ってきた。

  「庭に咲いている花を摘んでこれに水を入れて活けてこい。」

この邸宅を占領した時に置いてあった花瓶を11号に手渡すと11号はそのまま部屋を出て行った。

  「まだ…目覚めないのか。」

アルフォンはグローブを外しそっとユキの頬を撫でる。

  「なんて瑞々しい肌なのだ…」

ヤマトを殲滅し完全にパルチザンを一掃したら地球人の脳とデザリアム人の脳を入れ替える準備を始める予定になっている。

  「モリユキは死に…王女として生まれ変わるのだ…。」

アルフォンが呟くとユキの眉間に皺が寄った。

  「聞こえるのか?まさかな…」

ふたたびユキの頬を撫でる。相変わらず規則正しい寝息が聞こえるだけだ。そこへ先ほどの衛兵が花瓶を抱えて戻ってきた。

  「ご苦労だった…私は休む。」

11号は花瓶を出窓に置くとアルフォンを見送った。



















  「こ…こだ…い……く…ん………ま…っ……て……」

翌朝アルフォンは重核子爆弾に向かう前にユキの部屋に来ていた。昨日は静かに眠っていたのに今日は苦しそうになにか訴えているように見える。耳を澄ますと苦しい息の中で何か話している。

  「こだ…い…く…ん…どこ…?」

まだ身動き取れないのでうなされると衛兵がそっと体勢を替える。それすら苦しそうに肩で息をする。仰向けから少し右を下にして横向きにしたので衛兵が背中にクッションを置いてやる。

  「随分慣れた手つきだな。」

アルフォンが感心して11号に呟くと11号は静かに頷く。そして流れる汗を拭いてやるのだった。

  「今日も一日頼む。私は出かけてくる。」

そう11号に声をかけると11号はアルフォンに向かいテレパシーで"イッテラッシャイマセ"と声をかけた。