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銀河伝説 (新たなる旅立ちの後) Ⅱ

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ユキは走り続けていた。




地球防衛軍のビルを出て有人基地を目指して走っているのに全然たどり着かない。いつも車で移動している道だからよくわかっているのに全然進まない…まるで足が宙に浮いているようでしっかり地面に足がついている感じがない。



古代くんが戻ってくるの…そこに来るの。無事でいて…



辺りのビルは崩壊し時々敵の戦闘機がビルをかすめるようにギリギリを飛びゲームのように動いているものを標的にしている。いつ自分がロックオンされるか…細い路地を通り有人基地を目指す。

やっと有人基地が見えたところで突然目の前に敵の戦車が現れた。そしてその戦車の先には進がいる。戦車はユキより先に進に標的を合わせた…



  「こだいくん!」

夢の中でユキが叫んだ。と、その時戦車の砲が180度旋回しユキ目掛けて火を噴いた…










……こだいくん…

アルフォンはユキの部屋に居た。うなされるユキの美しい肌を見つめていると荒い息のなかそう聞こえた気がした。
















アルフォンはヤマトの資料を見ていた。そこでクルーの一人の名前をじっと見つめた。

 「古代 進(Susumu Kodai)… 宇宙戦艦ヤマト第一艦橋勤務・艦長代理兼戦闘班長」

そしてこの名前がユキが呼び続けている名前と気付いた。

  (モリユキとどんな関係なのだ?)

アルフォンは気になり他の資料を読む。一日ヤマトに関する資料を読んだ結果コダイススムとモリユキは結婚間近で婚約発表も済ませていることも知った。

  (あの脱出の際…モリユキを引き上げようとしていたのがコダイススムか?)

 「森 雪(Yuki Mori)…宇宙戦艦ヤマト第一艦橋勤務・レーダー担当兼看護士生活班長」

ユキは所持していた身分証明書から地球防衛軍長官秘書ということがわかっている。

  (かなりの重要人物のようだな)

何かしらヤマトの情報が入手できるかも知れないと思ったが秘書を務めるほどの人間が簡単に情報を漏らすとは思えない…

アルフォンは静かに重核子爆弾をでてアルフォン邸に戻った。























  
  「…まだ…動いてはいけない。」

静かな…落ち着いた声が聞こえてきた。夢の中で戦車から砲撃を受けたと思った瞬間目が覚めて…死んだと思ったのにそこは真っ白は部屋だった。最初目の焦点が合わず"誰かがいる"のはわかったが肌の色が違う男が部屋に居た。ユキは驚いて起き上がった瞬間左肩に激痛を感じベッドに崩れた。

  (出力最大で撃った…肩がもげてもおかしくないほどの重傷だ…)





表面のけがはほとんどないが内部の組織はまだ元に戻っていない。激しい痛みを体中で感じながらそれでもモリユキは自分のことではなく自分の仲間の無事を聞いてきた。





なぜ自分以外のことで涙が流せるのか




不思議な民族だとアルフォンは思った。生き残るために…戦うためになんでも実行してきたデザリアムの民だったら「自分が生きててよかった。」と思うはずだ。それなのにモリユキは高速連絡艇に生命反応がなかったことを伝えると声を上げて泣き出したのだ。さっきまで強い瞳で自分のことを睨んでいたのに…



面白い民族だとアルフォンは思いヤマトが我が母星に向かっていることはユキに教えないままにした。








アルフォンが部屋を出ると衛兵が近付いてきた。

  「包帯を取り替える。」

ユキは身構えたが

  「動いたから包帯がずれてしまった。汗もかいた。」

と言ったのでユキは従うことにした。肌を見せることに抵抗があったがかなり痛みがあったのでおとなしく従うことにした。

  「今までもずっとあなたが私を看てくれていたの?」

ユキが話しかける。

  「はい。」

そう短く答え手を動かす。すべての包帯が取れると痛みを和らげるために当ててある分厚いガーゼを外した。少し赤みがあるが銃痕も術痕もない。ひどい銃痕があるはずなのに多少の赤みしかない傷口を見てユキが驚いた。

  「なぜ…でも痛みはある…。」

ユキがつぶやくように言うと

  「痕が残らないようオペをした。明日オペをしたドクターが直接説明する。」

包帯を巻き終わるとユキの腕に点滴をしようとしたので

  「…やめて。」

ユキが小さな声でつぶやいた。

  「痛み止め。」(衛兵)
  「がまんできるわ。」

本当は今まで感じたことのない痛みだったが進が死んだと知った後なので"古代くんはもっと苦しんだかも知れない"と思うと耐えられると思ったのだ。

  「話さないほうがいい。体はムリだと訴えてる。」

衛兵はそう言いながら点滴の準備をやめた。

  「…ありがとう。」

そう言いながら痛みで汗が吹き出るのが分かる。

  「治りが遅くなる。」

衛兵はそう言うと静かにイスに座った。