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銀河伝説 (新たなる旅立ちの後) Ⅱ

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ユキが思ったことを素直に口にする。

  「今は余計な事を考えず体を治す事だけ考えよ。」

アルフォンはそれだけを告げると衛兵に視線を向けると衛兵が敬礼をした。アルフォンはそれを見てユキの部屋を出ていった。

  (結局何もわからないじゃない…けどこの状態じゃ動けない…)

すでに骨折した部分は彼らの治療によって治っているがまだ"骨折が治っただけで歩ける状態ではない"との見解だ。




  (この体…以前のように戻るのかしら…)

ユキの不安は大きくなるばかりだった









  (なんて強い意志を持った美しい瞳なんだ…)

最初はユキの美しさに魅入ってしまったが目が覚めてからはあの美しい瞳に吸い込まれそうになってしまう自分に気付く。







  「アルフォン少尉、ローダ王女がお呼びです。」

護衛兵がアルフォンの部屋の扉を叩いて知らせる。

  「すぐに向かう。」

アルフォンはそう短く答えるとすぐに部屋を出てガリアデスに向かった。






  「お呼びでしょうか。」

王女は疲れた様子でアルフォンを出迎えた。

  「最近忙しいのですか?ここに来てくれなくなりましたわね。」(王女)
  「すみません、調べ物が多く…。」

アルフォンがソファーにもたれかかるように座っている王女へ近付く。

  「体の調子が悪くて…ごめんなさいね。こんな格好で…。」(王女)
  「いえ、お気になさらず楽な格好で…。」(アルフォン)
  「私に献体があると聞きました。本当ですの?」(王女)
  「はい。何体か候補を上げております。そのうちの1体はけがの治療中です。」

アルフォンがそう答えると

  「そう…ケガを治してまで私にという事はすばらしい肉体ということなの?」(王女)
  「はい。あなた様はデザリアムを背負う方。美しさも兼ね備えねばなりません。」

アルフォンの言葉に王女が嬉しそうに続ける。

  「まぁ…アルフォンがそう言うなんて…とても美しいという事ね。あなたもそれを
   美しいと思っているのね?」(王女)
  「はい。」(アルフォン)
  「あなたは…その体を愛することができそう?」(王女)
  「それは…どう言う?」(アルフォン)
  「私…父にお願いしましたの。私の体がヒトになったらアルフォンと結婚したいと。」

アルフォンは静かに王女を見る。

  「父はサーダと共にまだデザリアムにいるわ。もし私に何かがあればサーダを私の
   後継者とするでしょう。サーダを作るために私の体は限界を超えてしまった…
   私と同じクローンを作る完璧な細胞はない。だけど私は生きたい…アルフォンと
   一緒に生きて行きたいの。父も許してくれたわ。私がその献体でヒトになれたら
   次はあなたの番よ。あなたも献体を得てヒトになり私と一生を共にするの。」

疲れきった体だがもうすぐこの言うことを利かない体とお別れだと思うと嬉しいのかいつもより顔色がいい。

  「私と一緒になれること…喜んでくださらないのかしら?」

王女が訝しげにアルフォンを見る。

  「いえ…突然だったので驚いてしまって…とても光栄な事です。しかし私のような
   少尉というまだ低い身分の者が…ローダ様は私でよろしいのでしょうか?」

アルフォンが少し遜るように伺う。

  「地球を得るために作戦を練ったと聞きました。この重核子爆弾もあなたの提案と
   聞いています。この奇襲攻撃でこちらはほぼ傷を負う事なく地球を占領できたと。
   地球の民族を全て処分した暁には大尉として昇進させると父も申しておりました。
   その褒美として私を…。」

アルフォンはユキに出会うまで王女が一番美しいと思っていた。この王女を守るためになんでもすると心に誓っていた…が…

  「身に余る光栄でございます。今しばらく…お待ちくださいませ。必ずやローダ様に
   地球人の中でも最高の体をお届けいたしますので…。」

アルフォンはそう告げると敬礼をし王女の部屋を辞した










  (おかしい…)

王女の顔を見ていてもアルフォンの脳裏にユキの顔が浮かんでしまう。

  (私はローダ様のためにここへ来た。)

そう思い込ませるがあの瑞々しい体とあの強い意志を持った美しい瞳が脳裏から離れない…そしてアルフォンの心に今までと違う感情が芽生え始めた。

  (この計画が上手く遂行していけばモリユキの体は私のものになる…)

その気持ちに気付いたときアルフォンは自分の心の中に王女ではなくユキがいる事に気付いた。しかし地球を我がデザリアムのものとしユキの体に王女が入ったらそれはユキではなくなる。あの強い意志を持った美しい瞳は見られないだろうと察しが付く。


アルフォンは自分の館に向かいながら大きなため息を付いた