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銀河伝説 (新たなる旅立ちの後) Ⅲ

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ユキはアルフォン邸を出て山を下る。

  (私を攻撃してくるのだ…その時こそ本当の事を話すよ。)

ユキは走りながら考えていた。

  (本当のことって何?)

舗装されていない道路はヒールで走るには辛すぎる…が一刻も早くパルチザンと合流しなくては…ユキは悪路を走りながら周りの風景を見る。

  (ここだったのね…ちょっと運がよかったかしら。)

小高い丘の上にあったアルフォン邸の道を下ると軍の私有地に繋がっている。そこは再開発地エリアに指定されたが白色彗星の襲来でその計画が頓挫してしまった。再開発で一般住宅が建てられる予定だったがその前に再開発のための調査団が建てた建物があちこち分散している。計画が頓挫したため今は廃墟同然だがその入口が地下の地球防衛軍とつながっている。これは軍の一部の人間しか知らない。
 
  (万一のための秘密通路が役に立ちそうね。)

ユキは山を下りながら何度か休憩を取った。尾行がないか確認するためだ。アルフォン邸から脱出する時もすんなり出ることができたので反対に心配になり一度逆方向へ向かったほどだ。

  (靴にGPSとか付いてないわよね?)

かかとに何か仕掛けられていてもおかしくないと思い大きな石でかかとをつぶした。

  (もともと走りにくかったのに余計走りにくくなっちゃった。)

そんなことを思いながらできるだけアルフォンのことは考えないようにしようと必死に走る。

  (長官…ご無事でいてください。)

一刻も早くパルチサンと合流したかったが随分回り道をしたので時間がかかってしまったがユキはやっと地下の地球防衛軍へ戻ることができた。







  「ユキだ!」
  「森ユキだ!」
  「生きていたのか!」



ユキの登場に誰もが驚く。ユキにもその驚く声が聞こえたが慣れた道を走り長官のいる場所へ急ぐ。




  「ユキ!」

長官が驚きの表情でユキを見る。ユキはそこで今地下で遂行中の計画を知った。今まで戦っていたのに何もしないと却って怪しまれると思い重核子爆弾のそばにはアンドロイドを配置し定期的に銃撃戦をしていること、その間に地下にトンネルを堀りバリヤーの内側に入り込み重核子爆弾そのものを占領しようという計画を聞いた。ユキはすぐに掘削作業に参加すると申し出た。

  「女性の体で…無理だ。私は老体を理由に断られてしまったが…。」(藤堂)
  「リヤカーでジャリを運んだりするぐらいならできます。」

ユキはそう言うと"着替えてきます"と言って作戦司令室を出ていった。



  (確か倉庫にパンツタイプの制服があったはず…)

ユキは備品がある倉庫へ向かい角膜認証とパスワードを入力して室内に入った。そしてまず工作班が現場で使用するブーツタイプの安全靴を探しパンツタイプの制服に着替える。長期戦になるかもしれないと思いサイズの合う制服を5枚とシャツ、スカーフを持って倉庫を出た。








  「ユキ…話がある。」

パンツスタイルに着替え作業に向かおうとするユキに藤堂が声をかけた。

  「ヤマトの事だが…」

ユキは長官の口からヤマトという言葉が出たので驚いた。

  「高速連絡艇は無事イカルスにたどり着き真田くんと合流し敵母星へ向かった。
   真田くんがコントロールシステムは敵母星にあるはずだと断言しそれを我々は
   信じた。一度しか通信していないから今どこへ向かっているか全く不明だが
   おそらく彼らの事だ無事敵母星にたどり着き目的を達してくれるだろう。」

藤堂の話を聞きながらユキは涙が溢れてきた。

  「…ユキ?どうしたのだ?」

藤堂が焦って尋ねる。

  「わ…わたしは…高速連絡艇に生命反応がなかった…と敵の将校から聞きました。
   まさか…古代くんたちが生きているなんて…長官、それは本当ですか?」

ユキの思いつめていた表情がぱっと明るくなった。

  「あぁ、本当だ。反対に古代からユキの消息を聞かれたよ。行方不明だと伝えたが…
   ヤマトは山南くんを艦長に敵母星へ向かっている。ヤマトの事だ。必ず目標を
   達成し無事地球に戻ってくるだろう。」

ユキは溢れる涙をそっと拭いて決意を新たにした。

  「ヤマトが…戦っている。私も一緒に戦いたい。…長官、行ってまいります。」

ユキは敬礼し藤堂にそう告げると掘削作業へ向かった。









  (キツ…)

ケガが治ったばかりの体の上に肉体労働などしたことのない体…掘削作業はその細い体にかなり響いた。革手をしているのにすぐに手にはマメができやぶけ革手の中は血まみれになった。トンネルを掘るために岩を砕く機械自体がとても重く振動で気持ち悪くなった。しかしユキは"ヤマトも戦っている"と思い必死に耐えた。