かんなぎ皇女・褐色の破壊神 壱ノ巻
嶺翁神高皇軍の圧倒的な戦力に天地は驚愕し、地球に攻められてしまったら人類は滅びてしまうと危惧した。
うなずく勝仁。
「まあ天地が言った通りかもしれぬのぅ。今も地球上のあらゆる軍事力を持って来ても皇軍には勝てぬじゃろぅ」
ここで阿重霞がふと思った。
「いくら戦いで勝っても、犠牲者は出てしまうハズですわ。特に長い戦いに於いては、兵士の数も少なって来ると思いますけど」
「もっともな意見じゃ。いくら戦いが強くても梛木星の兵も戦いで犠牲者が出てしまう。そこでかんなぎ皇女は自ら単独で侵略するようになったのじゃ」
「たった1人で?」
「黒龍老から鍛えられ、高度な法術をも与えられていたからのぅ。単独で乗り込むぐらいワケない事なのじゃ。しかもホレ…、ケガレを操れる法術も持っておるしのぅ」
侵略先の星でケガレ法術をフルに使って民族を根絶やしにする作戦を続行したのだ。
ケガレに取り込まれた者たちが味方同士で殺しあいを始め、その星の民族は皆、滅んでしまったと言う話しである。
天地はその後の展開が知りたくなった。
「皇女様はその後、どうなったの?」
「皇女自身、身体に異変が起きてしまってのぅ」と言って、冷たいガリガリさんをかじった勝仁。
「身体に異変? 病気か何かに?」
「法術を酷使したばかりにケガレが暴走する事態になってしまったと聞いたのぅ」
突如、かんなぎ皇女は断末魔の叫び声を出したかと思うと身体中から大量のケガレが噴き出した。
その勢いは治らず、嶺翁星の地表全体を覆い尽くした。
ケガレを身体に浴びた一部の民が狂ったように暴れ出し、仲間同士で争いと殺戮を始めた。
危険を感じた摩耶比売命・第二皇女の命令で皇軍がフル動員されて対応に当たった。
しかし、事は簡単には治らない。
やむなく、かんなぎ皇女の射殺実行と言う苦渋の決断と相成ったが作戦は上手く出来なかった。
かんなぎ皇女には黒龍老から授かった強大な力を持っているから武器も兵器類は一切、役に立たなかったのだ。
無駄に犠牲者を増やす非情なる状況だと言える。
作品名:かんなぎ皇女・褐色の破壊神 壱ノ巻 作家名:kazusa