かんなぎ皇女・褐色の破壊神 壱ノ巻
かんなぎ皇女は自分の身体を舐めるように見入った。
「何だか気分が高まって来た。思い切って暴れた気分だ。暴れて暴れて、暴れまくりたい気分だ」
「支配者になれ」
「支配者に?」
「支配者となるのだ」
「無用な戦いは好まぬ」
「好む好まぬとか、そんな悠長な事は言っておれぬぞ。お前の亡き父親である正忠皇王が心配していたように、他の星からの侵略者どもが嶺翁星を狙っておるのだ。ただジッと手をこまねいていたら奴等の思う壺。すぐに行動せよ。父親以上の力を持って先手を打つのだ」
ジッと話しを聞いていたかんなぎ皇女の耳元に別の声が。
「娘よ目を覚ましなさい! 邪悪な者に誘惑されてはならぬ!」
(母上の声か!?)と辺りを見回すかんなぎ皇女。
「戯れ言に惑わされるでない」
黒龍老はかんなぎ皇女が別の声に心が揺らぐのを察知していた。
かんなぎ皇女はその後、亡き父正忠のように次々と他の星間国家を襲い、嶺翁星の支配下に置いた。
実は嶺翁星もターゲットにされていたのだった。
かなりの軍勢で迫って来たが、樹雷星側は総力挙げて防衛に当たった。
犠牲者の数は決して少なくはなかったが、何とか星を守る事は出来たのだった。
作品名:かんなぎ皇女・褐色の破壊神 壱ノ巻 作家名:kazusa