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かんなぎ皇女・褐色の破壊神 壱ノ巻

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 すかさず阿重霞が質問する。

「どんな術だったのですの?」
「ケガレを放出する術じゃよ」
「ケガレって、不浄な状態とか言う…アレかな?」

 天地はそう思ったけど、勝仁が言ったケガレは若干違っている。

「己の身体から放出する豆粒のような黒い生物たちを指すのじゃよ」
「自分の身体がそんな物を放出するのですか?」

 阿重霞は信じられないと言う思いである。

「神術使いも心得ておる皇女にとっては、ワケない事じゃ」
「まぁ、恐ろしい」
「ケガレを放出すると、どうなるの?」

 天地の質問に勝仁は昔、樹雷星に住んでいた時に嶺翁星から亡命して来た関係者から聞いた事を思い出して語った。

「ケガレは人の身体に入り込み、心を狂わせる恐ろしい性質を持っておるって聞いていたのぅ。心を掻き乱され、物事の善悪が掴めなくなった者たちは他人を殺めたいと言う欲心が芽生えて来るのと言う話しじゃ」
「こ! 怖ッ!」と身震いした天地。
「じゃから、神高貴美枝皇后は娘の将来に不安を感じて、あらゆる秘術が使えないよう幼い頃に封印されてしまわれた。得意の武術も禁止してしまったのじゃ」

 そして父が殺される光景を目の当たりにしたかんなぎ皇女の怒りに火が付き、長い間に眠っていた超人的な力が復活したのだった。

 かんなぎ皇女に依って嶺翁星壊滅の危機は避けられた。