二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

電撃FCI The episode of SEGA 3

INDEX|11ページ/29ページ|

次のページ前のページ
 

 サヤと美琴の距離は開いており、美琴が着地する前のこの隙に、サヤはサポートを呼び出した。先程とは違い、呼び出したのはミイナの方である。
「守備の事ならお任せください!」
 ミイナもミロクと同じように潜在能力を解放し、バーチャルのキーボードを出現させてそれを叩いた。
 コードを最後まで入力すると、キーボードのエンターキーが浮かび上がり、ミイナがそれを押した瞬間ハッキングコードの効果がサヤに表れた。
 サヤに施されたハッキングは、サヤの防御力を格段に上げるもので、その効果によって受けるダメージを大きく減り、更に効果が切れるまでダウンをもらわない状態となった。
「行くわ!」
 サヤはサポートの効果を受けた状態のまま、美琴に向かって走り出した。
 対する美琴はその場を動くことなく、サヤの攻撃を迎え撃つ体勢に入っていた。
「はあっ!」
 サヤは大きく踏み込みながら、大きく真横に刀を振るった。しかし、その一撃には一切の手応えがなく、サヤの刀は虚空を斬るのみだった。
――かわされた!?――
 ガードされたとしても、その後に技を繰り返す事によってキャンセル行動を取ることができたが、空振りしてしまえば状況はまるで違う。
 美琴はサヤの攻撃を読み、前方に大きくジャンプする行動、クイックフォワードを使ってサヤの背後を取っていた。
 そしてがら空きとなったサヤに近づき、サヤの首もとに掴みかかった。
「捕まえたっ!」
 美琴は自身を中心にサヤを振り回すように回転すると、体内の電気を集め、サヤに雷を落とすと同時に、帯電させた額で頭突きを食らわせた。
 美琴の投げ技が決まり、サヤをダウンさせた瞬間だった。美琴はダウンの瞬間を見逃さず、電磁力で砂鉄を集め、振動したまま前進する尖った砂鉄の波を発生させ、ダウンするサヤに追い討ちをかけた。
「一緒に行くわよ!」
 美琴は立ち上がり、まだダウン状態から復帰できないサヤに向けて指をさしながら叫んだ。
 そして少しの間が空いてから、美琴のサポートが姿を現した。
 美琴のサポート、折原臨也がどこからともなく姿を見せた。しかし、次の瞬間彼が取った行動は、サヤには思いもよらないものだった。
 臨也は両手をヒラヒラと上げ、ニヤケ顔でこう言った。
「ふふっ……こーさーん!」
 臨也が取った行動とは、敵の目の前で両手を上げて、降参の意思を示すというものだった。
 サヤはつい、反撃に移ろうとしていた手を少しの間止めてしまう。
 美琴はこの隙を突こうとしたのか、ジャンプしてサヤの頭上から攻めようとしていた。
「倒れろ!」
 サヤはその行動を見越し、目の前の臨也もまとめて上に向けて反撃に移った、その時だった。
「ふふふふふっ!」
 臨也の笑い声がしたかと思うと次の瞬間、サヤは一瞬にして全身に複数の刃を受けていた。
「ぐっ……!」
 気がつけばサヤは、空中高くへと打ち上げられてしまっていた。
「ウソだよ……」
 臨也は、いつの間にか手にしていたナイフの先を宙に飛ばされるサヤに、したり顔で向けていた。
 ダウン回避のできない状態で飛ばされるサヤに、美琴はこれ見よがしに追撃を加える。
「ふっ、てぇっ、たあっ!」
 美琴は帯電させた手刀を当て、砂鉄剣を二回振るう。しかし、追撃はこれで終わりではなかった。
「こういうこともできるのよっ!」
 美琴はゲージを使用し、瞬間的に体内の電圧を急激に増幅させ、放電によって強力な電磁力で一気に瓦礫を集めた。その速度は本当に一瞬のものだった。
 美琴は集めた瓦礫の一部を放り、瓦礫を集中させる事で空中に足場を形成して前進した。
「やあっ!」
 そして前に進む勢いはそのままに、残った瓦礫全てをサヤに投げつけた。
「うああっ!」
 サヤは腹部にコンクリートの塊を投げ付けられ、受け身も取れずに地面にしたたかに叩き付けられた。
 電磁機動(マグネティブ・ムーブ)という、美琴の超電磁砲(レールガン)の次に強力な技と臨也のトリッキーなサポートを絡めたコンボであった。
「こんのぉっ!」
 美琴はジャンプして、ダウンしているサヤにだめ押しの落雷を放った。
「やるわね……!」
 サヤは起き上がる。
「ふっ!」
 美琴は更に空中ダッシュして、起き上がったばかりで行動の制約されているサヤに砂鉄剣を振る。
「それくらい!」
 サヤはとっさの攻撃にも関わらずガードを固めた。しかし、近付かれた状態のままでは分が悪いと判断し、リフレクションガードを発動して美琴を後退させた。
 二人に微妙な間が開いた。攻撃しようにも少し遠く、迂闊に近づけば反撃をもらいそうな距離である。
 二人は後ろにジャンプした。二人とも同じことを考え、ここはひとまず下がった方が次の攻めに繋がると思ったのだった。
「思ったよりもやるじゃない? あなたのサポート、まるで動きが見えなかった。それこそ、テレポートでもしているみたいにね」
 サヤは美琴のサポートキャラ、臨也を賞賛した。攻撃が彼に当たったかと思った瞬間、いつの間にか回り込まれてナイフによる連続攻撃を受けることになる。その動きは常人のものとは思えない。
「私もけっこう驚いているわ。身体能力だけ言えば、私達能力者と同じくらいのものを持ってる。正直ここまで活躍するとは思ってなかったわ」
「全く、ずいぶんな言われようだねぇ……」
 臨也は言った。
「……呼んでもないのに現れないでもらえるかしら?」
「いやぁ、彼女があまりにも誉めてくれるものだからね。ひとつお礼を言っておこうかと思ってね」
「あなた、敵の賞賛を随分と素直に受けとるのね?」
 サヤが少し呆れたように言う。
「君は確かに俺達の敵、いや、大切な人に害をなす極悪人だ。けど、そんなやつからでも誉めてもらえれば嬉しいのが人間って生き物さ。違うかい?」
「…………」
 サヤは呆れを通り越して完全に言葉を失っていた。
「さてと、邪魔をしたね。バトル再開しようか、ミコちゃん」
 臨也は美琴の後ろへと下がって消えていった。
 状況は五分五分であり、体力差はほとんど見られないが、美琴の方が少しゲージが減っていた。
 しかし、ゲージの使用によってブラストゲージは増加し、再び発動できる状態であった。
「ふんっ、まだまだここからよ!」
 美琴は走ってサヤとの距離をつめた。
「望むところよ!」
 サヤは迎え撃とうとして、その場を動かなかった。
 美琴はある程度近付くと、クイックフォワードを使って宙を舞った。高く大きく放物線を描いて相手との間合いを埋める移動方であるが、動きが大きいながらも二段ジャンプでキャンセルができる。
 美琴は上手く位置を掴むとクイックフォワードをキャンセルし、サヤの上を取った。そして素早く砂鉄剣を手にしてサヤに斬りかかろうとする。
 しかし、美琴の全ての行動はサヤに読まれていた。
 サヤは、美琴がクイックフォワードで近付き、上手く位置を調節してきたのを見て、上空から奇襲を仕掛けると考えた。上からの攻撃は守りが手薄になりがちなため、攻め込むには非常にうってつけの行動であるためであった。
 しかし、定番化した攻め手であるために、サヤもよく知っている事であり、落ち着いて見極めることができた。
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 3 作家名:綾田宗