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電撃FCI The episode of SEGA 3

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 美琴の攻撃が来るよりも先に攻撃を仕掛け、美琴の体勢を崩すことに成功した。
「覚悟はいいわねっ!? ……全身全霊っ!」
 サヤはゲージを一つ消費し、袈裟斬りをEX技にして美琴を地に叩き付けた。
 対空の攻撃が決まり、サヤは美琴から大きくダメージを奪うことができた。
 体力残り僅かの美琴であったが、ピンチポテンシャルが発動する所までは減っていなかった。サヤはポテンシャルで逆転されることのないよう、最後のコンボを決めようとした。
「よっと!」
 起き上がる美琴に、サヤは攻撃を合わせた。
「とうっ!」
「あぐっ!?」
 サヤは小さくジャンプし、刀を振った。刃は美琴を裂くような事はしないものの、起き上がり際で体勢の低い美琴の顔面にヒットし、美琴は不意に声を上げてしまった。
「打ち上げる!」
 サヤは自らのインパクトブレイクが決まったのを確認すると、刀を横薙ぎに振って更に上に振り上げて美琴を上空に飛ばした。
 きりもみ状に飛ばされる美琴を追って、サヤも上空へと跳んだ。そして連続攻撃を加えつつ、心でサポートを呼ぶ。
――ミロク!――
「オレの言う通りにしろ!」
 ゲージを一つ使ってキャンセルサポートを発動した。地上にはミロクが出現し、持ち前の特殊能力で相手をハッキングする光輪が空中に停滞する。
「ぶった斬ったる!」
「あっ!」
 コンボの締めに美琴を真下に袈裟斬りで叩き落とすと、そこに丁度光輪が浮遊していた。
 美琴に光輪が当たると、美琴はハッキング状態となり、受け身が取れなくなった。
 身動きできずに空間に停滞する美琴に、サヤは追撃を与え、連繋の隙間にブラストを発動した。
「まだまだあんのよ!」
 コンボブラストの青い波動が美琴を再び空中高く打ち上げる。
「覚悟はいいわね!?」
 サヤはクライマックスアーツを発動した。手にした刀をくるくると回転させると、切っ先を前に向けて突進した。
「きゃあっ!」
 擦れ違いざまの斬りつけが決まると、サヤは美琴に向き直った。そして間髪入れることなく超連続的な斬撃が始まる。
「斬って、刻んで、メッタ斬りよっ!」
 サヤの姿を捉えることすらも難しいほど素早い、縦横無尽、まさに電光石火の動きで美琴に連撃を加える。
 これまでのコンボ数と合わせ、六十コンボ以上を決めた後、サヤは美琴に背を向けるように立ち止まった。
「ふううう……!」
 サヤは後ろに大きく宙返りしながら美琴の頭上へと迫った。
「でやあっ!」
 サヤは切っ先を真下に向け、そのまま下に落ちた。同時に切っ先は美琴の脳天を貫く。
「ふんっ!」
 サヤは、美琴の両肩を踏み台にして前方に跳んだ。そして着地すると、やはり美琴に背を向けた姿勢のまま刀を振り払った。
「跡形も残さないわ!」
 サヤが言い放った瞬間、美琴から血が噴き上がるようなエフェクトが発生し、そして美琴はダウンした。
 一ラウンド目は、サヤの勝利に終わった。
「誰に盾ついてんのよ?」
 サヤは半ば挑発的に言った。
「おやおや……」
 臨也は姿を現し、地に伏した美琴の顔を覗き見る。
「全く、情けないねぇ……」
 臨也は相変わらず、にやけた顔をしてやれやれ、とばかりに両手を広げて言った。
「……誰が、情けないですって?」
 美琴は目を開き、ゆっくりと立ち上がった。脳天を刀で貫かれてもなお生きていられるはずなど本来ならあるはずもなかったが、この世界における理が美琴に死傷を与えることをしなかったのだ。
「まだ次があるじゃない。この次からはもう容赦しないわ。全力で行くわよ!」
 美琴は一本先取された状態にも関わらず、闘志を果たすことなく、戦い続けるつもりだった。
「臨也、あんたにも死ぬ気で働いてもらうわ!」
 臨也はわざとらしく驚いたふりをする。
「おお、恐いねぇ、それは人を人と思ってない奴のセリフじゃない?」
「うるさい! サポートならサポートらしく役に立って見せなさいよ!」
「ふふ、そこは君の采配次第さ。上手く俺を使いなよ?」
「ふんっ! ……さて」
 臨也の言葉に苛立ちを隠しきれない美琴であったが、ひとまずサヤに向き直った。
「さっさと次行くわよ。イグニッションとやらを決めなさい」
 一つラウンドが終了した事により、二人に何かを強化するイグニッションを選択する権利が与えられる。
「ふふん、負けておきながら随分威勢がいいわね。そういうの、嫌いじゃないわよ?」
 サヤは余裕の笑みを携えながら言う。
「ホントにムカつくわね、今に吠え面かかせてやるわ! 私は私にイグニッションする!」
 美琴はプレイヤーイグニッションを選択した。前のラウンドの後半で一方的に攻められたせいで反撃行動に移れず、ゲージは貯まりきり、ブラストもいつでも発動できる万全な状況であったために自身の能力を増加することにした。
「それなら私は……」
 サヤは自らの状況を確認する。
 さっきのラウンドで、体力残り少なくなり、ピンチポテンシャルを発動しそうだった美琴を倒しきるために、サヤはブラスト、ゲージ共に使い果たしてしまった。
 ゲージは空であり、ブラストもコンボブラストを使用したために回復率はゼロである。一試合で二回まで使える切り札は二つ残っているものの、この試合の性質上ゲージがないのでは、かなりの不利を背負うことになってしまう。
 そこでサヤは迷わずイグニッション先を決めた。
「私はブラストにイグニッションするわ。早くゲージが欲しいしね!」
「賢明な判断ですね、サヤ」
 ミイナが言う。
「機先を制した方が勝つ。この戦いによらずどんな戦いでも言えることだな」
 ミロクもサヤの判断を良いものだと言った。
「二人とも、次もお願いね。一気に畳み掛けてしまいましょう!」
「イグニッションが決まったみたいね。さあ、次行くわよ!」
 両者ともにイグニッションが決まり、第二ラウンドが始まった。
「一緒に行くわよ!」
 試合再開とほぼ同時に、美琴は臨也を呼び出した。
「まいったまいったぁ、いきなり呼ばれちゃったよ」
 臨也はやはり、サヤを小馬鹿にしたような降参のポーズを取る。
 サヤは、臨也のサポートがどのようなものか身をもって知っている。少しでも触れればテレポートのような見えない動きで背後に回られ、ナイフでズタズタにされてしまう。
――同じ手は食わないわよ!――
 サヤは攻撃はせず、サポートの効果が切れるのを待った。しかし、サヤが動かないでいると、臨也の後ろから美琴が駆け寄ってきた。
「やっ!」
 美琴は砂鉄剣を作り出すと、サヤの足元を薙ぎ払った。
「うっ!?」
 思わぬ一撃にサヤはよろけてしまった。
「あらら……!」
 更に砂鉄の棘の波を食らっていると、臨也のおどけたような声がし、その瞬間サヤは連続攻撃を受けて宙を舞っていた。
「妖怪カマイタチ参上……!」
 臨也はナイフを片手にニヤリと笑った。
「こんのぉっ!」
 美琴は雷を落とし、サヤを地面へと叩き付けた。そして間髪入れずにEX電磁機動を発動する。
「そいつにはこういうこともできるのよっ!」
 美琴は鉄筋コンクリートの塊をサヤに投げつけた。地面へと叩きつけられ、軽くバウンドしていたサヤは、上から更に圧力を受けて再びバウンドさせられた。
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 3 作家名:綾田宗