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電撃FCI The episode of SEGA 3

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 美琴は挑発的な視線を送る。
「当たり前じゃない、次で全て決まる。地に膝をつかせてやるわ!」
 サヤは立ち上がり、美琴に切っ先を向けて挑発し返した。
「サヤ、ごめんなさい……」
 ミロクとミイナが姿を現し、詫びた。
「あの時私のサポートがもっと早くに発動していれば……」
「気にしないで、ミイナ、あれはもうただの賭けだったわ。私の判断ミスよ、こっちこそごめんね。痛くなかった?」
「ぶつかられた時少し衝撃はありましたが、痛くはなかったですよ。過去にされてきた実験に比べれば、この程度は」
「そう、ならよかった。でももう二人を痛い目にあわせたりしない、絶対にね!」
 互いを思いやる様子を見て、美琴は少しずつ疑念を抱き始めていた。
「なによアイツ、あんなにあの子の事を心配して。本当に人を人とも思わないような極悪人なのかしら……?」
 美琴は臨也から、サヤの所属するムラクモ機関は、非人道的人体実験を繰り返してきたと伝えられていが、サヤにはそのような感じはしない。むしろ美琴には、お互いに深い絆で結ばれているようにすら見えた。
「惑わされちゃダメだよ、ミコちゃん、あれは演技さ」
 臨也は美琴の横に歩み寄り、言った。
「あのナビは確かに考えることは優れているけど、中身はやっぱり子供だ。彼女は、ああやって優しくしてやれば利用しやすいと考えているんだろう。全く、恐ろしいったらないねぇ……」
 臨也は口元を不気味につり上げている。
「まっ、これはあくまで俺が考えることだ。他人の心なんて読めっこないから、本当の所どうなのかは全然分からない。もっと彼女と戦えば、何か見つけられるかもしれない。最後のラウンドでボロを出すのか、それとも彼女の本心はあんな感じなのか……」
「アイツの、本心……」
「何か見つけられるといいね、お互いに……」
 臨也は下がっていった。
「さて、次で終わりよ。どっちが強いのか分かる。あなたと私、どちらの信念が正しいのか、ハッキリさせようじゃない! さあ、イグニッションを決めなさい!」
 この戦いに僅かながら迷いを感じていた美琴であったが、サヤの戦意に迷いは振り払われた。臨也の言っていたことはまだ気がかりであったが、今やるべき事は明らかである。
「そうね、私が勝ってあんたが極悪人だと証明してあげるわ!」
 今は全力をもってサヤと戦う、それが美琴にできる事だった。
 美琴はイグニッションを自らに選んだ。プレイヤーダブルイグニッションとなって攻撃力と防御力が更に上がり、切り札状態のように身軽な動きができるようになった。
「一気に決めさせてもらうわ!」
 ゲージの状況としても二本のストックがあり、先程のラウンドでブラストが大きく回復するクライマックスアーツを使ったため、ゲージ回収も十分にできる。
「プレイヤーダブル……だったら私も!」
 サヤもイグニッション先を自分自身にする。イグニッション一つでは切り札状態のような動きができるといったような恩恵は受けられないが、防御力を少し上げることで、美琴との差を少し縮めようというつもりだった。
「ミロク、ミイナ、サポートよろしくね!」
「もちろんです!」
「絶対にサヤを勝利に導いてみせる!」
 ナビ二人は決意を新たにする。
「待たせたわね。それじゃあ最後のラウンド開始と行きましょうか!」
「いいわよ、やったろうじゃない!」
 サヤと美琴、両者ともにイグニッションを決定し、第三ラウンドが始まった。
「っと!」
 ラウンド開始直後、サヤはバックステップで間合いを開く。
「ミロク!」
 そしてすぐさまサポートを呼び出した。
「言うことを聞いてもらう」
 ミロクは、バーチャルのキーボードを叩き、美琴のいる場所をサーチしてハッキングコードを入力する。
 美琴の攻撃はかなりの距離を攻撃できるが、距離が遠いほど発生が遅く、サポートの発動を潰せる速さでの攻撃は不可能と思われた。
 しかし、美琴には発生が若干遅いものの、超電磁砲(レールガン)と同じ間合いを攻撃できる技があった。
「これならどうよ!?」
 美琴は、空手の達人のように垂直に足を上げ、電気を足に集めると、全力で地面を踏みつけた。
 その瞬間、地面に電流が流れ、一瞬にしてサヤとミロクの所まで届いた。
「うわあっ!」
「きゃっ!」
 ミロクのサポートであるハッキングが発動する前に、美琴の長距離電気攻撃で潰され、電流はサヤにも流れた。
「避けれる!?」
 ダメージを受けて、サヤが僅かな隙を晒したのを見逃さず、美琴はゲージを使って強化した電撃の槍を撃った。
 サヤにガードする猶予はなく、そのまま続けざまにEX電撃の槍を受け、ダウンさせられてしまった。
「せーのっ!」
 美琴は再び足を高く振り上げ、電撃を込めて地面に踏み込む。美琴の足が地面を打った瞬間、長距離に届く電気が地面に伝わって、ダウンするサヤに流れてダメージを与えた。
 美琴の、電気を地面に伝わらせて長距離からダメージを与える技は、電震脚打(ビリビリアース)というもので、学園都市ではイライラした時に地団駄を踏んでは周囲に電流を流してしまい、辺りの人や物に迷惑をかけてしまう能力であった。
 しかし、そんな迷惑な能力でも、戦いとなれば非常に強力であり、超電磁砲(レールガン)と同じくらい遠くまで届くという性質上、破格の牽制技となっていた。
「行くわよ!」
 美琴はダウンしているサヤを更に攻め立てるために走り出した。そして、サヤの攻撃が僅かに届かないと思われる位置で急停止する。
「お願いっ!」
 美琴は指を突き出し、臨也を呼び出した。
「ほらほら、こっちだよー」
 臨也は、相も変わらず相手を小バカにしたような表情を浮かべ、両手を上げて降参のポーズを取る。
 臨也に攻撃を当てれば瞬間的に裏に回られて反撃を受け、このまま何もせずにいても美琴の何らかの攻撃がサヤに当たれば追従して攻撃してくる。
 故にサヤは、ここは不用意に動かず、ガードを固めることにした。その時、美琴は臨也の脇を通り抜けてサヤに攻撃を仕掛けた。
「ふっ!」
 美琴は前に進みつつ体勢を低くし、サヤの足元から下腹部を狙う下段攻撃の手刀を打つ。
「っと!」
 サヤは方膝をついてその攻撃をガードする。
「たあっ!」
 美琴は手刀を引き戻すと、瞬時に砂鉄剣を作り出して、小さくジャンプしながらそれをサヤに向けて振るった。
「うぐっ!?」
 それは、しゃがんだ状態の相手の顔面を丁度よく叩く攻撃であり、サヤは思わぬ一撃にガードを崩してしまった。
「せーのっ!」
 美琴は砂鉄剣を真横に振り、斜め上に切り上げてサヤを宙に打ち上げる。
「おっと……!」
 美琴の攻撃が当たったため、臨也はその攻撃に追従した。
 打ち上げられて無防備な状態を見せるサヤに臨也の斬撃が襲いかかる。
「ほら、楽しいだろ?」
 美琴は宙を舞うサヤを追って更にコンボを繋ぎ、EX電磁機動でコンボを締めてサヤから再びダウンを奪った。
 美琴の一連の攻撃で、サヤの残りの体力は約半分まで減らされた。
 サヤがダウンしている間に、美琴は更に駆け寄る。そして、ダウン状態で攻撃が通らないサヤに向けて向けた行動は、サヤの起き上がり動作に合わせてジャンプするものだった。
「えっ!?」
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 3 作家名:綾田宗