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電撃FCI The episode of SEGA 3

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 サヤは投げ技を仕掛けようとするものの、美琴にかわされて攻撃が空を切ってしまう。
 起き上がりつつ相手を掴み、投げを行うということは、サヤにとって、圧倒的に不利な状態であるダウン状態から復帰しつつ、攻守を逆転させる数少ない選択肢であった。
「バレバレなのよ!」
 しかし、美琴はサヤの行動を読みきっており、攻撃を空振りして大きな隙を見せるサヤに、空中からの連繋を与える。
 美琴のゲージ状況は十分で、更にブラストゲージも回収できていた。
――チャンスね、ここで一気に決める!――
 コンボブラストを使って一つのコンボを延長し、とどめに切り札を上乗せしたクライマックスアーツを使えば、ワンコンボでサヤを倒すことができると美琴は踏んだ。
 しかし、その目論みは突如発生した緑の衝撃波によって吹き飛ばされた。
「バカにしてっ……!」
 サヤの怒りが込められたエスケープブラストが炸裂した。美琴の攻めが強制的に止められ、ブラストの波動によって距離が開く。
「おっと」
 美琴はダウン回避行動を取り、しっかり着地して体勢を整える。
「ふうっ、ブラストまでは警戒してなかったわね。けど、私の方が圧倒的に有利よ。その状態から反撃できるのかしら?」
 美琴は挑発的に言う。
「調子に乗ってられるのも今のうちよ。勝負はここから。一気に巻き返してあげるわ!」
 サヤは少し追い詰められながらも、勝利を諦めていなかった。
 エスケープブラストを使用したが、体力が減っており、更にブラストイグニッションをしていたおかげで、ブラストの回復速度が半分以下になるペナルティはそれほど感じられない。
 慎重に立ち回れば、まだサヤに勝機は十分にあった。しかし同時に、迂闊な事をすれば押し込まれてしまうリスクもある。
 サヤは遠い間合いから、美琴をしっかりと見ることにした。見た限り、一気に有利を取ったためか、美琴には僅かながら慢心が見える。その心から必ず攻め入る隙が生まれるとサヤは判断した。
 サヤが注意深く美琴を見張っていると、その隙は生じた。
「本気でっ!」
 美琴はコンボで消費したゲージを貯めるため、パワーアップブラストを使用した。このタイプのブラストには、発動の瞬間に攻撃が効かない無敵の時間があるが、同時に終わり際に僅かな隙もあった。
 サヤの攻撃の届かないと考え、美琴はブラストを使ったが、その行動は仇となってしまった。
――今だ!――
 サヤは一回転しながら刀を振るった。
「とーんでけぇー!」
 空気が刃となり、美琴の所へと一瞬にして届いた。サヤは必殺技、トンボ斬り
をゲージを使用して強化し、EX技として放った。
「ぐうっ!」
 美琴はブラストの終わり際を完璧に突かれ、サヤのEX技に吹き飛ばされてダウンする。
「チャンスね!」
 サヤは、ダウンする美琴へと駆けて距離を詰める。
「まだまだ! ……お願いっ!」
 美琴はこれ以上攻め入らせないよう、臨也を呼んで彼を壁にする。美琴が臨也を呼び出した瞬間、サヤは空中から攻めかかろうとしていた。
「はいっ!」
「あらら……!」
 サヤは攻撃技を出してしまい、臨也のサポート技を発動させてしまった。罠にかけてやった、とばかりに美琴は腹の中で笑う。
 しかし次の瞬間、サヤは臨也に切り刻まれる事はなく、ダメージを受けていたのは美琴の方だった。
「穴が空くわよ!」
 サヤは一瞬無敵状態となり、同時に目にも止まらぬ速さで連続の突きを放っていた。
「おっと残念。おつかれー!」
 美琴がダメージを受けると、臨也は攻撃することなく下がっていってしまった。その様子はまるで、メインキャラを助けるサポートでありながら、自分だけ助かろうというつもりであった。
「八双大蛇突き!」
 サヤは一瞬で七回も突きを放ち、力を溜めて止めに強力な突きを打った。
「くそっ……!」
 美琴は大ダメージを受けた上に、後ろへと大きく吹き飛ばされた。そして太いクリスタルのイバラの茎の部分に激突する。
 美琴はずり落ちて、そのまま地面へとダウンした。
 サヤの切り札である超連続の多段ヒット技、八双大蛇突きで形勢はサヤ有利に傾いた。
 美琴の状況としては、前方にはサヤがおり、後ろにはイバラが突き立っている。故に逃げ道がなくなってしまった。
「ミロク!」
 サヤは美琴がダウンするまたとない間に、サポートを呼び出して美琴に負荷をかける。
「ハッキング・ワン!」
 ミロクのハッキングコード入力は成功し、美琴の体を縛り付けて一切の動きを封じ込めた。
 ハッキングの効力が続く限り、美琴は全く行動不能である。その瞬間のチャンスを逃すことなく、サヤはコンボを決めていく。
「斬り込む!」
 サヤは刀を素早く納め、自らのマナを炎の力に変えると、美琴とすれ違いざまに抜刀した。
「動くと危険よ?」
 炎の刃が美琴を切り裂いた。
「さぁてっと……!」
 すぐさまサヤは納刀し、半分以上美琴に背を向けるような構えを取り、ゲージを消費してEX技を発動した。サヤは、一切その場から動くことなく一瞬で力を溜めた。
 同時にサヤは、ブラストの波動のような気力を出して、美琴を吹き飛ばして空中に打ち上げた。
「突っ込むわよ!」
 今度はマナを氷の力に変換し、冷気を放つ刃を振るった。
「痺れてなさい!」
 炎の刃で熱されたかと思うと、すぐに氷結の刃で凍らされ、美琴は大きくダメージを受けた。しかし、サヤのコンボはこれで終わりではなかった。
「本気、見せちゃおうか……!?」
 サヤは空中にばつ印を描くように刀を左斜め下、右斜め下に振った。
「ぐっ!?」
 その二回の攻撃が当たると、美琴は地面に足を縛り付けられたかのように動きを封じられた。
 美琴の動きを封じ、すっ、とサヤは納刀して目を閉じ、精神集中を始める。
 空に流れる風に含まれる天の気と、地面に溢れ出んばかりの地の気を一身に受け止め、その二つの力を一太刀の剣に込める。
 天と地の力が、サヤという一つの媒体に集まることによって、辺りには強風が吹き乱れ、地面は激しく脈動した。
 二つの力が最も充実した瞬間、サヤは閉ざしていた目をかっ、と見開き、大きく前に踏み込みながら抜刀する。
「秘奥義・天地断ち!」
 サヤの刀は鋭く輝く光の刃となり、それは空気すらも真っ二つに切り裂いた。
 空間をも両断する刃は、美琴にも例外なく過ぎていった。しかし、あまりに強大で物理法則を軽く凌駕する一刀は、美琴に斬られた、という感覚を与えない。
 辺りはまるで、時が止まってしまっているかのようである。
「……またやっちゃった」
 サヤは苦笑しながら美琴に完全に背を向け、自らの胸の前で刀を納めた。
 チンッ、鍔と鞘がぶつかる音が鳴り響いた瞬間、止まっていた時が動き出した。
「ううっ!」
 時が動き出したことによって、美琴へ遅れてダメージが加わった。
 どれほど攻撃されようとも、決して傷付くことも血を流すこともない世界にいるが、美琴は血飛沫のようなものを噴き上げて倒れた。
「ん?」
 サヤは必殺のクライマックスアーツを食らわせたが、美琴はノックアウトしていなかった。
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 3 作家名:綾田宗