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電撃FCI The episode of SEGA 3

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「ふう、これでお互いに落ち着いて話せるね。さすが学園都市第三位の超能力者(レベル5)、御坂美琴(みさかみこと)さん。いや、ミコちゃんって呼ばせてもらおうかな」
 少女、御坂美琴は非常に驚いていた。
「なんで私の事知ってんのよ? まさか、そのナリで能力開発の研究者!?」
 青年はけらけら笑った。
「俺はそんな大層なものじゃないさ。新宿に拠点を置く、人間ラブの情報屋さ。俺は人間を何よりも愛してる。だから気になる人の事は調べるんだ。君の事はよく知っているよ?」
 青年はニヤけ顔である。発言からして、果たして彼がまともな人間なのか、美琴には判断しかねた。
 怪訝な顔をする美琴を無視し、青年は話を続ける。
「人口二百万人、そのうちの八割が学生だっていう学園都市。そこでは能力開発が進んでいて、科学力でその身に異能力が宿せるらしいね。そこで君に発現した能力は電気を操る能力。電撃使い(エレクトロマスター)、だっけ? 他にも君の通称は常盤台の超電磁砲(レールガン)。名門、常盤台中学の二年生にして能力者の階級は最高位のレベル5の超能力者。学園都市に七人しかいない内の一人。それも第三位の実力だ。まあ、俺に分かるのはこんなところかな?」
 一体どこからそこまでの情報を得たというのか、美琴は一瞬不思議に思うものの、学園都市に出入りしている人間ならばここまで知っていてもおかしくはないのかもしれないと考え直す。
「ああ、それから君の情報はまだあるよ? よく自販機を蹴り飛ばしてジュースを強奪してるとか」
「ちょっと、人聞きの悪いこと言わないでよ! あれはその、そう、あの自販機がお金を飲むものだから、一万円飲まれたぶん取り返そうとしてやってるだけよ!」
 美琴は堪らず反論した。
「ははっ! 自販機壊すなんてまるでシズちゃんみたいだねぇ。まあ、投げ付けてこないだけシズちゃんよりはマシか。それからもう一つ、君はこれに目がないとか」
 そう言って青年がズボンのポケットから取り出したのは、質素ながら可愛らしい目をした、緑のカエルをモチーフにしたマスコットだった。
 美琴の目付きが一瞬で変わった。
「そ、それってまさか……ゲコ太!?」
「アハハ! 本当にこんなのに目がないんだ。ミコちゃん、君って大人ぶってるけど意外と幼いんだね」
「しかもそれ、数量限定のゲコ太ストラップじゃない!?」
「うーん、俺にはこれの良さはイマイチ分かんないんだけど、欲しいかい?」
「欲しい!」
 美琴は即答した。
「そこまで欲しいなら、お近づきの印に……っと言いたいところだけど、もう少し俺の話しを聞いてもらえるかな?」
 青年はゲコ太を差し出したかと思うと、美琴が手を伸ばした瞬間に上にあげた。
 同時に美琴もはっ、となって冷静さを取り戻した。自身の大好きなものをぶら下げられ、見ず知らずの青年に踊らされるとは迂闊であった。
「あんだけペラペラ喋っておきながらまだ話しがあるっていうの? 大したお喋りね……けど、私の事ばかり知られてるのは何だか癪だわ。あんたの名前くらい訊かせてもらえないかしら?」
 青年はやはり、大袈裟に驚いたような素振りを見せた。
「ああ、確かに、自己紹介がまだだったね。俺は折原臨也(おりはらいざや)。よろしく」
 臨也は名前だけ言うと、すぐに本題に戻ろうとした。よほど自分の素性を知られたくないのか、彼自身の多くを語ろうとはしなかった。
「それより、話しの続きなんだけど、君って、悪は許せないタイプ?」
 美琴の目線が完全にゲコ太のストラップに向いていたため、臨也はひとまずゲコ太をポケットに入れる。とりあえず美琴の気を引くものを隠し、臨也は自分の話しに集中させる。
「何よ、藪から棒に?」
 ゲコ太が視界から離れたことにより、美琴は真剣になる。
「いやぁ、君については調べてあるんだけど、その年で相当ハードな人生送って来たみたいだね? 絶対能力化計画だっけ? 君のクローン人間が二万人も殺されそうになったってやつ」
 美琴の脳裏に、その計画がまさに実行されていた時の風景が浮かんだ。
 学園都市最強の超能力者(レベル5)、一方通行が荷担していた、美琴にとっては許せない計画であった。
「なんで、あんたがそんなこと知ってるのよ?」
「俺は別に計画とかそういうのには興味ないんだけど、いろいろ探ったのさ。いやぁ、辛かっただろうねぇ。自分のクローンを次々と殺されていったのはね……」
 臨也は慰めを言っているようで、口元は笑っている。美琴への気遣いはまるで見られない。
「……一方通行は、今は改心してるみたい。私のクローンのミサカネットワークに助けられなきゃ演算はできない。あいつ自身も計画から身を引いたようだし、今はもう気にするような事じゃ……」
 しかし、美琴の気分が晴れることはなかった。一万人以上のクローン、妹達(シスターズ)が殺害されたことは事実だし、一方通行に言われた言葉、DNAマップを提供したオリジナルの美琴は許すつもりはないというものだった。
 色々な意味で、美琴にとっては辛い実験であった。
「ここで一つ、君なら絶対に許せないと思われる情報をあげよう。それは、ムラクモ機関さ」
「ムラクモ、機関……?」
 美琴には知らない名前の組織であった。
「そう、新宿に拠点がある政府公認の特別組織、それがムラクモ機関さ。表向きは東京に出現した魔物に対抗する役目を担ってたみたいなんだ。けれど、あくまでそれは表の顔、裏ではとてつもない実験が行われていたらしいよ」
「その実験って……?」
 美琴は訊ねる。
「能力開発、って言えば聞こえはまだいいだろうけど、その内容は君達学園都市の能力者がされているのとはわけが違う、言うなれば人体改造だよ」
「人体、改造……? 何よそれ……」
 美琴の脳裏はもう、地獄のようなあの計画の風景で埋め尽くされていた。
「心中察するよ。君の思っている通り、いや、それよりももっとひどい事がされていたんだろうからねぇ。クローン人間が作られては、無理矢理魔物に対抗できるための道具に仕立てあげられて。それも確実に寿命が縮む、人の体には余る力を入れて人工生命体なんかが造られて。ハハッ! まさに君が関わった計画そのもの、いや、それすらも超える恐ろしい実験だ!」
 臨也は一体、何が楽しいのか、笑い声をあげるのだった。
「あんた、それを私に知らせて、一体何が目的なのかしら?」
 臨也は口元に笑みを含む。
「俺はさっきも言った通り、人間を愛してる。クローン人間だろうがなんだろうが、実験に使われていく人間がいることが許せないんだ。そこで俺は、ムラクモ機関についても調べてみた。そしてムラクモ機関の切り札(エース)の尻尾をつかむ事に成功した」
「それは……!?」
 美琴は反射的に訊ねた。
「おっと、ここから先の事が知りたければ、俺と一つ取引をしてもらうよ?」
「取引、ですって?」
 美琴は肩透かしを食らったような気分になるものの、冷静に臨也の話しに耳を向ける。
「そう、この世界を生き延びる、お互いの為になる取引さ。この世界に呼ばれてもう長いだろう? だったら君にも分かっているはずさ。ここをうろうろしているドラゴンよりもよっぽどただの人間の方が強いってこと」
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 3 作家名:綾田宗