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電撃FCI The episode of SEGA 3

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 サヤも慌てることなく、刀の柄を握り締め、その切っ先を美琴に向けた。
 その二人の後ろで、臨也が肩をすくめ、首を振っていた。
「……まったく、血の気が濃いったらないねぇ。君達はあれかい? 常に戦いを求め、強い相手を倒すことに生き甲斐を感じるっていうどこぞのナントカ人やホニャララ族みたいな戦闘民族なのかな? だとしたらシズちゃん以上の化け物だ」
「臨也」
 臨也の問いには答えることなく、美琴は一言言い放った。
「事の発端は、ほとんど百パーセントアンタのせいでしょ。だから、嫌でも最後まで付き合ってもらうわ。いいわね!」
 美琴の言葉は怒鳴り声に近かった。
 臨也が、私利のための邪な考えから絶無と手を組んだがゆえに、サヤと美琴が戦い合う事態にまで発展した。
 今回の事件の大本は臨也にあると言っても過言ではなかった。それ故に臨也も苦笑を浮かべるしかなかった。
「ははは、ついに一パーセントも信頼してくれなくなっちゃったか。やれやれ、シズちゃんでも残り少ない信頼を置いてくれるのに……全く、ミコちゃんは容赦ないなぁ」
 でも、と臨也の苦笑はいつものニヤケ顔になる。
「君の言う通り、俺はシズちゃんを倒せるようなやつを探して絶無に協力した。まっ、俺なりに責任は取るよ。情報屋は信頼が命だしね……」
 臨也は袖口からナイフを取り出し、瞬時に広げてサヤの方へ向けた。
「妖怪、カマイタチ参上……なんてね」
「二人とも、行けるよね?」
 サヤはナビ二人に呼びかける。
「全く、今日はずいぶんと人使いが荒いですね、サヤ」
「こんな世界じゃなけりゃ、オレ達とっくにぶっ倒れちまってるだろうな」
 ナビ二人は平気な様子だった。絶無フォーマルハウトとの戦いのナビ、サポートをした後だというのに、冗談を言える余裕すらある。
「元気そうで何よりだわ。さて、残り五分しかないなら、さっさと決めないとね!」
 サヤは電神ドリームキャストを見る。
「本当に五分は時間があるのよね、電神?」
「はい、私の力に狂いがなければ、絶無に関係するものは消え、皆まもなくもとに戻ります」
 電神ドリームキャストは答える。
「だったら、なおのこと急いで決着つけなくちゃね!」
 サヤがこう言う間にも、体の透明化は進んでいる。
「ミロク、ミイナ!」
 サヤはナビ二人の名を呼ぶ。それだけで彼らはサヤの意図を理解する。
「オレ達に任せておけ」
「必ず勝利を約束します」
 本当の本当に最後の戦いが始まろうとしていた。
「行くわよ、美琴!」
「かかってきなさい、サヤ!」
 絶無の作った世界が崩壊していく中での戦いが始まった。
 開始早々激しい戦いを繰り広げる二人とそのサポートキャラの様子を、電神ドリームキャストは静かに見守っていた。
 体勢を崩されまいと、様子を見つつガードし、膠着した瞬間に先の先を取るべく攻撃を加える。しかし互いに、後の先も狙い、攻撃すれば何らかの反撃が来ることが分かっている。
 両者一歩も譲らない勝負が行われていた。
 どちらかが投げ技を仕掛けようとしても、投げ間合いに入った瞬間お互いが仕掛けるため、投げられる前に弾き返すことができる。
 しかし、安易なインパクトブレイクは大ダメージに繋がる。
「たあっ!」
 美琴が小さくジャンプし、砂鉄剣をサヤのこめかみを狙って振るった。
「倒れろっ!」
 すかさずサヤは、上に向いたインパクトスキルを使い、美琴を迎撃する。
「届け、この力……!」
 サヤは、空中で袈裟斬りをEX強化して、迎撃されて宙に浮いた美琴に叩き込んだ。
「ぐっ……!」
 美琴はEX技を食らったため、受け身で体勢を直せず、ダウンしてしまう。
「まだまだ!」
 ダウンして隙をさらしてしまったが、美琴はすぐに起き上がって防御に徹した。
 サヤの攻めがしばらく続いたものの、美琴は焦らずに攻撃を見切ってガードした。必ず現れるはずのサヤの隙を狙って。
 そしてその瞬間は現れた。
 なかなか攻撃が通らないと感じたサヤは、投げ技で強制ダウンを狙った。
 無げを狙い、ほんの少しの瞬間動きが止まった時、美琴は無げを読んでジャンプした。
 サヤの手は空振りに終わり、その上隙ができてしまった。
「てぇっ!」
 美琴は、落下しつつ砂鉄剣を振った。
「わあっ!?」
 動けないところに攻撃をもらい、サヤは声が出てしまった。
「えい!」
 美琴は斜め下に伸びる電撃を放った。コンボはまだまだ繋がる。
「はあっ! 食らいなさいよ!」
 小さな放物線を描く電撃を当てた後、美琴は砂鉄剣での突進連続斬りを放った。
「……おっと?」
 美琴はゲージを使用し、キャンセルサポートで臨也を呼び出した。美琴の攻撃が当たっているために、臨也追従してナイフの連続攻撃を行う。
「かわいそうに……!」
 臨也の攻撃で、サヤは無防備に空中に吹き飛ばされた。そこへ美琴は雷を落とす。
「こんのぉ!」
 空中で更にジャンプして。
「もう一つ!」
 最後に一撃を与える。
「こっちよ!」
 電磁機動(マグネティブ・ムーブ)で更に上にあがり、コンクリートの塊をダウンしたサヤに投げつけた。
 キャンセルサポートを絡めたコンボを決め、美琴はサヤから大きく体力を奪った。体力差は若干美琴優勢である。
「やるじゃない!」
 美琴が電磁機動(マグネティブ・ムーブ)をといて地面に下りるのとほぼ同時に、サヤは起き上がった。
 そしてニッ、と二人笑い合うと、再び激戦が始まった。
 電神ドリームキャストは、皆の戦いぶりを見て、心踊らされる思いに包まれていた。
 絶無を倒すだけの力を持っているだけあってか、戦いは目の前の相手を倒すことに執着するのではなく、むしろ楽しむ事を大切に繰り広げられていた。
 互いに恨みや憎しみといった感情はない。力の差がほとんどない者同士の戦いは、見る者全てを愉快な気持ちにする。
「二人とも頑張ってください!」
 電神ドリームキャストは、抑えきれず声をあげてしまった。
 サヤと美琴は、電神ドリームキャストに一瞥をくれた。その目はやはり楽しさに溢れたものだった。
 そして戦いはついに佳境を迎える。
――見ていますか、私の創造主様?――
 電神ドリームキャストは、自らを世界に生み出した存在に呼びかける。
 その存在は今、電神ドリームキャストを生み出した時とは姿形をすっかりと変えてしまった。しかし今は、様々な娯楽を創造する仲間同士と合わさることで、かつてのような、いや、それを超えるほどの認知度を誇る存在となった。
――私が、最後の夢を繋ぐ希望の担い手でした。しかし、力及ばず、創造主様を窮地に追いやる事になってしまいました。ですが、彼女らならばきっと、成し遂げられましょう。私ができなかったことを……――
 突如辺りが物凄い光に包まれた。同時に勝敗が決したようだが、眩しくて立っているのはどちらか分からない。
「勝負あり、だな……」
 ミロクの声がした。
「いやあ、おめでとう。君の勝利だ」
 臨也の勝者を称える声もする。
「ミッションコンプリートです!」
 ミイナの声はしゃぐようなものだった。
「この勝負、私の勝ちね!」
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 3 作家名:綾田宗