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電撃FCI The episode of SEGA 3

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 理由は分かりかねたが、丸ノ内から生体反応を出しているS級能力者は、並みいるドラゴンを次々となぎ倒し、今もまたドラゴンと戦っている。
 そして、ドラゴンとの連戦に次ぐ連戦で疲弊している事も予想される。そのような状態で真竜と相対してしまえばどうなるか。並のドラゴンとは比べ物にならない大きな力の前で、倒されてしまうことは確実である。
「私は、今丸ノ内で戦っている子を助ける意味でもすぐに作戦に移った方がいいと思うの。これ以上、ドラゴンで死ぬ人は見たくない……私個人の意見だけど」
 サヤ、その他ムラクモ機関の人間は、二度にわたる竜災害によって多くの人々が死んでいくのを目にしている。その犠牲者の中には、共にドラゴンに立ち向かい、真竜を討ち取る事を約束した仲間もいた。
 サヤはこれ以上、彼らのような犠牲を増やしたくなかった。
「今ここに、私達しかいないんだったら、私達の手で何とかするしかないわ。だからミロク、ミイナ、二人の力が必要なの!」
「サヤ……」
「そのように、考えていたのですね……」
 サヤの必死の思いに、二人の心は揺さぶられた。
「そこまで言うんじゃ、しょうがねえな!」
「ミロク……?」
「私達にできるのはサポートです。絶対にサヤを……いえ、決して誰も死なせないナビをします!」
「ミイナ!」
 二人が協力してくれる事になった。しかし、事は順調に進みそうになかった。
「ただし、一つ問題がある。今オレ達が持っている携帯端末は動いているが、議事堂の司令室の装置は全部止まってる。
都庁の方のシステムもとても使い物にならない……」
「つまり今回の作戦、私達も丸ノ内に行って、サヤのすぐ後ろで後方支援をしなければならない。サヤの足を引っ張るかも……」
 二人は、演算能力や情報処理能力はコンピューターをも凌ぐ速度、精度を誇るが、人工的に手を加えられたもの故にその反動として肉体的には虚弱なものになっていた。
 長時間外部にいるだけで、すぐに体を壊すほど弱く、身体能力も皆無である。そんな自分がサヤの後ろを付いていけるか、ミイナは不安になっていた。
「大丈夫、心配しないで。二人の事は私が守る!」
 サヤは胸を張る。
「その代わり、全力でサポートをお願い。絶対に傷付けさせたりしないから!」
「サヤ……!」
「ああ、それから、もし外にいる時間が長くて具合が悪くなっても私が治療してあげるわ。キリノから二人の処置法は聞いてるから」
 サヤのこの言葉を聞き、二人は青ざめた。
「お、おいおい、まさか、ち、注射は射たないよな!?」
「苦い苦いお薬は絶対に嫌だからね!」
 虚弱体質の二人は簡単に体を壊しやすく、処置を受けることが多かった。そのためミロクは注射が、ミイナは苦味の強い薬が大の苦手であった。
「あはは……大丈夫よ。体を壊さなきゃいいだけの話じゃない? まあでも、もしも壊しても、キリノ直伝の注射とお薬があるからその時は私が何とかしてあげるわ!」
 サヤは冗談めかしく笑っているが、二人にとっては心中穏やかではなかった。
「さて、下らない事言ってないで早く行きましょう。目指すは丸ノ内よ!」
「ああ、用意はできている」
「いつでも行けます」
「それじゃあ行くわよ!」
 僅か三人だけのムラクモ機関による、丸ノ内攻略作戦が始まったのだった。
    ※※※
 丸ノ内の周辺は、先の竜災害の時そのままの風景であった。
 駅舎から不気味な七色に輝くクリスタルのイバラが伸び、辺りはドラゴンの支配下である証の毒花、フロワロが場所を問わず咲き乱れている。
 風に乗ったフロワロの赤い花弁が、辺りも赤く染め上げていた。
「いつ来ても気分が悪いわね。相変わらずキラキラ光るイバラに、あっちこっちにフロワロが咲いてるわ……」
 サヤはナビ二人を見る。
「ミロク、ミイナ。辺りのドラゴン反応、生体反応は?」
 二人は屈み込んでいた。
「二人とも、大丈夫!?」
「平気、です……少し疲れただけですから……」
「なかなか大変な道のりだったからな……」
 ナビ二人の疲れは色濃く出ていた。
 議事堂から丸ノ内までの距離もなかなか長いものであったが、それ以上に二人にとっては道中が非常に険しいものだった。
 ドラゴンの来襲によって荒らされた東京は、舗装されたまま姿がそのままの道の方が少なく、道路がめちゃくちゃなものになっていた。
 特にも丸ノ内までの道は非常に荒れており、倒壊した建物に行く手を遮られ、クリスタルのイバラが道路にまで及んでいた。
 丸ノ内へ続く道は、険しい登山道にも
等しく、道なき道が続いていた。
 身体能力が非常に高いサヤは、その能力を存分に活かして五メートルをも超える高跳び、十メートルに匹敵する幅跳びをしながら行く手を遮る障害物をものともせずに進んだが、ナビ二人はそうはいかなかった。
 演算能力に特化した二人は身体能力がほぼ皆無であり、サヤのように飛んだり跳ねたりということはできなかった。
 高跳びしなければ進めないところがあれば、サヤが用意してくれたロープをよじ登り、幅跳びするところはサヤにおぶさって先へ進んだ。
 そして最高に険しい道を過ぎた後、まだまだ長い道を、徒歩で進まなければならなかった。体力のない二人がここまで無事にたどり着く事ができたのも奇跡に近かった。
「これは仕方ないわね、突入は少し休んでから……」
 ふと、サヤは違和感を感じた。
「どうしたんだサヤ、急に難しい顔して?」
「……何かがおかしい」
「おかしい、ってここはドラゴンの勢力下なんですよ? 何が起きたところで、なんら不思議は……」
「赤い……そう、赤いんだわ!」
 サヤの発言は突飛なもので、いまいち要領を得ない。
「サヤ、お前さっきから何を言って?」
「ねえ、二人とも。ここにある反応って、真竜反応、フォーマルハウトの反応よね?」
「確かにその通りですが」
 ミイナが答える。
「奴の、フォーマルハウトの支配下に置かれた場所のフロワロは真っ黒じゃなかった?」
 ついに二人にも合点がいった。
 丸ノ内は一度、帝竜ティアマットに支配されているが、その時は確かにフロワロの色は赤だった。
 しかし、議事堂が直接フォーマルハウトに襲撃された時、そしてその後の東京に咲くフロワロは、異常なまでに毒性の強まった黒いフロワロとなった。
 そのため、フォーマルハウトに支配されている今、ここに咲いているフロワロが黒ではなく赤なのが非常におかしいことだったのだ。
 更にサヤには、違和感を感じるところがあった。サヤはその違和感の理由を確かめるため、一輪のフロワロへと歩み寄った。
 そしてサヤはそのフロワロへと手を伸ばし、摘み取った。ナビ二人は仰天する。
「サヤ!? 何をしている!? 早く捨てろ!」
「人を死に追いやる毒のある花ですよ!? 例え一輪でも、ただでは……!」
 毒素の一層強い黒いフロワロに比べ、赤いフロワロの毒性は弱めであったが、手に取るなどということがどれほど危険なことか、フロワロについてよく知る二人は飛び上がりそうなほどに驚いてしまった。
 サヤは更に、追い討ちをかけるような行動をとった。フロワロを顔に近づけ、その香りを嗅いだのである。
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 3 作家名:綾田宗