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電撃FCI The episode of SEGA 3

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「S級能力者……! 一緒にしてほしくないわね。非人道的実験で造られた戦闘マシーンと、私の幾度となく挫折を味わって、やっとたどり着いた超能力者(レベル5)の力をそんな非道なものとはね!」
「なんだって!」
 ミロクが美琴の言葉に反感を覚える。
「よしなさい……」
 それを止めたのはサヤである。
「サヤ、どうして止める? 言われっぱなしでいるつもりか!?」
「落ち着いて、ミロク。私はあの子に話しがあるだけだから」
「でも!」
「ここで騒いでいても何も解決しません。それに、私達はサヤのようには戦うことができないんです。ここはサヤに任せましょう、ミロク」
「くっ、ミイナ……!」
 ミイナにも諭され、ミロクは言葉を失ってしまった。
 二人が話す間に、サヤは美琴と向き合っていた。
「聞いてちょうだい」
「何よ、極悪人」
「私は確かにナツメという女に踊らされた。知らなかったとはいえ、許されないことに加担してしまった。それは認める、でも聞いてほしいの!」
「あんたも実験で生まれた存在なんでしょ? だから生みの親には逆らえない、そうでしょ!?」
 美琴の感情の昂りを示すかのように、彼女の体からバチバチと電気が弾け出した。
「違う、私は……!」
「問答無用!」
 美琴はスカートのポケットからコインを取り出し、構える間もなく空中に指で弾き飛ばした。
 コインが落ちてくる僅か数秒の間に、美琴は手の周辺に電気を集中させ、高圧電流による磁界を作り出した。
 空中を舞うコインが美琴の手元に戻る瞬間、美琴の手に発生した磁界のローレンツ力によって、コインはプラズマを伴って超音速の弾丸と化した。
 最早かわせるものではなかった。しかしサヤは、人間の力を超えた能力により、驚くべき現象を引き起こした。
 美琴の音速を超えた弾丸が発射されようとする瞬間を見切り、腰を落として刀に手を添えた。そして発射されたその瞬間、サヤは大きく踏み込み抜刀した。
「えっ……!?」
「なにっ!?」
「そんな……!?」
「おおう、これはこれは……」
 臨也だけは大した驚きを見せなかったが、ミロクとミイナは目の前に起こった現象を理解できず、また、超電磁砲(レールガン)を撃った美琴本人も信じられない様子だった。
 サヤが超電磁砲(レールガン)の弾丸であるコインを発射の瞬間に真っ二つに切断し、プラズマの発生を上下二方向に分けたのである。
 片方はすぐに地面に落ちて表面を焦がし、もう片方は空へと走って消えていった。
 自身の最大の必殺技である超電磁砲(レールガン)を予想などとてもできない方法で無力化され、呆然とする美琴に、サヤはチャキッ、と切っ先を向けた。
「ひっ!」
 一瞬怯む美琴であるが、すぐに立て直して地面に屈んで手をつくと、地面に電流を流して電磁力で砂鉄を巻き上げた。
「っ!?」
 サヤは、砂鉄にも高圧の電気が帯電しているのを感じ、感電を防ぐために砂鉄の届かない位置へと飛び退いた。
 美琴はかなりのショックを受けていた。必殺技である超電磁砲(レールガン)を反射されたり、あっさりとかわされる事は確かにあったが、真っ二つに分かたれてしまうのは初めての事だった。
 超電磁砲(レールガン)の通用しない要因は、いくつか考えていたものであったが、サヤの行った事は予想などできるはずもなかった。
「くっ……何て能力……!?」
「私の能力、しいて言うなら、人を遥かに超えた身体能力ね。あなたみたいに器用なことはできない……」
 サヤは、凡人数百人分、もしくは一軍さえも超える身体能力を持っていた。ムラクモ機関による分類では、身体能力にS級の能力を持つ者をサムライと分類されている。
「私には、その気になれば光速だって見切ることができるの。あなたの超電磁砲(レールガン)は音速の三倍くらい。そのくらい止まって見えるのよ!」
「私の超電磁砲(レールガン)を、そんな……。ふんっ! じゃあ差し詰め、あんたは人体改造の大成功品って所かしら!?」
 美琴は虚勢をはってみせる。しかし、それに対しサヤは淡々と答える。
「私は、ミロクやミイナとは違う。この力はあの子達のように人工的に与えられたものじゃないわ。言うなればこの能力は、この星から与えられた力よ」
「星、ですって……?」
 話があまりにも壮大的かつ、科学的な根拠が皆無であるため、美琴は絶句してしまった。
「あまりに荒唐無稽な話に聞こえるかもしれないけど、これから言うことは全部真実、嘘偽りは一切ないわ……」
 そう言うと、サヤは自らの存在がなんなのか、それを話し始めた。
 どこまでも広がる宇宙には、億兆の星が存在し、そのほとんどには生命というものが存在しない。
 星に生命が宿るか否か、それを決めるのは天文学的数値の確率論などではなく、全宇宙を統べる存在によるものだった。
 その宇宙全てを統べるのが真竜、すなわちドラゴンである。
 全てのドラゴンの長である真竜は、億兆に存在する星の中から意のままに選び出し、そこへ生命の誕生する種を蒔く。
 そして生命が誕生し、文明が築かれるまでの悠久の時を経て、真竜は再びその星を訪れる。自らの蒔いた種が芽吹き、文明を開拓するまでに発展した生命を喰らうために。
「……私達人類も、突き詰めれば、ドラゴンによって生み出された存在に過ぎないのよ」
「ほぉ……じゃあ俺の大好きな人間を作り出してくれた大元は、神様なんかじゃなくドラゴンだって君は言うわけだ。君の言ってることが本当だとしたら、ドラゴンって人間が感謝すべき存在なんじゃないかな? それなのに君はさっき……いや、あの様子じゃこれまでもなんだろう。ドラゴンを何のためらいなく殺してきた。おかしな話じゃないかい? 生みの親をやすやすと殺すなんてさぁ」
 臨也は特に驚く様子もなく、長々と口を挟んできた。
「確かにそれは、一理あるかも知れないわ。けれど、ドラゴンのためなら命を差し出すような人なんて、あなたは本当にいると思うかしら?」
「いや、ないね。自分で言い出しておいてなんだけど、これってドラゴンの勝手だよねぇ。生まれさせてやったんだから大人しく喰われろ、なんてさ。俺達人類は生んでくれなんて頼んでないんだしさ」
 臨也は一人納得したような様子である。
「話を続けるわ。さっきも言ったように、星に生命は存在しない。何故なら星そのものが意思を持つものだから……」
 宇宙に億兆と存在する星には、生命を生み出すような力は存在しないものの、星そのものには意思があった。
 星がドラゴンの手による破滅の危機に陥った時、ドラゴンが創造した生命体に、ドラゴンに対応しうる力を与える、という意思と機能があった。
 真竜という脅威から逃れるほどの力を与えられた生命体は、S級能力者、狩る者、ハントマンなどと様々な呼ばれ方があるものの、その全てがその星の生命体の能力を圧倒的に超えていた。
 地球の場合であれば、人類という最も発展した生命体に、地球から真竜に抗えるだけの力が与えられ、サヤのような人間を遥かに超えた存在が出現したということになる。
「私は、全ての竜を狩り尽くすために星の意思に選ばれた人間。ナツメの実験から生み出されたんじゃない。私のこの力は、星から与えられた正当なものなのよ」
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 3 作家名:綾田宗