撮・影・感・度
顔の判別も付かなければその下の身体も細身で、一見すると男なのか女なのかすら解らないが、身長はどうやらゾロとそう変わらないらしい。
ただ猫背気味なので少し低く見えるが。
その身体に纏うのは、薄いブルーのシャツにオフホワイトのセーター。
シャツの襟はヨレているし、シャツの裾も片方だけだらしなくウェストからはみ出していたりする。
下はジーンズに薄汚れたスニーカー。
…オシャレのオの字もない。
普段服装にまったく頓着しないゾロですらそう思うのだから、サンジのその姿はあまりにも酷いと言う事なのだろう。
そんなサンジがファッション誌の写真を撮るなど、大丈夫なのかとゾロは本気で思った。
そのゾロの心配を余所に、ベンはいつも通り事務的にゾロへ話しかける。
「コイツの腕はシャンクスも認めている。後はサンジの指示通りやってくれ」
…本当かよ。
と、ゾロは思う。
はっきり言って、信じられない。
後は任せる。そうサンジに告げてスタジオから出て行くベンを見送ってから、ゾロは再びサンジをまじまじと見た。
同じくベンを見送ったサンジもゾロに向き直り、
「…ヨロシク」
始めてゾロに向って口を開いた。
ボソリと呟かれた不明瞭な声。
直ぐにサンジは自分のカメラを弄り始める。
その姿はまるでカメラオタクのカメラ小僧だ。
(…大丈夫かよ、オイ)
改めてゾロは心の中で呟いて、天井を仰いだ。