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Lovin' you after CCA5〈前編〉

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「うん、自分で抱え込んじゃうところ。」
「え?」
アルはクスリと笑い双子へと視線を向ける。
「ニュータイプは僕たちオールドタイプでは気付かない事も察知してしまう。けれどあくまで感覚的なそれを言葉で言い表すのは難しいから結局そのまま自分の中に抱え込んでしまうんだ。」
「あ…。」
「ふふ。長い事アムロや子供達と接しているとね。何となくそう言うのが分かるようになってくるんだよ。気になる事があるなら教えてくれ。僕で役に立つなら手を貸すから。」
「…アルフレッドさん…。」
優しく微笑むアルを見つめ、カミーユは小さく息を吐いてアルに向き合う。
「そんな風に言ってくれる人初めてです。」
「そうかい?」
「ええ、アムロさんが貴方を頼る理由がわかります。」
「これでも何年か偽装夫婦をしてたからね。」
「そのまま本物にしちゃえば良かったのに。」
「そうしたかったんだけどね。アムロは一途だから…。結局振り向いて貰えなかったよ。」
「一途…そうですね。クワトロ大尉はそうでもなかったみたいですけどね。」
「違いない」
「それで…、気になってる事なんですけど…」
「分かった。それは僕の方で調べてみるよ。」
「お願いします。」



ーーーーーー


「お兄ちゃん!早くお母さんのお見舞いに行こうよ!」
ダイニングルームで朝食を終えたライラがカイルにしがみつく。
「ライラ、面会時間は午後2時からだよ。」
「ええぇ。今から行っちゃダメなの?ライラ早く赤ちゃん見たい!」
「ふふ、ライラ。慌てなくても赤ちゃんは逃げなくてよ?午前中は医師の回診なんかもあるからもう少しお待ちなさいな。」
「ええ!セイラ叔母さんまでっ」
セイラに言われてライラがシュンとする。
そんなライラの頭を撫ぜながらセイラが微笑む。
「それよりもライラ。午前中はピアノのお稽古があったのではなくて?」
ライラはギクっとした顔をすると思い切り嫌な顔をする。
「今日はお休みしちゃダメ?」
「ダメよ」
きっぱりと言い切られがっくりと肩を落とす。
ピアノは嫌いでは無いが先生が怖いのだ。
少しでも間違えるとピシャリと叩かれる。
別にピアニストになる訳では無いのだから楽しく教わりたいのに…。
ライラは溜め息を吐くと「はい」と頷いた。
「そんなにガッカリしないで。2時になったら私が連れていってあげるわ。」
「本当!?」
「ええ。」
にこやかに答えるセイラにライラがしがみつく。
「ありがとう!セイラ叔母さん大好き!」
「カイルもそれでよくて?」
「あ、僕はこれからお父さんの所に行くのでそこから直接病院に行きます。」
「あら、最近よく兄さんの所に行っているわね。」
「はい。少しでもお父さんの役に立てるようになりたいので…。」
それを聞いてセイラが目を細める。
「…カイル。貴方は無理に兄さんの後を継がなくても良いのよ?兄さんもアムロも貴方の自由に生きていいと思っているわ。」
「ええ、お父さんもお母さんも僕の好きにして良いって言ってくれてます。だから僕はやりたい事をしてるんです。」
その意志の強い瞳にセイラはアムロの瞳を重ねる。色は兄と同じブルーだが、その輝きはアムロのそれと同じように己の意思を貫く強さがあった。
「そう…。それならばいいわ。貴方の好きになさい。」
セイラは優しく微笑むとカイルの頬にキスを贈る。
「私はいつでも貴方達の幸せを祈っているわ。」
「ありがとう。セイラ叔母さん。」


ライラはピアノのレッスンを受けながら何か胸騒ぎを感じた。
不意に手を止め辺りを見渡す。
「どうしました?ライラ様。続きを忘れてしまいましたか?」
「いえ…。すみません。」
続きを演奏しようとするがどうしても嫌な予感が脳裏を過ぎり手が動かない。
「ふう。ライラ様、少し休憩しましょう。15分したらまた参ります。良いですね?」
「はい、先生。」
ライラはその胸騒ぎに息が詰まりそうになる。
そして、急いで赤ちゃん達の所に行かなければという思いに駆られ、気付いた時には部屋を飛び出していた。


その頃、病院ではカミーユがアムロの病室を訪れていた。
「アムロさん、体調はどうですか?」
「カミーユ!」
アムロはベッドの背を少し上げてカミーユを歓迎する。
カミーユはアムロの側まで行くとそっと熱を確認する。
「まだ少し熱がありますね。」
「ふふ、心配性だなぁ。これくらい大丈夫だよ。」
「アムロさん。無理は禁物です。医者の言うことはちゃんと聞いて下さい。」
その医者らしい口ぶりにアムロが微笑みを浮かべる。
「はい、カミーユ先生」
その笑顔につられカミーユも微笑む。
「アムロさんの笑顔が見られて良かった。昔…最後に見たのは泣き顔だったから…。」
その言葉にアムロが少し悲しげに微笑む。
ダカールでシャアに抱かれた後、側で支えて欲しいと言うシャアの手を振り払った。
愛する人の願いを受け入れられない事が…側にいられない事が辛くてディジェのコックピットで膝を抱えて泣いていた。そこに心配したカミーユが来て慰めてくれたのだ。
「うん…そうだね。カミーユにはいっぱい心配掛けちゃったね。それに…ゴメン。あの時私は何があってもシャアを信じて宇宙に上がるべきだった…。そうすればカミーユもあの人もあんな事にはならなかったかもしれない…。」
薄っすらと涙を浮かべるアムロをカミーユはそっと抱き締める。
カミーユに抱きしめられ、アムロは思ったよりも大きなカミーユの胸に驚く。
昔は自分とあまり変わらないくらいの背丈や体格だったのに、長い年月は少年を青年へと成長させていたのだ。
「カミーユ…。ふふ、大人になったね…。」
カミーユは腕の中にすっぽりと収まってしまう華奢なアムロに自身の成長と彼女の温もりにある衝動が沸き起こる。
そして思わずギュっとアムロを強く抱き締める。
「カ、カミーユ痛いよ」
「あっすみません」
カミーユは慌ててアムロを離すとグッと拳を握り締める。
『俺、何やってるんだ』
動揺するカミーユを気にする事なくアムロが笑い掛ける。
『この人は大尉の大切な人だ。俺が触れて良い人じゃ無い』
カミーユは必死に自分の心に蓋をしてアムロへと笑顔を向ける。と、その時脳裏に危険を知らせる予感が過ぎる。
それはアムロも同じだったらしく二人は目を合わせて周囲に注意を向ける。
「何だ?何か危険が迫ってる…。アムロさん、貴女はここを動かないで下さい。俺が様子を見て来ます。」
「う…うん。」
今の自分が動いても足手まといなのは明白だった為、アムロは素直に頷いた。
カミーユが廊下を歩いていると前から走って来た小さな女の子とぶつかる。
「あ、ごめんなさい」
カミーユは女の子を抱きとめると頭をポンと叩く。
「コラっ廊下を走っちゃダメだよ。」
「ごめんなさい!急いでたの!何だかわかんないけど危ないの!!」
「危ない?」
カミーユは女の子のその言葉に驚き、しゃがんで目線を女の子に合わせる。
「何が危ないんだい?俺に教えてくれないかい?」
女の子は目の前に降りて来たカミーユの鳶色の瞳を見つめる。
と、その瞬間、二人の間に宇宙が広がった。
「きゃっ!何!?」
驚く少女の手を取り、カミーユが優しく微笑む。
作品名:Lovin' you after CCA5〈前編〉 作家名:koyuho