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Lovin 'you after CCA 5 〈後編〉

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初めの爆発も実は特殊部隊により既に解除されており、音と煙だけが発生しただけだった。
そして、ロビーの人質を確認する。
やはりカイルの読み通り仲間が紛れ込んでいた。それを人質に混じって潜入していた特殊部隊員に伝えるとライラはふうっと大きく息を吐き、身体から力を抜く。
《ライラ、ご苦労様。疲れただろう?》
「お兄ちゃん!ライラのやる事はこれで終わり?」
《ああ、あとはお父さんとジュドーさん達が何とかしてくれるよ。》
「分かった。それじゃ、後はライラの好きにして良いよね?」
《ライラ!?》
ライラは立ち上がると部屋を飛び出した。
「ライラちゃん!?」
突然走り出したライラにカミーユが慌てる。
「カイル君!ライラちゃんが!」
《あぁぁ。やっぱり無理か。カミーユさん、すみません。ライラをお願いします。》
「カイル君!?」
《多分、双子のところに向かったと思います。ライラにしてはよく我慢した方かも…。》
溜め息混じりに言うカイルの心情を察すると、カミーユはクスリと笑う。
「ライラちゃんって顔はアムロさんにそっくりだけど中身はクワトロ大尉似ですね」
《…そうかも…》
「分かった。ライラちゃんの事は任せて!」
《お願いします。》

溜め息を吐くカイルの横でナナイがクスリと笑う。
「大佐の血を受け継いでらっしゃるのはカイル様だけではありませんね。」
「ナナイさん?」
「さぁ、そろそろ仕上げでは?」
「はい。」
カイルは端末に向き合うと更に指示を出していく。
その包囲網はテロリスト達に悟られる事無く、ジワジワとテロリスト達を追い詰めていった。
それを横で見ながらナナイは心の中で思う。
『末恐ろしいお子様だ事…。』

緊迫した雰囲気のロビーが突然ざわつき始める。
総帥服を身に纏ったシャアが堂々とテロリスト達の前に現れたのだ。
テロリストの一人がシャアに銃を向けながらニヤリと笑う。
「本当に来るとはな。そんなにあの女が大事か?」
シャアは一瞬眉をひそめると、男に視線を向ける。
「このところ頻発しているテロ行為も君たちの仕業か?何が目的だ?」
冷静なシャアの態度にイラつきながら男が答える。
「ああ、俺たちだ。目的は分かっているはずだ!」
「…私はリーダーと話がしたい。」
「何ぃ!?」
「聞こえなかったか?君はリーダーではないだろう?私自らここへ来たのだ。そちらもリーダーが話をするのが筋だろう?」
興奮した男がシャアに銃口を向ける。
「なんだと!?」
「やめろ」
冷静な声が男を諌める。
細身の男がスッと姿を現し、シャアの前へと歩み寄る。
「君がリーダーか?」
「ああ、そうだ。」
男は顔を布で覆ったままシャアに答える。
「では聞こう。目的は何だ?」
「その前に確認したい。あそこにいる女は地球連邦軍 外郭新興部隊 ロンド・ベル モビルスーツ隊 隊長 アムロ・レイ大尉で間違いないか?」
その問いにロビー中が騒めく。
シャアはアムロに視線を向けると小さく頷き、リーダーの男へと視線を戻す。
「…ああ。間違いない。アムロ・レイだ。」
その答えにロビー中が…いや、この映像を見ているスウィート・ウォーター中の人々が驚愕する。
「そして、あそこにいる双子の赤ん坊はお前達の子供で間違いないな?」
ロビーの吹き抜け、二階の踊り場に双子達の入った保育器を押すハンナがいた。
「ハンナ!!」
それを見たアムロが叫ぶ。
シャアも一瞬目を見開き双子を見つめると、リーダーの男を睨みつける。
「質問に答えろ。」
「…。ああ、間違いない。それがどうした?」
「それがどうしただと?貴様、ネオ・ジオンを率いていながら連邦のアムロ・レイと通じていたんだろう!?ネオ・ジオンに対する裏切りだ!」
シャアが目を細め不快を露わにする。
「そしてアムロ・レイ!!この女は性別を偽り、仲間を騙してシャア・アズナブルと通じていたんだ!ラサへの5thルナ落下作戦もワザと見過ごしたんじゃないのか?」
アムロに向かって男が叫ぶ。
「何を馬鹿なことを!!そんな訳ないだろう!」
「では何故生きている!?死んだと見せかけて何故ネオ・ジオンに、シャア・アズナブルの元にいる!?」
「それは!」
アムロは言葉に詰まる。
「貴様達に自軍を信じて命を落とした兵士の気持ちがわかるか!?遺された者の気持ちが判るか!?」
男の叫びにアムロは言葉を失う。
あの戦争で多くの命が失われた。それは紛れも無い事実。
「君は元連邦軍人か?」
シャアの問いに男がビクリと反応する。
「君はあの戦争が無意味だったというのか?」
「違うというのか!ラサに5thルナを落として無意味に人々を殺戮し、今度はアクシズを地球に落とそうとした!スペースノイドの自由を求めると言いながら貴様のやった事はただの大量殺戮だ!」
男は興奮してシャアに摑みかかる。
「では、地球連邦政府は君にとって正義だと?」
「そうだ!」
「アムロが私と共にいるのが裏切りだと言うのか?」
「1年戦争の英雄が何故、敵である貴様と共にいる!?裏切り以外の何だと言うんだ!」
シャアは小さく息を吐いて男を睨みつける。
「君はアムロがどうして1年戦争で戦っていたか知っているのか?まだ子供だった。正規の軍人でもなく、サイド7の避難民だった彼女がどうして最前線で戦うことになったのか。そして、戦後彼女が連邦からどんな扱いを受けていたのか、知っているのか?」
「現地徴用兵だろう?モビルスーツの腕を買われて志願兵として軍に入り、戦争によってニュータイプとして覚醒した。そして、連邦を勝利に導いたんだ。戦後も軍に所属し貴様と戦った。」
昔メディアで流されていた情報をそのまま話す男にシャアが大きな溜め息を吐く。
「何だ!違うとでも言うのか!」
「全く違うな。軍に志願してなどいない。それに戦後は退役する事も許されなかった。そうだろう?アムロ。」
突然話を振られてアムロが顔を上げる。
「え、あ…、うん。父親が開発に携わっていたガンダムに衝動で乗り込んで、ザクを倒したら…その後はそのままなし崩し的にホワイトベースに乗る事になって…。ガンダムを降りたいって…戦いたくないって言ったけど…受け入れて貰えなかった…。戦後は…」
アムロは言いかけて言葉を止める。
いや、震えて声が出なかった。
そのアムロの代わりにシャアが言葉を続ける。
「戦後、彼女は仲間から隔離され、連邦のニュータイプ研究所で被験体として拷問の様な人体実験を受けた。その後、危険人物として7年もの間、北米のシャイアン基地に幽閉された。」
「なに…」
男は目を見開きアムロを見つめる。
「そして、グリプス戦役時、内部分裂を起こし監視の目が緩んだ隙を見てアムロはシャイアンを脱走し、反地球連邦組織カラバに合流した。当時エゥーゴに参加していた私とはそこで再会した。私は彼女に惹かれ、同志となり共に戦おうと求めた。しかし、彼女は私の差し出した手を振り払った。いや、人体実験の影響で…手を取れなかったんだ。」
ロビーの人々がシャアの言葉に聞き入る。
作品名:Lovin 'you after CCA 5 〈後編〉 作家名:koyuho