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天衣創聖ストライクガールズ 第一章:セラ・レイトン

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それを聞いたセフィーナは更に表情を険しくして言った。
「それ、恐らくヴィーン・ボウの手の者です。」
「え・・・でも人間だったんだぜ?」
「敵はこの前のような人外の者ばかりではありません。あれらを操っているのはやはり人間なんですから。」
「いやでも・・・」
第一印象で友達になれたら面白そうな奴、と思っていた彼は反論しようとした。
「消えた。違いますね。ここから飛び降りたんです。きっと。マスター、最近そんな経験をしたばかりですよね?」
言われて思い出した。ベランダのすぐ下に浮かんだセフィーナを。
「ヴィーン・ボウと決めつけるのは早いかも知れませんが、ウィザーディアの天衣使いという公算は100%に近いです。」
セフィーナはきっぱりと言い放つ。しかしどうしてもそんな風には思えない龍之介は、単純な疑問を口にした。
「じゃあ、なんであの娘は俺に何もしなかったんだ?」
「・・・それは、わかりません。でも、エクスタシオを持つあなたの前に現れたウィザーディアの人間、警戒するに越した事はないです。マスター、気を付けてくださいね。」
「・・・そうか。そうだな。分かったよ。」
そう言うと龍之介は、再び素振りを始めるのだった。

その夜。
「えーーーーーーっ!お姉さま、今ここで寝泊まりしてるんですか!?そんな、冗談じゃないです!うら若き乙女がこんな男とひとつ屋根の下だなんて危険すぎますです!」
「あ、あのね、キリスちゃん、仮にも私たちのマスターなんだしこんな男ってのは・・・」
キリスの剣幕にセフィーナが苦笑いしながら言う。この二人と龍之介の三人は今夜からキリスがどこで寝泊まりするかについて話し合っていた。セフィーナの提案は、今自分が生活している部屋が空いているからそこへ、というものだったが、キリスは猛然と抗議していた。
「ほら、マスターはいつヴィーン・ボウに襲われるか分からないし、対抗できる私がそばにいないと・・・」
「そんなの、別の意味で危険すぎますです!貞操の危機ですよ!」
「そんな、大丈夫よ。マスターって結構紳士だから。」
その言葉を聞いた龍之介はドキッとした。あれから数日、セフィーナとこの部屋で過ごしている訳だが、かわいい女の子がすぐそばにいる環境、ドキドキしっぱなしと言ってもいい状況だった。特に彼女がシャワーを浴びている時などはえっちな想像が頭から離れず、屋上で素振りして時間を潰したりしていた。
「いーえ、駄目です!そういう事ならキリスもここに泊まりますです!ヴィーン・ボウから守るって事なら二人いた方がいいですし!」
「いや、そうかも知れんけどこの部屋そんなに広くないし・・・」
そう言う龍之介にキリスは、
「ふふふ、ちょっとした魔法を使いますです。」
勝ち誇ったどや顔でそう告げると、なにやらぶつぶつ言い始めた。
「魔法って・・・」
そう言い掛けた龍之介にエクスタシオが語り掛ける。
(ウィザーデイアの人間はみんな、ある程度の魔法が使えるんですよ。精霊の力を借りていろんな事が出来るんですけど、その代わり科学技術はこちらの世界ほど進んでいません。逆にこちらの世界は精霊の存在が希薄なんで、なんでも出来る、と言うわけにはいかないみたいです。)
「へえ・・・つまりあれは呪文の詠唱、みたいなもん?」
(そうですね。)
やがてキリスは詠唱を終え、ゆっくり目を開けるとため息をつきながら言う。
「ふう、終わりました。この世界は精霊の数も少ないし、力も弱いしで時間かかりましたですよ。」
「終わった・・・って何が?」
龍之介の質問に、キリスは彼の後ろを指で指し示した。そこには襖がーーー何も無かったはずの壁にーーーあった。
「はあ?なんだこりゃ?」
龍之介はとりあえず襖を開けてみた。中は上下二段に別れた、そう、押し入れになっていた。その上段には布団一組が敷いてある。
「へえ、こんな事が出来るんだ。なるほど、キリスはここで寝るって事だな。」
「何言ってるんですか、ここで寝るのはあなたです。」
「・・・は?」
「当たり前でしょう。乙女二人と野獣一人。隔離するべきはどちらかは明らかです。」
「キリスちゃん・・・」
「寝てる間は襖ロックしますからお姉さまは安心して寝てくださいね♪」
「ここ俺の部屋なんですけどーーーーーー!」
そして三人の妙な同居が始まった。



第三話 ドキドキしましたです!
ぶんっ!ぶんっ!
ある早朝。龍之介は今日も日課の素振りをしていた。下手に外出など出来なくなってしまったので大学には休学届けを出した。そのため、やる事が極端に減ってしまった彼は素振りをする時間が多くなっていた。だがもう一つ、動機があった。例の少女がまた現れるかも知れないという期待だった。

そうだな。分かったよ。

そうは言ったものの、あの少女にはもう一度会ってみたい。命の危険があるとは解ってはいるが、今はそれよりも彼女への好奇心のほうが上回っていた。
「暑くはないのか?」
背後から声が掛かった。あの声だった。時期は初夏。夏日を記録する事もしばしばある時期である。
「よお、久しぶり。」
龍之介は声に振り返り、笑顔を見せてそう言った。
「暑いっちゃ暑いけどな。まあ慣れたもんさ。」
「慣れでどうなるものとも思えんが・・・」
龍之介は彼女のこの男のような語り口が気に入っていた。
「いや、なるぜ。実際熱中症ってあるだろ?あれって冷房があるせいでなる文明病なんだぜ?」
「熱中症・・・確かに私の故郷では聞かない病気だな。」
ひとつ、彼女がウィザーディアの人間である状況証拠が増えてしまった。科学技術が進んでいないというウィザーディア。セフィーナの話によると、この世界での蒸気機関による産業革命が興ったころ、丁度そのレベルにウィザーディアはある。という事だった。つまりエアコンなど彼の地にはあるはずも無いのだ。
「そうか・・・生まれは?涼しい所なのか?」
「ウィザーディアという所だ。」
龍之介はカマをかけたつもりだったのだが、彼女は何も隠すつもりは無かったらしい。龍之介は落胆しつつも平静を装い会話を続けた。
「そうか・・・この世界へは何しに来たんだ?」
龍之介はわざと「世界」という単語を使った。
「聖杖エクスタシオをウィザーディアへ取り戻しに来た。」
真正直に話す少女。龍之介は暑さからではない汗が噴出すのを感じていた。
「そうか・・・それがどこにあるのか知ってるんだよな。」
「ああ。」
「諦めてくれるって事は・・・」
「無い。」
「そう、だよな。じゃあなんでこの前も、今この場でも襲って来ないんだ?」
「君の守護霊だな。あまりに美しくて見とれてしまった。今も君に手を掛ける事を躊躇っている。」
「ではこの守護霊に免じて・・・」
「それは無い。」
「あっそ。」
「エクスタシオはウィザーディアに無ければいけない。その為には残念だが君の命を奪う事になる。」
「そこまでです!」
二人の会話を割って龍之介の背後からエンゲージクロスを纏ったセフィーナが叫んだ。ヴァージンクロスを纏ったキリスもいる。
「やっぱり・・・セラ、あなただったのね。どうして?」
セフィーナのその言葉にセラと呼ばれた少女は表情を変えた。もともとポーカーフェイスの彼女だが、更に冷たい表情を見せている。