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天衣創聖ストライクガールズ 第二章:ターニャ・ナッツ

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(シュガーシルエットであのポジションでしゃがんでるって事は、アソコ、マスターに丸見えって事で・・・)

プツン

その場の一同にそんな音が聞こえたような気がした。
「んなあああああにしてるんですかあああああああ!あなたはあああああああああああああ!」
セフィーナはそう叫び、娘に向かって突進していった。
「天衣開放!すくすくすいみんぐ!」
天衣開放すくすくすいみんぐ。自身をスピードアップさせる技である。だが・・・
「いたあっ!何すんねん!」
スクール水着自体が絶望的に弱い天衣であったため、特に耐久力増強型天衣のシュガーシルエットを纏ったその娘には優位属性であるセフィーナの攻撃も痛いで済んでしまうレベルのものに終わった。そして体勢を立て直したセフィーナは彼女に向き直ると、
「何じゃないです!あなたマスターに何する気ですか!そもそもあなた何者なんですか!事と次第によっては許しませんよ!」
そう一気にまくし立てた。そのセフィーナの剣幕に娘はしばらく考え込むと、
「・・・ああ!あんさん天衣乙女か!そんな水着着とるからわからんかったわ。」
ぽん、と手を叩いてそう言った。
「そんなって・・・私だって好きでこれ着てる訳じゃ・・・!」
「セフィーナ!落ち着きなさいってば!」
そこにシルクが追い着き、セフィーナを諌めると娘に向かって言った。
「どうやらあなたも天衣乙女ね?どうかしら。私たちと一緒にマスターを守ってくれないかしら?」
「天衣乙女?ちゃうで。ええか、ウチはヴィーン・ボウの使い、風天衣の乙女、ターニャ・ナッツや!」
「あの、天衣乙女って言ってますですよ?」
それを聞いたキリスが突っ込む。
「・・・ちごた、無し無し!風天衣の乙女無し!今の無し!」
ターニャと名乗った娘は慌てて発言を撤回した。その背後では龍之介が彼女に砂山を崩された事で戒めからの脱出に成功していた。
(ヴィーン・ボウだと?この娘も?・・・エクスタシオ、実体化出来るか?)
龍之介は頭の中のエクスタシオに呼びかけた。
(大丈夫です~。)
やがて龍之介の右手にエクスタシオが現れた。
(とは言え人目があるここで刀はまずいな。よし、それなら・・・)
龍之介がそう考えるとエクスタシオはその姿を変えていく。そしてその形は・・・ピコピコハンマーだった。龍之介は娘の背後に抜き足で接近して行く。そして一閃。

ぴこん

「いったーい、あんたも何すんねんなあ~。」
彼女は涙目になって龍之介に振り向いた。
「え・・・」
思わず声を漏らす龍之介。
(効果、ありませんねー。)
エクスタシオが言う。
(つまりそれって、洗脳なんかされてない!?)
(御明察。そういう事ですー。)
ヴィーン・ボウを名乗った彼女。龍之介の推測通り洗脳されている訳では無いらしい。
「ヴィーン・ボウなら仕方ない。マスターを狙う者は許さん。覚悟しろ。」
セラがそう言いながら一歩踏み出した。
「待ちいや。ウチは平和主義者やねん。そんな殺気立たれても困るわ。ウチはエクスタシオが欲しいだけやねん。あんたらとやりあいたい訳やあらへん。そやね、ここはひとまずおいとましとくで。」
彼女はそう言うと一歩飛びずさった。がそこには龍之介がいた。ぶつかられた龍之介はその場に転び、
「むぎゅ」
その顔には彼女のヒップが覆いかぶさった。いわゆるラッキースケベ状態である。それを見たセフィーナは
「なななななななな!もう、もう許さない!」
そう叫んで彼女に飛び掛ろうとするが、
「おお怖い。ほなまた来るで!」
ターニャはそう言うとセラの時のように光の固まりとなり、飛び去った。
「ま、待ちなさいよ!」
セフィーナは追い縋ろうとしたがそれは叶わなかった。
「マスター、大丈夫?」
その場に倒れたままになっていた龍之介をミントが気遣う。彼は大の字になって、鼻の下を伸ばし目をハート型にしていた。



第四話 ふっ・・・・・・・・ざけた話だなおい!
ターニャ騒動の後、一行は今夜の宿に到着した。海岸に面した松林の向こうに海を臨む立地で、ホテルと旅館の中間のような佇まいのどこにでもあるようなタイプの旅館だった。一行は部屋に通されると荷物を降ろすのもそこそこにターニャ対策会議を始めた。
「え?あの娘誰も知らないんだ?」
その龍之介の問いに答えたのはシルクだった。
「そうね。同じマスターを持つ乙女って言っても横の繋がりが必ずしもある訳じゃないわ。知らない娘も当然いる訳。」
「全部で40人近くいるって聞いた事ありますです。」
「実際、私はこの4人とは面識無かったしね。」
シルクの言葉をフォローしてキリスとミントが言う。
「そうか・・・って事は情報無しに等しいって事か。でも、彼女って悪意とか害意とか、そんなもんが無さそうに感じるんだけど。そう、実際ヴィーン・ボウに洗脳されてなかったしな。」
「え?なんでですか?」
キリスが疑問を口にした。
「俺、ピコピコハンマーで彼女殴ったろ。あれ、実はエクスタシオだったんだ。」
「そう、やっぱり・・・私、龍之介さんに対ビーン・ボウの障壁を仕掛けて置いたんだけど、彼女特に影響されてなかったし、そういう事なのかも知れないわね。」
シルクはそう言って頷いた。
「じゃあなんでエクスタシオを狙うんだ?」
「さあ・・・ただ、少なくとも龍之介さんとエクスタシオが融合しているって事には気付いてないようね。だから悪意も害意も無いんじゃないかしら。」
「うん・・・所でさ、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか?」
「え?何かしら?」
「ウィザーデイアの人間にはエクスタシオを俺から引き離す手段がある、ならその手段とやらを知ってれば俺なりにも対策が立てられるんじゃないかって・・・ん?どうした?」
その龍之介の言葉に女性陣は押し黙ってしまった。そしてまずシルクが口を開いた。
「えーと、その方法はね・・・そう、二つあって、まず一つは龍之介さんが死ぬこと。死んでしまったらエクスタシオは自動的に龍之介さんの体を離れるわ。これについては龍之介さんが死のうなんて思わない限り特に対策なんて要らないわよね。」
そして再びの沈黙。
「おい、二つのうちもう一つは?」
痺れを切らした龍之介にミントが言いにくそうに切り出した。
「えっとね・・・その・・・それは、マスターと・・・・・する事なの。」
ミントは快活な彼女らしくない口調でごにょごにょと口にする。
「え?なんだって?」
「いやだから、マスターのその、大事な所を、ヴィーン・ボウの女の子の、大事な所に・・・」
「セックスだよ。」
遠回しに表現しようとして余計にいやらしい言い方になってしまったミントを見かねてセラがズバリ言い放った。
「は?」
「お茶が入った。まあ飲め。」
セラはそういいながら唖然とする龍之介に湯飲みを差し出した。彼女は普段の言動からは想像出来ないが、こういう所で気の利く娘だった。
差し出されたお茶を啜りつつ、話は続いた。次に口を開いたのはシルクだった。
「そう・・・龍之介さんとヴィーン・ボウの女の子がせっくす・・・すると、エクスタシオはその女の子の体内に移ってしまうの。」
「・・・はあ?なんなんだそりゃ!」