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天衣創聖ストライクガールズ 第二章:ターニャ・ナッツ

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「これウチの一番のお気に入りやねん、ほっといてんか。」
ターニャはそう吐き捨てると大きく息を吸い込み呼びかけた。
「シュピナ!ウチや!ターニャや!どこにおる!出てきいや!」
シュピナは既にいない。返事がある訳も無かった。
「どうやらもうここにはいないみたいですねー。」
ラブルにも彼女の行方を察知する事は出来なかった。
「あのアホ!逃げよった!」
ターニャは苦々しげに吐き捨てた。
「それなら早くセフィーナお姉さまを助けないと・・・!」
キリスはそう言って逸るが、シルクがそれを制した。
「待ちなさいキリスちゃん、仮にもヴィーン・ボウスーツを着てる相手、用心するのに越したことはないわ。」
そのとき、セフィーナの戒めが解け、彼女はその場に崩れ落ちた。乙女達は顔を見合わせると頷き合い、ゆっくりとセフィーナを囲む形で近付いて行った。そしてその輪が半径にして3メートルほどになった時、セフィーナは両腕を突き、苦しそうに上体を持ち上げるとゆっくりとその顔を上げ、正面にいたシルクに何か訴えるような視線を投げ掛けた。
「大丈夫?セフィーナ?」
シルクがそう声をかけるとセフィーナは信じられない豹変を見せた。
「キャハハハハハハハハ!バーカ!」
彼女は狂気の混じった笑い声を発すると、テレビ画面のノイズのような物を体に走らせ、一瞬で消え去った。
「しまった!虚像!」
そう悔いを漏らしてシルクは龍之介を振り返ったが遅かった。龍之介の前には既にセフィーナが現れていた。彼女は龍之介の首に両の腕を絡め、
「あははははは!マスターつーかまーえた!」
と無邪気に笑う。
「あ・・・」
何か言おうとした龍之介だがその口はセフィーナの唇で塞がれた。
「ん・・・」
切なそうな吐息を漏らす彼女。龍之介は混乱したが状況を理解する前に腹部に激痛を覚えた。やがてセフィーナが唇を離すと彼女の右手が自分の腹部に深く突き刺さっているのが判った。
「く・・・はあああっ!」
激痛と共に、満足に呼吸も出来なくなる。そんな状態の龍之介からセフィーナは無造作に右手を引き抜いた。
「ぐわあああっ!」
鮮血が噴き出す。悲鳴を上げ、膝を突く龍之介。セフィーナはそんな彼を見下ろすと、
「うふふふふ、マスター大好きぃ・・・」
そう言いながら手に付いた血をぺろりと舐めた。
「なんて事!間に合わなかった!」
全速で取って返していた乙女達。シルクが嘆きの言葉を口にするが、
「何言ってるのよ!マスターはまだ生きてるわよ!」
ミントが叱咤する。その声に反応したセフィーナは彼女達に振り向いた。
(膝を突ける・・・?地面らしい物がある・・・!)
「エクスタシオ!」
足元の状況に気づいた龍之介は出ない声を絞り出して叫んだ。その右手には一瞬でエクスタシオが現れ刀身を伸ばした。その声に気づいたセフィーナが再び振り向く。龍之介は両膝を突いた状態から左足を踏み出し、丁度居合いのような形でセフィーナの額を打ち抜いた。
「・・・痛いわね、何するのよ。」
しかし彼女は冷たくそう言うのみだった。
(き、効かない?・・・つまり洗脳じゃあ・・・ない・・・)
龍之介は声にならない声でそう呟くとその場に突っ伏した。
「いやあああああ!ご主人様あああああ!」
叫び声を上げてキリスがセフィーナに突っ込む。しかしその攻撃は僅かに動いただけのセフィーナにいなされてしまった。
「ひとまずそこからどいてくださいー!」
次にラブルが突進してきた。セフィーナは相手が悪いと見たか、回避に移った。しかしラブルは急旋回、先回りしてセフィーナへの体当たりを成功させた。
「覚悟するんですー!メギドの火!」
セレスティアの強力な天衣解放メギドの火を受けたセフィーナは悲鳴を上げた。
「きゃあああああああああああ!」
「凄い!あの機動性と火力!伊達に伝説の天衣と呼ばれてないって事ね・・・」
ミントはセレスティアのその戦闘力に舌を巻いた。そしてセフィーナは首を垂れ、動きを止めた。
一方、既に虫の息の龍之介の元にはシルクとセラが駆けつけ、その蘇生を試みていた。
「まずい、出血が酷い・・・」
龍之介を膝枕に寝かせ、絶望的な状況をセラが口にするが、
「大丈夫!こんな事もあろうかと!」
シルクはそう言うとスゥイートハニーを脱ぎ捨てた。そこには豊満な乳房・・・ではなく、天衣ブルートゥルーブルーにその身を包んだ彼女がいた。
「は?重ね着?いやいやいや!さすがに無理あるだろそれ!」
ブルートゥルーブルーはスゥイートハニーよりはるかに露出度が低い。物理的にあり得ない変わり身だった。しかしシルクはセラの突っ込みも意に介さない。
「時間が無いの!細かい事言わない!天衣解放!女神の祝福!」
女神の祝福。数ある天衣の中、唯一の回復効果に特化した天衣解放である。シルクの手が触れた龍之介は出血が止まり、傷口が塞がり、肌は血色を取り戻していく。そして二人が固唾を飲んで見守る中、
「がはっ!」
彼は息を吹き替えした。
「よかった・・・よかったマスター・・・」
セラは半分泣きべそをかいていた。
「セラ、龍之介さんの事は頼んだわ。私はセフィーナをどうにかしなきゃ。」
シルクは再びスゥイートハニーを纏ってセラに告げた。
「いや、私も・・・」
「駄目よ。あなたはここで龍之介さんを守るの。こんな彼を一人にしたら今度こそ・・・解るでしょ?」
「でも、私は私を救ってくれたセフィーナを、今度は私が救いたいんだ!」
「そうね・・・でもあなたが一番恩を返し、救わないといけないのは、今あなたが膝枕させてる人じゃないのかしら?」
「・・・そうだな・・・わかった。」
「ええ、私たちのマスター、お願いね。もうあんな悲しい思いは沢山だから!」
シルクはそれだけ言うと戦いの輪に戻っていった。セラはそれを見送ると、
「最初に惹かれたのは守護霊だった。でも・・・」
そう言って龍之介の頭を撫でると、その上半身を伏した。そして数秒の後元の姿勢に戻ると、
「ずるい子だな・・・私は。」
そうぽつりと呟いた。

一方セフィーナには変化が現れていた。
「いやああああああああああ!ますたあああああああ!」
「あーっはっはっはっは死ねえ!あーっはっはっは!」
彼女本来の人格と、ヴィーン・ボウとしての人格が交互に現れていた。
「なんやこれ・・・」
「セフィーナお姉さま!正気に戻ってください!」
乙女達はそんな彼女に手を出しあぐねていた。
「どうしたのよ!あれ!ビーン・ボウに洗脳されてると言ってもちょっとおかしくない!?」
セフィーナの様子を見たミントが疑問を口にした。
「その事は、多分ですが解りましたー。」
その疑問にラブルが答える。
「え?どういう事なの?」
「さっきマスターが命懸けでヒントをくれたんですー。セフィーナさん、エクスタシオソードが効きませんでしたー。」
「ターニャと同じく洗脳されてない・・・?でもあんなのセフィーナじゃないでしょ!」
納得いかずにミントは反論する。
「同じではありませんー。正気でもなく洗脳もされてない、となるとー、」
「あーもうじれったい!要するに!?」
「操られている、もしくは乗っ取られてるって事ね。」
そこへ戻ってきたシルクが結論を告げた。