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天衣創聖ストライクガールズ 第二章:ターニャ・ナッツ

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「シルクさんひどいんですー。いい所横取りなんですー。」
ラブルはそう言って口を尖らせた。
「今はそんな事どうでもいいの!対処法は!?」
せかすミント。彼女にはどうもラブルのペースが合わないようだ。
「そうですねー、スーツを媒体にしてセフィーナさん操ってるようですー。私の攻撃によって機能不全起こして今の状態になってるようですから間違いないですー。スーツを破壊しましょうー。」
「弱点は?」
シルクが訊いた。
「首の下の宝玉ですー。」
「みんな聞いた?首の下の宝玉一点集中!あ、ターニャは出来る限り手を出さない事。」
「なんでやねん!」
そのシルクの言葉にターニャは不服そうに抗議した。
「あなたは貫通特性を持っているから中のセフィーナを傷つけちゃうの。ここは我慢して。」
「むっ・・・そういう事なら、しゃーない。サポートに徹するわ。」
そうこうしている内に、セフィーナの人格が現れる周期がだんだん短くなって来ていた。
「スーツが回復している!?のんびりしてられない!みんな、行くわよ!」
シルクのその声を合図に、再びの空中戦が始まった。セフィーナは乙女たちの攻撃を一通り学習、その上宝玉限定と小さくなった的、そう簡単にダメージを被る事は無くなっていた。しかし多勢に無勢、彼女も乙女たちに有効な攻撃は出来ずにいた。そんな中ラブルは状況を打開すべく、もう一度天衣開放を仕掛ける事にした。もう一度メギドの火を打ち込めばスーツを弱らせる事が出来る、そういう算段だった。
「行くんですー!」
メギドの火がセフィーナを捉えた。が、何か様子が違う。セフィーナにはまったくダメージを与えている様子が見えないのだ。そしてラブルは彼女から離れた。すると今まで無かった物がそこにあった。五角形の、エネルギーフィールドとでも言おうか。そんな物が彼女の前に立ちはだかっていた。
「シールド!厄介な・・・これで益々宝玉狙うのが難しくなったじゃない!」
ミントが吐き捨てた。シールドは乙女たちの攻撃を全て受け止め、その向こうのセフィーナには全く届かなかった。
戦いがそんな膠着状態に陥って10分ほどたった頃だろうか、彼女たちの背後から声が飛んだ。
「みんな!下がれえっ!」
龍之介の声だった。
「龍之介さんなら!」
「ご主人様なら!」
「マスターなら!」
「だんさんなら!」
「きっとなんとかしてくれるですー。」
彼女たちは声に振り向きもせず、ぱっと四方に散った。視界が開けたセフィーナの目に映ったのは、光の弓に光の矢をつがえ、セラに支えられつつ弓を引き絞る龍之介だった。それはエクスタシオの弓矢だった。
「行けえええええ!」
光の矢は放たれた。
「いっ・・・・てええええええええ!」
怪我をおして弓を絞った龍之介はその場に倒れた。
「マスター!だから無理するなって言ったのに!」
セラの心配を他所に龍之介は飛んで行った矢を指差す。
「見といてくれよ。ちゃんと当たるか。外したらもう次は自信無いわ・・・」
龍之介に言われ、セラは矢の行方を追った。
矢は恐ろしいほどのスピードでセフィーナの宝玉を目指していた。危険を感じたセフィーナはとっさに回避に移った。しかし矢は軌道を変え、シールドを突き破り宝玉に命中した。エクスタシオはヴィーン・ボウ由来の物に対しては圧倒的な力を示す。故にこのシールドも無いが如しだった。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
セフィーナの声とは思えない、いや、これこそがヴィーン・ボウの声なのだろう。恐ろしい断末魔が聞こえたと思うとセフィーナを「拘束」していたビーン・ボウスーツはガラスが割れるかのように四散した。そしてスーツから開放された裸の彼女はゆっくりと落下、いや、舞い降りてくる。
「当たった!当たったぞマスター!・・・マスター?・・・うん、そうだよ。それでこそ私たちのマスターだ。」
セラはそう言いながらそっと唇に指を当て、一筋涙を頬に伝わせた。
「お姉さま!」
落ちて行くセフィーナをフォローしようとしたキリスの肩をミントが掴んだ。キリスはなにすんだ、という顔を見せて彼女に振り向いた。
「待ちなさいって、ほら、あれ見て。無粋なことしないの。」
「あ・・・もう、そういう事ならちょっと妬けますけど仕方ないですね。」
ミントが指し示した先には、半分這いずりながらセフィーナの落下する先を目指す龍之介の姿があった。やがてセフィーナも意識を取り戻し、龍之介の姿をその目に捉えた。
「マスター・・・マスターマスターますたあああああああああああああああああ!」
龍之介を呼ぶ彼女の目から一気に涙が溢れ出た。
やがて落下点にたどり着いた龍之介。広げた両腕の中にセフィーナがゆっくりと舞い降り、そして二人は抱き合った。
「マスター!マスター!マスター!ごめんなさい!ごめんなさい!痛かったでしょ?苦しかったでしょ?ごめんなさい!私、意識あったのに体の自由が利かなくて、マスターに酷い事・・・」
そこまで言ったセフィーナの唇を龍之介の指が塞いだ。
「長い散歩だったな。帰って来たんだから言う事あるだろ?」
その言葉を聞いたセフィーナは一瞬きょとんとするが、すぐにまた涙を流しながら、
「ただいまあ・・・」
涙声でそう一言言うと龍之介も、
「おかえり。」
一言だけ返し、セフィーナの頭を抱き寄せた。
セフィーナはそのまま龍之介の胸でしばらく泣き続けていた。
その光景を見たターニャが呟く。
「決めた。だんさんが今からウチのマスターや。あのお人なら信用できるわ。・・・ひとまずさよならや、ウチのシュガー。まただんさんに召喚してもらうさかい、堪忍な。」

・・・・・・・・・・

後日。龍之介の部屋。
あれだけの大怪我にも関わらず女神の祝福の治癒能力はすさまじく、龍之介は多少の痛みや違和感は残っているものの順調に回復していた。だが安静にしておくに越した事は無いので、彼はあれからずっとベッドの上にいた。もちろんセフィーナの付きっ切り看病つきである。
所で龍之介の部屋だが押入れが一つ増えていた。それまでは上段がキリス、下段がセラだったのだが、その後ターニャが転がり込んで来たので増築?したのだ。
今この場には居候の4人と、そしてラブルがいた。ラブルはいまだにセレスティアを着ているので少々うっとおしい。
「なあ、だんさん、シュピナ元に戻せるんやろか・・・ウチが知ってるシュピナと、余りに違い過ぎてな、本当に別人になってしもたんや無いか、そんなことばっか考えるようになってしもてん。」
新しい居候のターニャが龍之介に話しかける。
「大丈夫だって。俺がエクスタシオでぶん殴れば一発だぜ。あ・・・そうだ、俺、ラブルに聞きたい事あったんだ。俺の中のエクスタシオ、顕現したラブル、実体化したエクスタシオ、どれが本体なんだ?」
「それはですねー、マスターの中のエクスタシオが本体ですー。私、ラブルや実体化したエクスタシオは言ってみればコピーに過ぎませんー。ですからマスターと離れても大丈夫なんですー。」
ラブルは龍之介が不安に思っていた事をずばり言って見せた。実体化したエクスタシオを手放した場合、自分は死んでしまわないか、不安が付きまとっていたのである。