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明日香さん、はなしてください!

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「いえ、銀くんも私たちと同じ水と炭素とアンモニアと石灰とリン、塩分、硝石、イオウ、フッ素、鉄、ケイ素その他十五の元素でできてますよ。量は違うと思いますけど」指を折って数えながら説明します。
「もしかして『ハガレン』?」
「はい、『鋼の錬金術師』で覚えました。ちゃんと数字も言えますよ」
 第一巻で主人公エドワード・エルリックが神に祈れば死んだ人も生き返ると信じてる女性に向かって人体の構成成分を説明するくだりで出てきます。
「いやあ、フシギちゃんが『ハガレン』までおさえてるとは思わなかったね。あれってファンタジーだと思ってたし。たしか巻末のおまけマンガでそんなこと書いてあったでしょう」
 ミーナさんの「フシギちゃん」って呼び方、久しぶりに聞いた気がします。
「そうですね、たしか帯に『ダークファンタジー』と書いてましたよね。でも、私は『ハガレン』はSFでもあると思いますよ。あの世界では錬金術は実行可能な科学として定義されてますし。ミーナさんも『ハガレン』読んでたんですね」
「まあね、なんせアームストロング少佐を誰とカップリングさせるか日夜頭を悩ませ続けてるからね」
 なぜにアームストロング少佐?普通は主人公のエドと、そうですね例えばマスタング大佐とかじゃないですか。エド×ロイ(マスタング大佐のファーストネーム)よりもロイ×エドの方がしっくりくるでしょう。
 いえいえ、それだと普通過ぎますね。私としてはヒューズ准将がお気に入りなので、ロイ×マース(ヒューズ准将のファーストネーム)かマース×ロイの方が……。
 考え込んでいる私の肩をミーナさんが抱いて小声で囁きかけます。
「フシギちゃん、いま頭の中で誰と誰を掛け算した?」
 ……しまった!これは罠です。頭の中でアームストロング少佐のカップリングを否定したら自然と私が正しいと思うカップリングに思考が流れてしまいました。そういう風に誘導するためにアームストロング少佐の名前を出したんですね。なんと狡猾な!
「はい!わたしはルイ×シグで妄想しました」
 弐久寿が手を上げて申告してきました。
「弐久寿!君は心の友だ」
 ミーナさんが人目もはばからずに弐久寿に抱きつきます。すみませんその妄想、思い描いたら目眩がしてきました。ソフト嗜好じゃなかったんですか?