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はじまりのあの日4 摩天楼とむらさ・きいろ

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CMからニュースへ切り替わる。サッカー代表が空港へ帰還。熱烈な歓迎を受けている。わたし達も、こんな暖かな歓迎を受けたことがあった。そう、NYのあの地。今日は、思い出につかる日だなと諦めて、何度目かの記憶図書館来訪を開始する―

「「「「「「「「「「「「「「「Waaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」」」」」」」」」」」」」」」

降り立った空港から、熱烈な歓迎を受けた。嬉しくて泣きそうだった。入国審査の人にまで、握手を求められた。集まってくれた、人、人、人。掛けられる声、求められる、握手。フラッシュの光にクラクラする。用意してくれた大型バスに乗り込むまで、人の波にかき回された

出発前から、メンバー全員で決めていた。会場入りをするまえに、まずは、あの場で献花。黙祷して、哀悼の意を捧ぐ。せめて、皆々様が安らかであるよう、祈りを込めて歌います、と。その後は、日本ではお目にかかれない、超高層ビルの谷間を移動

「すっご~い。高いビル~」
「さすが違うわね、NY」

わたしはもちろん、めー姉さえも、お上りさん上等で見渡した。到着した、ミュージカルの聖地で歌う。その公演でも、大声援をいただく。侍姿で歌った彼への声援はおおきかった。何より、みんなカタコトの日本語で

『miku cha~n』
『rin cha~n』

と、声をかけてくれたのが嬉しかった。誰かに安らぎを、与えられている。思い込みでも、そう感じることができたから


一日目の公演終了後、クタクタになりながら、たどり着いたホテル。用意していただいた、中心街の高級ホテル。豪華な造り。素晴らしい食事に、目が飛び出しそうだった。ホテルマンの方との会話は、紫の彼、先生、ルカ姉が翻訳してくれた。用意していただいて幸せだったのだけど、モメタのはその部屋割り

「全部二人部屋だって。どうする」

ホテルの最上階。めー姉をハジメ、大人組が悩む

「日本(くに)だったら、男女分けでいいんだがな」
「NYですから。どうしますか、神威さん」
「ま~、大人、子供ペアでいくしかないじゃない」
「仕方有りません」

子供組を気遣ってくれた、大人達の優しさ。男女がどうのなど、あの日のわたしは考えるはずもない

「おし。デカいのと小さいの。ペア組むぞ~」
「ミクさん。ワタシと寝ませんか」
「いいよ~ミク、ルカ姉と一緒のお部屋~」

ミク姉、ルカ姉に抱きつく

「レン。アタシと組むわよ」
「うん、めー姉」

抱き上げるめー姉。まだ照れのないレン

「リンがっくんと一緒がイイ~」
「うん、リン。重音やめぐの方が良くない」

わたし、彼の腕にすがりつく

「がっくんがいい~」
「じゃ、そうするか」

だっこしてくれる

「じゃあ、わたしはカルちゃんと同じ部屋で」
「めぐねえさまさま。一緒にねます」

ごきげんに抱きついてゆくカル姉

「リリたん、ボクと寝ようぜ」
「重音さん、アザ~ス」

腕組みリリ姉

「じゃ、オレはテルさんと相部屋かな」
「よろしく、カイトさん」

それぞれ、キーを手に。入る部屋。広々とした洋室。鎮座する大きなベッド。テーブル。大画面のTV。荷物を置いて、さっそく横になるわたし。疲れていた

「ふわ~ふかふか。気持ちいい~」
「リン、まず、お手々洗って、風呂入ったら。すぐに眠れるじゃない」
「うん、リンそうする~。そうだ、がっくん、一緒に入ろうよ~」
「一人で入ろうじゃない。俺はほら、門番してるから」
「わかった~」

恥じらいも何もなかった。彼と入浴したことは、マンション在住の時を含めて一度も無い。服を脱ぐ。下着だけになって

「じゃ~入ってくる~」
「ごゆっくり~」

部屋のシャワールームに入る。日本と違って、浴槽にお湯ははらない。シャワーだけで体を洗う。ボディソープも、シャンプーも。香りだけで、高級なモノだとわかる。簡単に入浴を済ませ、パジャマになって彼の前へ

「あがった~」
「よし、リンおいで。乾かしてあげようじゃない」
「ありがと~」

ベッドの上、髪を乾かせてくれる。その後、彼もシャワーを済ます。長い髪を乾かすのに時間がかかってたな

「やっと一息か」

髪をポニテにしながら彼。電話をかけ、ルームサービスを頼む。TVを点ける。当然ながら英語。わたしには全く聞き取れなかった。部屋の戸がノックされる。運んでくれたボーイさんに、チップを渡す。テーブルに置かれる、ミニボトルのウィスキー。わたしの前には、ホットミルク

「よく眠れるように。お疲れ様、リン」
「明日からも、がんばろ~ね、がっくん」

お酒と牛乳で乾杯する。雑談を交わす。ホットミルクは甘くて美味しかった。二人の杯が空になり、歯を磨いて、うつらうつらする。ベッドに運んでくれた彼。わたしをベッドに置き、離れようとするその彼のシャツを、離さなかったわたし。嫌々と、頭を振った覚えがある。その日、結局一緒に眠ることになった彼。わたしを起こさなかった、優しいやさしい、紫の彼。朝目が覚めて、横を見ると彼がいた。珍しく、わたしの方が先に目を覚ました。朝日が、カーテンの隙間から零れている。思いっきり伸びる。彼の横。朝からとても気分が良かった

「がっくん、がっくん。おはよう」

彼の耳元で囁くわたし。やや間があって、彼が覚醒しはじめる

「―ああ、リンおはよう」
「今日も良い天気みたいだよ」

横になったまま、わたしの頭を撫でてくれる。至福の感触に、しばらく酔っている

「~お~し、起きますか、リン。朝ご飯、行こうじゃない」
「みんなも起きてるかなぁ」

体を起こす、わたしの体を起こしてくれる彼。歯を磨き、洗顔、身支度を済ませる。彼にリボンを結んで貰う。携帯で、彼がメンバーと連絡をとる。朝食に行こうと。キーを持って部屋の外に

「おはようございます、神威さん、リンさん」
「おはよう。殿もリンもよく眠れた」
「ぐっすりだよカイ兄。がっくん、一緒にねてくれたから~」
「シャツ、掴んで離してくれなかったじゃない。リンと一緒にガッツリ寝た。おかげで体調バツグ~ン」

朝型のカイ兄、先生。話す部屋の前。他のメンバーを待つ

「おっす、かむい、みんな」
「朝ご飯いこ~ぜ~」
「おっは~みんな。今日もよろしくね~」
「大変過ごしやすいお部屋ですわ」

テト姉、リリ姉、にっこりと。ミク姉、ルカ姉、微笑ながら合流。談笑していると

「ふわわっ。おはですみんな~」
「ねむねむ。おはようみんな」

朝が弱い、めぐ姉、カル姉、やや眠たげにやって来る。そして、一番朝が苦手な二組

「うい~おふぁよう~」
「はああ~寝たりないわ~」

めー姉とレン、お互いにひっついてかばい合いで部屋から出てくる全員集合で朝食へ向かう。華やかなレストランスペース。バイキング形式の朝食。どれもおいしそうで迷っていたわたしに

「リン、ちょこっとずつ取れば、色々食べられるじゃない。みんなで分けて食べよう」

そんな声を掛けてくれた、優しい彼。TVの音。意識が帰ってくる。ちょうど、バイキングレストランの取材。食べきれないほど取っているお姉様がた。もったいない。あれ、絶対残すよね―