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琅琊閣裏口入学センター2次試験 本年度予想問題と回答例

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椅子の上だが、幾らか体の位置を変えて寝直す事にした。

ところが眠れない、、、、。
素直に起きて、庭生の解を見てあげればよかった、、、。
、、、少し反省。






────靖王──────────


二度目の地獄から帰ってきた小殊、、、。
まさか、約束を守ってくれるとは思っていなかった、、。
だって、昔から約束など守らぬのだ、、コイツは。
あの日、またコイツは口先だけの言葉を吐いた、そう思った。
私の心を軽くするための、優しい嘘だった。


今は椅子にもたれ掛かり、うたた寝をする胡歌さんを、靖王は窓の側に立ち見つめている。

靖王が思う。
これ迄起こった数々の事案。
人々には見えないが、全ての矢面に立ち、受け止め動かしたのがこの男であるのが真相だ。
本当に疲れたのだろう、、、。
その場凌ぎに、私には生きて帰るとは言っていたが、あの地でその身を終らせようとしていたのだ。
だがこうして生きて帰ってきた。
それは、まだお前には成すべき事があるからなのだ。

靖王は胡歌さんから外に目を移す。
こうして生きて戻ってくれた事は嬉しいが、顔を見ていると、これまでの事が脳裏に浮かび、何だか辛くなるのだ、林殊の生き方が。


誤った裁可は全て正され、冤罪は晴れ。
皆、暮しを正しく戻された。

この大案に、命を賭け、命を削り、奔走したお前。
、、、、梅嶺の地が終りではない。

成すべき事は、お前が、これ迄の辛かった分を幸せに生きる事。
自分の為に幸せに生きると思うな。

事案が返り、幸せになった人々の為に、
共に奔走した仲間の為に、
梅嶺で果てた、皆の為に、
霓凰の為に、

私の為に。


ふと、胡歌さんに視線を戻すと、椅子の上から消えていた。
靖王は愕然とする。

幻だったのか、、、、。

呆然として、言葉も浮かばない。

急に背後から手が伸び、靖王の目が、手で塞がれた。

「馬鹿か!お前しか居らぬではないか!!。」
「そりゃそうだ。」
胡歌さんは笑って、塞いだ手を外し、そのまま後ろから靖王を抱き締める。
幾らか靖王の肩が震えるのを感じた。
───帰ってきたのだ、ここに、、景琰の元に、、。────
「約束は守ったぞ、嘘はつかない。」
───どうせ、景琰は泣いてるんだろう。
このままで、暫くいてやるか、、、。────


靖王に触れたら、急に生きている実感が湧いてきたのだ。
胡歌さんにも涙が溢れ、一条、零れる。

靖王だけの為では無かった、、、。





────飛流──────────

胡歌さんが椅子でうたた寝をしているが、椅子の空いている所で飛流が木彫りの人形で遊んでいた。

大人しく遊んでいるのだが、こんなに近くで遊ばれては、やはり胡歌さん、さすがに目が覚めてしまう。
目覚めた事に気がついた飛流、胡歌さんの眠りの邪魔をせぬようにと言われていたのだ。
これはまずい!!と飛流は焦った。安大夫や黎綱達の怒った顔が頭をよぎる。また皆から責められてしまう。
側に居たかっただけなのだ、寝ている胡歌さんの邪魔をするつもりなど無かったのだ。
「寝て!!!、、、、寝てよ!!、、、寝!て!、、。」
飛流も必死だ。
胡歌さんは必死な飛流がまた、可愛らしくて仕方ない。
眉間に皺を寄せて、必死な飛流の頭を撫でる。
胡歌さんは微笑んでいる。
胡歌さんの撫でる大きな手の優しさと笑みに、飛流の心が穏やかになった。
「分かった、眠るから。」
「飛流、もう少し、、私が眠るまで、ここに居ろ。」
胡歌さんの言葉に安心した。
「うん。」
胡歌さんは椅子の上で体を直して、また目を瞑る。

────何だか疲れた、、、。
寝台に行ってゆっくり寝るべきなのだろうが、、、何故かそれも面倒だ、、、、。
今、このまま、側に飛流がいるのならば、また深く眠りに付けそうな気がする。────

飛流はじ────っと胡歌さんが眠りに付くのをそばで見ていた。
幾らかすると、静かな寝息が聴こえてきた。
こんな事は珍しかった。
夜中、飛流が寝所に、何度か様子を見に来る事がある。
飛流は長蘇が、目は瞑っていても、眠らず目が覚めているのを感じるのだ。
藺晨の薬のせいだろうか。
胡歌さんが安心して寝ていると、飛流も落ち着く。
邪魔をしないで、静かに遊ぼう。
遠慮がちに静かに遊んだ。

胡歌さんの微かな寝息が、心地良かった。




─────梅長蘇─────────────

梅長蘇が開いている部屋の扉から中を覗くと、誰かが椅子でうたた寝していて、側で飛流が遊んでいるのが見えた。
「誰だろう、、、。」
長蘇は黎綱に支えられ、部屋の中程まで入って寝ている者を見る。
寝ている者は、自分と同じ顔を持つ男だった。
心地良さげに寝ているのだ。
飛流が長蘇に気が付き、驚いていた。
どちらが長蘇なのだろうかと、二人を交互に見比べていたが、よく分からない様で、首を傾げていた。

長蘇も驚いていた。決して怪しい者でも無い。
これ程似ている者がこの世に居るとは、、、、とてもよく似た波動を持っているのが、見ただけで分かった。
そして、随分と疲れている事も、、、。
───この者も、私と同じに、不意の不幸を越えて来たのかもしれなぬ。
どれほどの痛みと苦しみ受けたのか、、、痛みは体だけでは無いのだ。
心にも酷い苦しみを負ったはず。
悲しみに封をして、耐えて来たのかもしれない。────
クタクタなのだろう。
ちゃんと寝かせて疲れを取ってやりたいが、この者はそこに至るまでも、とてもとても動けぬのかも知れない。
「、、誰なんでしょう、、、、どうします?宗主。」
脇で長蘇が歩くのを支えていた黎綱が聞いた。
「、、、、、。」
、、、、どうするか。
「そっとしておこう。」
「疲れが取れ、刻が来れば、必ずこの者は目を覚まし動き出す。それまでは放っておけば良い。」
この者とて、私がそうであるように、待っている者が居るはずだ。
支えられて、辛い事を越えてきたのだろう。そして応えてきたのだ。
待っている者がいるのは、きっと百も承知なのだ。
───今はもう、応えられぬ位に疲弊しているのかも知れぬ。
自分が何者なのか、何をすべきか、何処へ行くべきか、眠りから覚めれば全ての答えが出るのだろう。
心配はない。ただ、刻が要るだけなのだ。────
長蘇はこの者を、見れば見る程、他人とは思えなかった。

ここで、いくらでも休ませてやりたい、、、、いつまで眠れるのかは分からぬが、、、、。
「黎綱、これをかけてやれ。」
長蘇は羽織っている自分の外套を、この者に、、と脱ぎかけ、黎綱が手伝う。
脱がれた外套は黎綱によって、寝ている胡歌さんにかけられた。
黎綱が胡歌さんをまじまじと見る。
本当に疲れている様で、黎綱が外套をふわりとかけ、首元までしっかりとかかるよう直したのに、全く気が付く素振りがなく、深く深く眠りに落ちているようだ。
どこか違うようだが、全てが長蘇とそっくり似ている、黎綱もそう思った。
この者はここで、安心して眠っているのだ。
黎綱が不思議そうに、この者を振り返り振り返り、長蘇の側へ戻った。
───この者が何者か、分からずとも良い。───

───この者も、私も、成すべきことが待っているのだ。