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第二部15(88) エルヴィン・フォン・シェルブレ

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数日後―

「なあ、ダーヴィト。お前、近頃アーレンスマイヤ家のユリウスのお姉さんと親しくしてるだろう?」

「ああ。上の方のお姉さんね」

「いやさ、先週末のパーティで、あそこのお姉さん…、あ、下の方な。彼女がえっらい騒ぎを起こしてさ。そこの下の姉ちゃんも、確かに美人だけど…なんていうか…よっぽど人から注目されたいんだか…ちょっとヤバイよな。あんな自作自演…痛いったらなかったぜ」

その学友はアネロッテが出席したパーティに、どうやら出席していたらしい。

「アネロッテさん?一体何があったんだい?」

「痴情のもつれっていうのかな?そうそう、アネロッテさん。アネロッテさんに婚約者を取られたんだか何だかで恨みをもってる女の人がさ、最初彼女に因縁つけたのが始まりだったんだよ。それで、言い合ってるうちに、その女性が、アネロッテさんのつけてる首飾りをイミテーションだってみんなの前でこき下ろしたんだ。で、結局それは本当にイミテーションだったみたいでさ。アネロッテさんは皆の前で大恥かかされて、「確かにこれは、本物だった。停電の時にすり替えられたんだ」とかわめき出すも、パーティ客の鑑定を生業にしている人に、「それは会場に入って来た時から偽物だった」って断言されて。もう彼女面目丸つぶれで、口汚く捨て台詞はいて会場を出てったんだ。すっごい剣幕だったよ」

「停電あったの?」

「ああ。途中でね」

「その時…アネロッテさんのその首飾り…光ってなかった?」

「いや…。真っ暗で何も見えなかったよ」

「そうか…」

「お前、あの家のユリウスの姉ちゃんたちと付き合うのも大概にしとけよ。色々やばいよ」

「ぼくが親しくしているのは…上のお姉さんだけだよ。忠告ありがとう」

― 確かに、あの首飾りの台には蛍光塗料が塗られていた。…それに…、この間マリアの部屋で見たところあれがイミテーションのようには思えなかった。するとあの首飾りは…あの、自分が見た後、パーティへ行く前に誰かにすり替えられたということ?なんのために?街の名士の集まりの場で、恥をかかせることが目的だった?…復讐ってそんなものなのか?…片やマリアは命を落としかけたというのに?そんな事が目的だったのか?

学友から聞かされたパーティでの出来事に、どこか腑に落ちなさを感じ得ないダーヴィトだった。