第二部24(97) 交渉
C/W その頃ユリちゃんは…#5
「ユリちゃん、例のお助け便が届いてるよ。預かってるから後で取りにおいで」
仕事帰り、ミーチャを抱いてアパートへ戻って来たユリウスを大家が呼び止める。
「こんばんは。…ありがとうございます。すぐに伺います」
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「今回はちょっと間が開いてたね」
「そうですね…。よいしょっと。あ、結構重い」
ユリウスが久々に届いたその【お助け便】と呼んでいる贈り主不明の木箱を持ち上げる。
「大丈夫かい?」
大家が両手の塞がったユリウスの代わりにドアを開けて押さえる。
「はい。…何とか。いつもありがとうございます。それではお休みなさい」
「はい。お休み」
一階の大家の部屋を後にしたユリウスが、ずっしりと重い木箱を抱えてヨタヨタと自室まで階段を上がっていった。
作品名:第二部24(97) 交渉 作家名:orangelatte