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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL27

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「食らいなっ!」
 ロビンは振り上げた剣を、思い切り振り下ろした。その瞬間、二対の巨大な剣は、デュラハンの頭上へと落ちていく。
「こんなもの……!」
 デュラハンは立ち上がって両手を上げた。
『バリアアンシル!』
 デュラハンは、あらゆる強力な攻撃から身を守ることのできる障壁を展開した。
 二対のガイアの力を宿した巨大なる剣と障壁がぶつかり合う。
 しかし、強固なる障壁と巨大なエネルギー体との勝負はすぐにつくこととなった。
 ピシピシと音を立て、デュラハンの展開した障壁にヒビが入り始めた。
 スターマジシャンの傀儡を作るときに、デュラハンは自身の魔脈を持たせ、そして傀儡が敗れた後魔脈を回収したときにこの魔法、『バリアアンシル』を手に入れていた。
 スターマジシャン、シレーネの使う時と比べ、魔法の完成度は非常に低かった。そのため、デュラハンの魔法の障壁は簡単に押し負けてしまったのだ。
「ぐっ、ぐおお……っ!」
 デュラハンの魔法の障壁のひび割れはどんどん広がっていき、ついに限界を迎えた。
 バキイイィン、と鋭い音を立て、障壁は割れた硝子のように四方に四散していった。
 そして同時にロビンの出す巨大なエネルギー体がデュラハンに降りかかった。
 二対の剣のエネルギー体は、デュラハンを剣の根本まで刺し貫き、大爆発を起こす。
「があああああ……!」
 暗黒と黄金のエネルギーの炸裂の中、デュラハンの叫び声が木霊した。
 爆風は土埃を上げ、辺りの視界を閉ざした。
「なんて爆発……!?」
 アネモス神殿そのものを砕きそうな勢いの爆発であったが、ロビンの張ってくれた結界のおかげで、ガルシア達に大きな影響はなかった。
 やがて爆風は収まり、土煙も消え去っていき、ロビンの姿が目に入る。その瞬間とほとんど同時に、ジェラルドの腰にダークサイドソードが戻ってきた。
「ありがとな、ジェラルド」
 ロビンに礼を言われて初めて、ジェラルドは自らの腰に剣が返されているのに気が付いた。
「まさか、やったのか!?」
 ジェラルドは叫んだ。
 パキパキと音を立てて土塊が落ちる中、デュラハンの姿があらわとなる。
 鎧がほとんど砕け、肉体もぼろぼろになっていた。これで生きている方が不思議なほどである。
 空手となったロビンは、つかつかとぼろぼろのデュラハンに歩み寄った。
「ふふっ、無様な姿だな、デュラハン。とっとと立てよ、余興はまだこれからだぜ」
 ロビンはあざ笑う。
「ぐ、ごご……」
 あれほどの技を受けておきながら、デュラハンにはまだ息があった。そして、自身に宿る魔脈による自己再生を始めていた。
「なんてしぶといんだ、デュラハンの野郎!」
 戦いの終わりを期待していた一同を代表するように、ジェラルドが叫ぶ。
「さて、次は……」
 ロビンは仲間から剣を借りるべく、例のエナジーを発動しようとすると、それよりも先に剣が飛んできた。
 ロビンは振り向くことなくキャッチした。それは二対の短剣であり、投げても離れてしまわないように帯で縛られていた。
「使えよ、オレの命と同じくらい大切な愛刀だ。剣聖も超えるような存在のお前なら、使いこなせるんだろ?」
 シンは、次にロビンが選び取る剣が自らのものだと予想し、自分から放っていた。
 ロビンはニッ、と笑って答えた。
「さすが、分かっているとは。天眼のおかげか?」
 シンも同じような笑みを浮かべて返す。
「なに、ただそんな気がした。それだけだよ。さあ、抜いてみな」
 ロビンはしかし、シンの双刀を縛る帯を解くと、片方をシンに向けて返した。
「まずは一本でいい、後でもう片方も借りるぞ」
 シンは、ロビンから投げ返された短剣を受け止めた。
 シンはおもむろに返された短剣を少し抜いてみた。現れたのは、漆黒の刀身だった。
――なるほどな……――
 シンだけがロビンの意図を理解し、小さく笑った。
「どうだ、デュラハン。回復は済んだか?」
 ロビンが言うと、丁度デュラハンの傷が塞がったところだった。
「その様子じゃ、まだまだ行けそうだなぁ? まだオレのショーも半ばだ。簡単にくたばるんじゃねえぞ!」
 ロビンは、シンの双刀の片方を腰に当て、柄に片手を添える構えをとった。
「むんっ!」
 ロビンは剣に力を込めて念じると、剣に変化が起こった。
 剣は白い輝きを放ち、その姿を変えた。
 短刀が、刀と同じくらいの長さになった。
「はあっ!」
 ロビンは地を蹴り、大きく踏み込んで刀を抜き放った。
「ぐああっ!」
 ロビンの放った刃は、デュラハンの胸板を真一文に斬りつけた。
 振り抜かれた刀身は、日を覆う新月の鋭い輝きのごとく、白銀であった。
「やっぱり、使えたか」
 シンが手にした時にのみ、真の姿を顕現する双刀は、ロビンにも使うことができた。シンも予測できたことである。
 しかし、彼にも想像し得ないことはあった。
「けど、まさか、白銀の刃を刀の長さにまで変えるとは。オレでも出来るようになるのに結構苦労したんだけどな……」
 シンが少し悔しがる間に、ロビンは抜いた刀を納めた。
「……おまけにあの子、あたし達の剣術を使うつもりね。あの構えは間違いないわ」
 ヒナが差し挟んだ。
「ああ、オレ達の技、どんな風に使うつもりなのか、楽しみだぜ」
 姉弟は、期待を込めた目でロビンを見守る。
「ふっ、デュラハン。もう何度も聞いて耳に……まあ、耳がねえからどこにタコができるのかは知らないが、タコができるくらいに言ってるからうんざりかも知れないが、もう一度だけ言ってやる……」
 ロビンは右手を額に当てる。
「貴様を殺すのはまだまだ先だ。だけどオレも手加減するのに少し飽きてきた所だ。だから、少しだけオレの全開を見せてやるよ!」
 ロビンは、前髪を上にかき上げて払い除け、深紅の眼がはっきり見えるようにした。
 そしてかっ、と眼を見開くと、その色と同じ波動がデュラハンに襲いかかった。
「ぐっ……!?」
 その瞬間、デュラハンに異変が起きた。
「な……こ、れ……っ!?」
 何だこれは。デュラハンはそう言いたかったが、僅かに声を絞り出すのが限界だった。
 体が一切動かなくなり、まるで石にでもされたかのようだった。
「ふふっ! 見事に効いたな……!」
 石化したようなデュラハンに向けて、ロビンは仕掛けた。あまりの速さに残像だけがデュラハンの四方に残っていく。
「……流転・転影刃!」
 ロビンはデュラハンの正面、もとの位置に戻り、刀を納めた。
「ぐはっ!?」
 カチン、という納刀の音と同時に、デュラハンを縛っていたものは解け、更に斬撃によるダメージも加わった。
 デュラハンはその場に膝をつく。
「……今のは、一体……!?」
 デュラハンにとっては身に纏う鎧が幸いして、ロビンの一撃毎の攻撃のダメージは、鋭くはあったが大きくなかった。
 しかし、連続でこれが続けば、いつかは壊されてしまうことだろう。
 それを危惧し、デュラハンはすぐに立ち上がり、ロビンの位置を確認した。
 ロビンは納刀した刀を、その独自の構えを取ることなく立っていた。
「手加減するのは飽きたが、全力で行きすぎるのもまずいな。うっかり殺しちまいそうだぜ」
 やはりロビンには余裕が窺えた。