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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL27

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「竜殺しの闘霊は別名、剣神とも言ってな、剣の意思を感じとり、本来持っている能力を超えた力を発揮できるのさ」
 ロビンの手の中で菊一文字は脈動し、その輝きを増す。
「なるほど、そう言うわけだったのね……」
 ヒナは何か納得した様子である。
「オレにも分かるぜ、いつぞやロビンの力は、剣聖じゃあ足りないくらいのものだって、姉貴も言ってたしな……」
 シンもヒナと同様の考えをしていた。
 詳しいことは分からなかったが、ロビンにはあらゆる剣を扱うことができていた。
 剣に好かれやすい体質だとかつてヒナは言っていたが、この時になってその正体が掴めた。
「剣聖を超えた存在、それは最早神ね。ロビン自体が神ってわけじゃないけど、神業なら使えるってことね。剣神とはよく言ったものだわ……」
 ヒナは驚きを通り越して、呆然とするしかなかった。
「ふむ、感じるぞ。菊一文字には化身が宿っているが、そいつの得意技は突きのようだな」
 実際に剣が声を発しているわけではないが、ロビンには剣の意思のようなものを感じとることができた。
「刀身を傷付ける事なく、突きを放てば相手は大概イチコロだ。なかなか理にかなった技じゃないか」
 ロビンは菊一文字を中段に構えた。
「行くぜ、デュラハン!」
 ロビンは一歩大きく踏み込む。
「修羅の舞・三段突き!」
 次の瞬間、ロビンは菊一文字の化身と共にデュラハンの背後へと立っていた。
「ぐほっ……!」
 ロビンのあまりに速い攻撃のため、デュラハンに遅れてダメージがやって来た。
「な、なんだ? ロビン今何をしたんだ!?」
 ジェラルドは、一体何が起きたのか全く見えなかった。
 気が付いた時には、ロビンは菊一文字の化身と一緒にデュラハンの後ろに回っていた。仲間達の中でもロビンの動きは見えている者はいなかった。
 特別な眼を持つ、姉弟を除いて。
「一歩の踏み込みで三回も突きを出しただと……!?」
 シンは驚かずにいられなかった。
「しかも月陰、水月、勝掛……はないようだから、その下を突いている。見事に急所狙いね……」
 ヒナの言った急所は、それぞれデュラハンの脾腹、みぞおち、喉元を示していた。もっとも、首のないデュラハンに喉は存在しないため、ロビンは胸の上の方を突いていた。
 人間が相手であれば、まず間違いなく即死している急所を刺し貫いていたのだ。
 その上、デュラハンの分厚く、この世界の理から外れた鋼鉄の鎧の上から、ロビンは急所を刺していた。
「ふん、やっぱり貴様が相手じゃ、三段突いてもくたばらねえか……」
 ならば、とロビンはニッ、と笑い、再び剣を中段に構えた。
「だったら、突く回数を一気に十倍にしてやろうか!?」
 ロビンは、一気に間合いを詰めたかと思うと、そのままデュラハンの背後に回り、剣を一度振った。
「出でよ、化身!」
 天狗面を着け、銀色の長髪の菊一文字の化身が、デュラハンの真後ろに現れた。
 化身をその場に残し、ロビンはデュラハンの正面に立った。
「行くぜ」
 ロビンは改めて剣を中段に構える。化身もロビンと同じように動き、全く同じ構えをとる。
「真・修羅の舞・三十連舞!」
 ロビンと菊一文字の化身は同時に動き出す。
 ロビンと化身は、一つ踏み込みを行うと同時に、交互に前後交代しながらデュラハンの急所を狙った突きをくり出した。
 辺りの者には、ロビンと化身が現れては消える、という様子にしか見えなかった。
 やがてロビンと化身は重なり合い、止めの一突きを放つ。
「終いだ!」
 ロビンはデュラハンの心の臓を突いて技の締めとした。
「ぐほ……!」
 デュラハンは最後の一突きを食らい、真後ろにそのまま倒れた。
 身体中から出血し、頑強な鎧も小太刀による連続的攻撃でズタボロになっていた。
 ロビンは、菊一文字を振って刃に付いた血を払い、鞘に納めるように左手の中に刃先から入れた。
「ありがとよ、返すぜ、イワン」
 すると同時に、菊一文字はイワンの腰の鞘に戻っていった。鞘に納めるような動きをしながら、ロビンは無詠唱エナジーで剣をイワンのところに戻したのである。
「あっ……」
 カチンッ、という刀の鍔と鞘にがぶつかる音がしてから、イワンは菊一文字が戻ってきたのに気付いた。
「ふん、全身めった刺しにしてやった上に、心臓をぶち抜いたはずなんだが、まだ死なねえか。まあ、まだまだ始まったばかりだ。楽には死なせねえ」
 デュラハンは、人間であれば間違いなく死んでいる傷を受けていた。特に心臓の辺りを突かれている。
 しかし、武器が小太刀というわけか、デュラハンの体が分厚いのが原因か、三十もの刺突を受けながらも貫き通すことはできなかった。
 たとえ、デュラハンの鎧を壊しながら攻撃したとしても、肝心のデュハランの体に攻撃が届かなければ意味がない。
 そこでロビンは次の策に移ることにした。
「さてと、次は……」
 ロビンは右手を上げ、やはり例のエナジーで剣を引き寄せる。
「うおっ、オレの剣が!?」
 ロビンが次に手にした剣は、とてつもない呪いの力を宿した暗黒剣、ジェラルドのダークサイドソードであった。
「借りるぜ、ジェラルド」
「お前っ、そいつはオレ以外が手にしたら、呪いで……!」
「呪い、ね。だがこの程度、デュラハンがやってきた呪詛と比べるとよっぽどショボいぜ」
 案の定、あらゆる剣を扱える剣神のロビンには、剣にかかった呪いなど通用するはずもなかった。
「……なるほど、大地母神ガイアの生まれは混沌からだったのか。そしてこの剣はその地母神の怒り、憎しみといった不和の特性から造り出されたようだな」
 ロビンは剣から伝わってくる意思を感じとる。
 原初の女神が一柱、ガイアは、天界も地獄も、そしてウェイアードすらも存在しない混沌の中に生まれ出た。
 そして天空、所謂天界を統べる神々の王を産み、海を統べる神、地獄、もしくは冥界と呼ばれる世界を統治する神を産んで、ガイアはウェイアードを造り上げた。
 ウェイアードの東西の果てに存在する巨大な滝に、ガイアの名がつけられているのはそのためであった。
「道理でガイアの剣と似た力を発揮するものだ。けれどもこっちは聖とは真逆。呪いが込められているのもそのためなんだろうな」
 ロビンは切っ先をデュラハンに向ける。
「更にこの剣は言ってるぜ、ガイアを殺したのは貴様だとな。ガイアフォールの勢いが増したのは、ガイアの力が失われてしまったから、って伝わってくるぜ!」
 ウェイアードのガイアフォールは、ウェイアードが創造された頃より存在している。
 そして今、ガイアフォールがウェイアードを飲み込まんとしているのは、錬金術が消えたことだけが原因ではなかった。
 デュラハンによってガイアが殺害されてしまった。このことも世界を消滅へと導いていた。
「ふっ、ガイアへの手向けだ。デュラハン、貴様にガイアの怒りをくれてやる!」
 ロビンは、剣に込められた更なる力を解き放たんとする。
「カオス・ガイア・タイタニック!」
 ロビンは詠唱と同時に、ダークサイドソードを振りかざした。すると空間に全てが黒の暗黒の力を宿した剣状のエネルギー体、更に全てが黄金に輝く、どちらも巨大なエネルギー体が出現した。