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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL27

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 デュラハンはロビンの力を吸い、自らの力としていった。力を吸うごとに、デュラハンの上半身の筋肉が、鎧越しでも分かるほどに隆起していく。
「フハハハ! これは良い! 力が溢れ出んばかりだ!」
 しかしすぐに、デュラハンは異変に気がつくことになる。
 ロビンから吸いとっている力は、衰えるところを知らず、むしろ威力はさらにはね上がるほどだった。
 デュラハンの筋肉の隆起は限界に近づき、肉体が悲鳴をあげ始めてきた。
「な、何故だ!? 何故それほどまでの力を……!? も、もう止せ、力の放出を止めるのだ!」
 デュラハンの黒魔術、『トゥルー・コライド』は、相手の力を吸い取り、自らの活力とするものであり、攻撃と回復を一度に行える、一見すれば欠点のない魔術であるが、この魔術の性質が大きな弱点となった。
 この魔術で力を吸い始めたが最後、相手の体力が吸えないほど小さくなるまで、デュラハンでも止められない効果があったのである。
「ハハハッ! ほらほら、お代わりはまだまだたくさんあるぞ。腹がはち切れるまで食えよ!」
 ロビンは更に力を放出する。
「ご、おおお、こ、これ以上は……!」
 デュラハンの体は無様に丸くなり、破裂寸前であった。
「っはあ!」
 ロビンは止め、とばかりに一際大きなエナジーの波動を放った。
「うごはあっ!」
 デュラハンはついにはち切れてしまい、鎧の首の穴や、両手両足からどす黒い血と共に、肉片のようなものを辺りに飛び散らせた。
 その光景は、とても見るに耐えないものだった。
「うわっ!?」
「きゃあっ!」
 肉片が転がる惨たらしい光景に、仲間達は思わず目をそらしてしまった。
「なんだなんだぁ?」
 ロビンは呆れたような声を出す。
「まだまだ前菜も終わってないってのにその様か? 全てを食らい尽くすみたいな事言っときながら全然じゃねえか」
「ごお……おぶっ……!」
 胃の中のものを吐き出すかのように、デュラハンは首の辺りから、血と肉片を垂れ流した。
「ったく、きったねぇな。少食な癖に大食いに挑むからそうなるんだよ」
「ぐっ……貴様、図に乗るなよ……」
 デュラハンはゆっくりと立ち上がった。下半身までは破裂しておらず、両腕の筋肉の隆起はなくなっていたが、形は元通りになっていた。
「やっぱり再生できるのか。まあでもそんな能力でもなきゃ、面白くねえな」
 ロビンは、小馬鹿にするように笑う。
「食らい尽くせぬ力ならば、全て消し去ってやろう!」
 デュラハンは怒り狂い、更なる黒魔術を発動する。
「元素の破壊……」
 仲間達は、デュラハンのこの黒魔術に 危機を覚えた。
「ヤバい、あれを食らったら、いくらロビンでも……!」
「逃げてください、ロビン!」
 ジェラルドとイワンは必死に叫ぶものの、彼ら自身、それは不可能だと分かっていた。
「二度と立ち上がれぬようにしてくれる!」
 デュラハンは、力を無にする烈風を巻き起こす。
『ジンヘルストーム』
 白の中に、四元素を示す光を持つ魔術の波動が、大波のようにロビンへと襲いかかる。
 効果の範囲は非常に広く、この部屋を全て埋め尽くすほどである。避ける事などとてもできない。
「フハハハ! 地に膝をつくが良いわ!」
 今度こそロビンを倒せると確信し、デュラハンは高笑いを上げる。
 しかし、ロビンにはまるで慌てる様子がなかった。
 目を閉じてすうっ、と大きく深呼吸して心を静める。
 そして精神が最も集中した瞬間、ロビンはかっ、と目を開き、押し寄せるデュラハンの魔術の波動に向けて手を突き出した。
「ふうっ!」
 ロビンの左手と波動がかち合った。
「な、何っ!?」
「そんなバカな!?」
 ガルシア達は驚かずにいられなかった。
 デュラハンの大波のような、力を無にする波動が、ロビンの腕一本によって止められていたのである。
「バカな、何故飲まれん……!?」
 デュラハンも目の前に起こる事象に、驚きを隠せなかった。
「フフッ……!」
 ロビンは不敵な笑い声を上げる。
 ロビンは手先からエナジーを発していた。その力は圧倒的であり、デュラハンのあらゆる力を消し去る魔術をもってしても消しきれないほどのものだった。
 やがてデュラハンの魔術は、その勢いを無くしていく。
「今のはなんだデュラハン、こけおどしか?」
 力を消し去るはずの魔術が逆に消し去られてしまった後、ロビンは大仰なそぶりをする。
「な、何故だ、何故我が魔術が打ち負けた……!?」
「ふっ、オレの力を吹き飛ばすには、魔力が弱すぎたな。あんなもの全力を出さずとも相殺できるぜ。なんならもう一回やってみるか?」
 ロビンは、完全にデュラハンをバカにした顔を見せる。
「ぐぎぎ……! そこまで所望すると言うのならやってやろう。次こそ貴様を消し飛ばしてくれるわ!」
 デュラハンは、魔力を更に増幅し、ロビンごと吹き飛ばさん勢いの魔術を放つ。
「元素の破壊、『ジンヘルストーム』!」
 デュラハンは、再びロビンの力を消し去らんと、魔術を放った。
 当たった相手の全ての力を吹き飛ばす、キラキラとエレメンタルの光を含む白い波動が、再びロビンへと襲い来る。
 しかし、ロビンはまるで慌てる様子がなく、更に波動が寸前まで迫っても一切の動きを見せなかった。
「フハハハ! 今度こそ消え去るがいいわ!」
 デュラハンはうるさい笑い声を上げる。
「……ふっ!」
 ロビンは、デュラハンの魔術の波動が剣の届く間合いに入った瞬間、ソルブレードを地面を抉るように振り抜いた。
 波動とソルブレードが、全く同じタイミングでかち合った瞬間、波動はロビンによって跳ね返された。
「なにっ!?」
 受けた者の力を完全に消し飛ばす波動が、逆転してデュラハンへと襲いかかった。
「うっ、うおおおお……!」
 デュラハンはかわす余地もなく、自ら放った魔術の波動に飲まれていった。
 やがて波動が消えていき、デュラハンの姿が明らかとなる。
「ふふっ、無様だな!」
 ロビンは、デュラハンの姿を見て嘲笑した。
 魔術の効果である、力を無にする影響は、デュラハンも例外なく受けていた。
 デュラハンは力を失い、立っているのもままならない状態であった。地面に片膝をつき、剣を杖にしてなんとか倒れないようにしている。
 デュラハンは筋肉も奪われていた。鎧がかなりぶかぶかとなり、鎧の隙間から見える肩や大腿部は、骨が浮くほど細くなっている。
 ガルシア達が受けた時とは明らかに効果が違っていた。
「ぐぎぎ……何故だ、何故これほどまで力が……!」
 デュラハンは、声を出すのもやっとの状態である。
「何でかって? 答えは簡単なことさ」
 ロビンが一体何をしたのか、彼自身の口から明かされた。
「オレが貴様の波動を跳ね返したとき、ソルブレードに宿る聖なる力を上乗せしてやったのさ!」
 ロビンは、デュラハンの魔術に、ソルブレードの聖なる力を含ませていた。
 デュラハンの『ジンヘルストーム』が暗黒の属性の魔術であったなら、ソルブレードとかち合った瞬間に消えてしまうところであるが、この魔術は対象の力を消し去るという効果しかなかった。