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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL27

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 そのため、闇の力でも聖なる力でもない無の力である『ジンヘルストーム』は、聖なる力を持つことができた。
 そしてデュラハンは、その聖なる力によって強化された自らの技にやられたのだった。
「分かったか? それじゃあ三秒だけ待ってやる。とっとと再生しな」
 ロビンは剣を担ぎ、デュラハンに回復の猶予を与えた。しかし、その猶予は普通のものではなかった。
「さーん……」
 ロビンは数を数えながら、精神集中する。
「にー……!」
 ロビンは凄まじいまでの精神力を、エナジーへと変換した。
「いちっ!」
 ロビンはエナジーを発動する。
『スパイア・クレイ!』
 ロビンはいくつか、土の槍を出現させた。これまでこのエナジーの大きさは、せいぜい小岩くらいのものだったが、そのどれもが巨岩ほどのものになっていた。
 ロビンはそれらを、デュラハンへと発射した。
 三秒という短い時間では、デュラハンはまるで再生できるはずもなく、なす術なくロビンのエナジーを受けるしかなかった。
「ぐおおおお!」
 巨岩ほどの土の槍は、デュラハンの鎧を砕き、体を貫いた。
 ロビンの狙いは、デュラハンの心臓があるはずの左半身であり、心臓を貫いてデュラハンの息の根を止めようというものだった。
「……ふっ、大人しく待っててやるとでも思ったか?」
 ロビンは深紅の双眸で、どす黒い血の海に沈むデュラハンを見下した。
「ぐ、ごおお……!」
「うん?」
 ロビンは眉間にしわを寄せた。確かにデュラハンの心臓を刺し貫いたはずなのに、デュラハンにはまだ息があった。それを不思議に思ったのである。
「ロビン! やつは心臓を貫いても死なんぞ!」
 ガルシアが叫んだ。
「そうだ、デュラハンには魔脈という器官があるんだ。そいつを潰さないことにはデュラハンは殺せないんだ!」
 シンが詳細を伝える。
「ふん、魔脈、か。どれ……」
 ロビンは、天眼に近い眼力を駆使すべく、目を凝らしてデュラハンの体を見た。
 すると、デュラハンの胴体に四つの輝く物体があることが、ロビンの目に写った。
「……なるほど、心臓から流される血だけじゃなく、魔脈とかいうものから発せられる魔力でも動いているってことか。しかし四つもあるとは、まるで牛の胃袋だな」
 ロビンが観察している間に、デュラハンは再生していた。
 跳ね返された『ジンヘルストーム』で骨が透くほどに細くなった四肢は元の太さに戻り、胴体の傷も塞がっていた。
「ほう、あれだけ食らっておきながら元通りに治るとは、しかもぶっ潰したはずの心臓まで再生するなんて、魔脈の力は侮れないようだな……」
 ロビンは、デュラハンの魔脈を、非常に厄介なものだと感じた。
「しかし妙だな、心臓近くに魔脈が見えるが、傷ひとつなくピカピカだ。確実にオレのエナジーはそこも貫いたはずなんだが……」
「ロビン、やつの魔脈には、エナジーや魔術の類は通用しないんだ! 打ち破るには直接叩くしかない!」
 シンが叫んで魔脈の破りかたをロビンに教える。
「ぐっ、余計なことを……!」
 デュラハンはこうなることを知る由もなく、喋りすぎたと後悔した。
「なるほど、そういうことだったか」
 ロビンは納得した。そのようなものでもない限り、先程のようなエナジーを受けて無事でいられるはずがなかった。
 魔脈を打ち破る方法を知り、ロビンは笑った。
「魔脈さえぶっ潰さなきゃ、お前は死なないんだな? 安心したぜ。あっさりと終わらせる気は無かったからな!」
 ロビンはソルブレードの切っ先をデュラハンに向けた。
「来いよデュラハン。貴様が人々に与えた恐怖を何倍にも高めて消し去ってやる!」
 デュラハンは激昂し、怒り狂った。
「虫けらごときが、遊ばせておけば調子に乗りおって! よかろう、一切の手加減はせん。全力で貴様を滅ぼしてくれよう!」
 デュラハンは怒鳴り声を上げ、更なる魔術を発動する。
「元素充填、『チャージエレメント』!」
 デュラハンに、暗黒の風の力が集まる。
「冥府の業風……!」
 暗黒の力が風によって渦を巻き、辺りに強い風を吹かせる。
「ははっ! なかなか面白そうなことするじゃねえか!」
 強風に髪をなびかせつつ、ロビンはまるで、嵐に興奮する子供のような笑い声を上げた。
「ヘラヘラしていられるのも今のうちだ、食らえ! 『カース・サイクロン』!」
 デュラハンは剣を振り、呪詛の竜巻を引き起こした。
 真っ黒なつむじ風が一気に勢力を上げ、巨大な竜巻と化した。呪詛に耐性のない者の生命力を吸い尽くす漆黒の竜巻が、ロビンへと襲いかかった。
「フハハ! 呪詛に包まれ朽ち果てるがいいわ!」
 デュラハンは、こればかりはさすがのロビンも耐えきれまい、と高笑いを上げる。
 しかし、デュラハンに笑っていられる時は長く続かなかった。
「フフッ!」
 ロビンはその場から動くことなく、口元をつり上げ笑うと、ソルブレードの切っ先を地面に向けた。
 そして、ソルブレードを地面に突き刺して詠唱する。
『マザーガイア!』
 ロビンの前方の地面が黄金色に輝き、光が扇状に広がると、大地のエネルギーが噴き上がった。
 地下に埋まった土塊や岩を噴き上げて砕く大地のエネルギーの勢いは、呪詛の竜巻のものとまるで変わらない。むしろ勝っているかのようにも見えた。
 そして大地のエネルギーは、呪詛の竜巻とぶつかり合った。すると、驚くべき現象が起きた。
「ば、バカな……!?」
「竜巻の中の呪詛が、消えていく……!?」
 地と風のエレメンタルのみならず、光と闇の相反する力がぶつかり合うと、呪詛の闇は光に浄化されていった。
「フフッ!」
 ロビンは小さく笑い、エナジーの出力を更に上げた。
 ソルブレードを通して放たれるロビンのエナジーは、ソルブレードの聖なる加護を受け、光の性質を持つ力と化していた。
 ロビンの出すエナジー、そしてソルブレードの聖なる力は、デュラハンの呪詛の力を上回り、どんどんその力を浄化していった。
 やがて漆黒の竜巻は灰色となり、ついには白くなって呪詛の力は消え去った。
 ロビンの強大な地のエレメンタルパワーは、竜巻の風のエレメンタルパワーを超え、竜巻を完全に打ち消してしまった。
「相殺、しただと!?」
 デュラハンは、完全に互いの力が打ち消されたと思っていた。
「バカめ、その程度の竜巻でオレのエナジーを消せたと本気で思ったのか?」
 勢いこそだいぶ削がれてしまったものの、ロビンのエナジーはまだ生きていた。
「なっ!? ぐううっ、これしき……!」
 ロビンのエナジーはデュラハンの所まで迫り、デュラハンは防御体勢を取る。
 デュラハンには、地のエレメンタルに対する耐性があったが、ソルブレードの聖なる力が邪悪なる存在のデュラハンに有効打を与えた。
「ぐあああ!」
 デュラハンは押し負けて、後ろに大きく弾き飛ばされた。壁に激突し、そのままずるずると尻餅をつく。
「すごい……」
「まったくだぜ、あいつ本当の本当にロビンなのか? 全てが段違いだ」
 イワンとジェラルドは、ロビンの圧倒的力に感嘆するしかなかった。
「ロビンのエナジー、あれは中級程度のはずなのに、上級どころか最大級も超えている……」