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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL27

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 ロビンと同じく地のエレメンタルに属し、同じように地のエナジーを使えるガルシアは、ロビンのエナジーがものすごく強化されているのを感じていた。
 ソルブレードの力の加護を受けたとはいえ、地の中級エナジーである『マザーガイア』が、最強の黒魔術をいとも簡単に押し返した。これを例えるなら、川の流れを反対に変えてしまうことと同じようなものである。
 ロビンはこれまで、自ら攻撃を仕掛けていない。デュラハンの攻撃を無力化、もしくは反射しているだけである。ロビンの力はまだまだ未知数であった。
「ほらどうしたデュラハン、さっさと立てよ。それともあれでもう弾切れか?」
 未だ立ち上がれないデュラハンにつかつかと歩み寄り、ロビンは切っ先を向けた。
「ぐぬううう……!」
 デュラハンは唸るしかなかった。
 各種黒魔術をことごとく無効化され、最強の魔術である『カースサイクロン』までも打ち消されるに止まらず、反撃をもらって今地に腰を落としている。
 しかし、まだデュラハンには技があった。ロビンを一度死に追いやった必殺の剣技である。
 不意討ちだったために、ロビンは死んだのではない。これは黒魔術の力で高圧電流を剣に込め、それにより、どのようなものであっても両断する剣技となるのである。
 デュラハンの持つ魔術のほとんどをロビンに無力化されてしまった。どのみちデュラハンにはもう、この技しか残っていない。
 デュラハンは腰を上げた。それまでロビンは不敵な笑みを浮かべるのみで、一切攻撃を加えようという素振りも見せなかった。
「やっと立ったか。さあ、次は一体何を見せてくれるんだ?」
 ロビンは訊ねるように言うが、デュラハンの出方が分かっているかのようだった。
「……よもや、これを再び使うことになろうとは、思わなんだぞ……」
 デュラハンは剣をまっすぐに突き上げ、黒魔術の力を込め始めた。すると刃が帯電し、バチバチと電気が弾け出した。
 そして、デュラハンの剣は電撃の刃となり、刀身の長さは二倍、三倍まで伸び、天井を貫かん勢いであった。
「ふっ、それがオレを一度殺した剣か。後ろから突き刺されたもんだから、どんなものかは分からなかったな」
 一度死んだ原因となった剣を前にしても、ロビンは余裕の表情である。
「これこそが我が最強の黒魔術にして剣技、この雷の刃に断ち切れぬものはない!」
 それは、デュラハンの属する地のエレメンタルとは相反する風のエレメンタルの刃である。自身が苦手とするエレメンタルが最強技という、デュラハンにとっては矛盾の技であった。
「ははっ! ずいぶんと自信があるようだが、果たして二度も同じ技でオレを殺せると本気で思っているのか?」
 ロビンは挑発する。
「減らず口を叩いていられるのもここまでだ! 食らえ、『ファルミナスエッジ』!」
 高圧の電気が放電された雷の刃が、ロビンに一瞬にして襲いかかった。
 電撃の刃という性質上、触れればただではすまない。受け止められたとしても感電し、黒焦げにされてしまう。
 かといって避けようにも、刃は非常に長く、逃げ回った所でいつか追い付かれてしまう。
 デュラハンの黒魔術と剣術を合わせたこの技は、まさに最強と言える剣技であった。
 雷の刃がロビンへと迫り来る。しかし次の瞬間、デュラハンの最強技をも凌駕する剣が放たれた。
『ラグナロック!』
 大地のエネルギーを剣状の形として放つエナジーを、ロビンはソルブレードに宿して振るった。
 地と風、相反するエレメンタルがぶつかり合い、雷の刃と大地のエネルギーの刃は相殺された。
「こ、このような事……」
 デュラハンの技は今、全てロビンに無効とされてしまった。これは最早、デュラハンに万に一つも勝ち目がなくなった事も意味していた。
 己が持つ全ての技を無力にされたために、デュラハンは意気消沈していた。そこへロビンが更なる追い討ちをかける。
『クエイク!』
 ロビンはエナジーにより、デュラハンの周りにのみ小規模の地震を起こした。
「うおおっ!?」
 範囲こそ非常に狭いものの、地震の揺れは激しく、デュラハンは立っていられず体勢を崩した。
『スパイアクレイ!』
 ロビンは更に、複数の土の槍を作り出した。そのままデュラハンに放つのかと思いきや、ロビンはエナジーで土の槍を空中に止まらせた。
 そして、ソルブレードで一閃し、土の槍をより細かく粉砕した。
 ロビンはそれをエナジーで凝縮し、いくつもの塊を形成する。そしてそれらを腰を落とすデュラハンの上に移動させた。
 パチッ、とロビンは指を弾き、物体を浮遊させるエナジーを解いた。その瞬間、岩石のごとき塊となった土の槍が、デュラハンの上に降りかかった。
「があああ……!」
 デュラハンはなすすべなく、降りかかる土の塊を受けるしかなかった。
「フフッ!」
 ロビンは急接近し、デュラハンにソルブレードの切っ先を向けた。
「ぬおっ!?」
 デュラハンは驚きの声を上げるのみで、一切身動きが取れなかった。少しでも動けば、ロビンに一閃されてしまうような、そんな恐怖さえ感じてしまった。
 そんなデュラハンの心を読んでいるのか、ロビンは含み笑いを浮かべ、切っ先を向けたまま一切の動きをしようとはしなかった。
「……きっ……!」
 デュラハンは何か声を絞り出そうとする。
「ああ?」
 ロビンは眉を片方上げ、一体デュラハンは何を言い出そうとしているのか、怪訝そうな顔をする。
「貴様は一体何者だ!? 我の攻撃をことごとく打ち消し、傷一つ負っていないなど……!」
「へあ? デュラハン、お前今オレに向かって『貴様は何者だ』って言ったのか? くふふ……アハハハハ……!」
 ロビンは小さく吹き出すように笑ったかと思うと、顔に手を当てて上を見上げて大笑いした。
「人のことを殺しておきながらずいぶんな事言ってくれるじゃねえか! ハハハ……!」
 一体デュラハンの言葉のどこに、そこまで可笑しいところがあったのか、全く分からないがロビンは笑い続けた。
 そして一頻り笑った後、深紅の双眸をまっすぐにデュラハンに向ける。
「はは、全く笑える話だぜ。殺したはずの相手にこけにされ、その上捻り出した言葉がお前は誰だ、だもんな。まあいい、デュラハン、貴様のどこに耳があるのか知らないがよく澄まして聞きな。今のオレが何者なのかをな……」
 ロビンは大きく一息ついて、自らの存在を語り始める。
「貴様が殺したはずのオレ、ロビンは確かに死んだ。だが、オレに宿っていた力が、オレを再び現世へと蘇らせてくれた」
 ロビンの破壊衝動が意識を持った存在、それはウェイアードが、世界そのものが、己が身を守るために世界に住む者に特別な力を与える存在、その名を闘霊。
「闘霊より力を賜れる者は稀有なもの。特にも、オレが受け取った力は、数千年に一度でも扱える者が現れるかわからないほどのものだ」
 遥か数千年もの昔、ロビンと同じ力を得た男がいた。
 その男は、闘霊より力を受け取り、その力によって故郷の村を滅びの危機より救った。
「自らの故郷を、自らの命と引き換えに、その男は宿敵と戦った。そしてそいつは死後、新たな闘霊になった」