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こらぼでほすと 秋刀魚3

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 そして、腕に懐いていたリジェネも似たようなことを、ほざいたので、こちらの口も塞いでいる。そして、すいませんすいませんと謝っているが、全員がびっくりだ。天下無敵の大明神様に拳骨して笑っているなんていうのはオーヴの人間にとって有り得ない。そんなことをしたら、キラの周辺から凹にされることは確実のはずだ。だが、キラは自分の頭を擦るだけで怒りもしない。
「トットダカ? 」
「ああ、うちの娘さんはキラ様とカガリ様のママもやってるんだ。だから、あれは教育的指導。」
「ラクスのママもやってるしねー。ラクスも叱られてるもんね? ママに。」
「あれは、とんでもないことするからだ。・・・・そんなことはいいから、乾杯の挨拶。」
「はーい。」
 簡単な親子漫才の合間に、シャンパンが配られて行き渡ったところで、キラに最後のグラスが用意された。それが合図となる。
「お客様、どうぞ、ゆっくり楽しんでください。乾杯。」
 挨拶してグラスを高く掲げると、全員が乾杯と合唱して飲み干す。それから、トダカが挨拶して、あとはホールは無礼講となる。


「じゃあ、じじいたちはVIPルームへ案内しようか。」
 トダカが先導して二階へ上がる。最後からハイネに手を引かれたニールと悟浄に手を引かれる八戒も上がる。その光景にホールは、しばらく無言の空間となっていた。当人は、ホストのお化け役と思っているが、きちんとしいればイケメンで通るし、うっかり見間違えると人妻の色気なんてものがあるように感じられてしまうので、攻略対象キャラというのは、あながち外れているわけではない。
「アマギさん、トダカさんのお嬢さんのことですが。」 と、詰め寄ってくるのがいても、おかしいとはアマギも思わない。
「お嬢さんは結婚しているぞ。それも対人間なら最強の夫だ。俺も投げられたことがある。・・・・それに気性の激しい人なので、自分の女房にちょっかいをかけたやつなら、確実に叩きのめすはずだ。諦めてくれ。」
 と、こういう言い訳をすることも正しいわけで、本日、出社拒否してくれて、逆に助かった。もし、出社していて、ニールを口説くのが現れたら、確実にマグナムで狙うことだろう。普段の貧乏性庶民派なニールを知っているアマギたち、トダカーズラブにしてみれば、なぜ、ニールに惚れるのか、ちっとも理解できないのだが。
「あの小さい子は、ヘブンズビーチにも来ていたな? 」
「ああ、うちの娘が世話している子だ。」
「子だくさんなんだなあ、トダカの娘さんは。」
「そうなんだ。どんどん子供が増えていくんで、私は愉しいよ。」
「おまえの婿殿は? 」
「来てない。おまえらに、からかわれるのがイヤだったんじゃないかな。」
「そりゃ、残念。」
「酒はあるんだろうな? 」
「もちろんだ。婿殿のところのやつと、私のセレクトを用意した。浴びるほどにあるから。」
「それはいいな。今夜は、この後の仕事もないから、存分に飲もうじゃないか。」
 階段を上って、奥の部屋に案内する。部屋には、すでに料理も用意されていた。本日は、特区の秋メニューと爾燕の故郷の料理というものになっている。全員が席に着くと、ニールが料理の説明を簡単にする。大皿盛りにしてあるので、ご希望のものを取り分けます、と、言うと、お勧めを盛ってくれ、と、すぐにオーダーが入る。
「アレルギーはありませんか? お客様たち。」
「ないない。適当に盛ってくれ。」
「お酒のほうは、大陸の黄酒と白酒から始めさせていただきますね。」
 ハイネ、八戒、ニール、悟浄あたりが料理を取り分ける。トダカのほうは酒の酌をするのだが、一桁組からはブーイングだ。
「トダカ、娘さんの酌を所望したい。」
「ああ、はい。どちらがよろしいですか? 」
「お勧めで。」
「白酒からでいいよ、娘さん。度数はあるからチェイサーも作ろう。誰か、ビールは? 」
「この料理でビールはないだろう。」
「いや、最初だけビールをくれ。」
 料理と酒が行き渡ると、全員が席に着く。もちろん、ニールはトダカのとなりで、ウーロン茶だ。
「ようこそ、じじいたち。食事も酒も味は保証する。」
「ひどいなあー同じ、じじいのトダカには言われたくないぞ。」
「ニールくん、すまないが広いところで立って一回りしてくれないか? 衣装を鑑賞したい。」
 ああ、はいはい、と、ニールが立ち上がって、少し広いところでくるりと回ってみる。背後にも鳳凰の対が刺繍された立派な衣装だ。普段、カガリが身に着けている時は、公式行事の時だから、じっくり鑑賞する暇がない。背中を見せてくれ、というリクエストにニールは向きを変える。
「さすが、ウヅミ様だ。これは素晴らしい。」
「そりゃ、カガリ様のために誂えたんだ。精一杯のものにされたんだろうなあ。」
「結局、ご本人は、ご覧になれなかったな。」
「しょうがないさ。あの当時、カガリ様は修業期間だったからさ。」
「ほぼ、すべての地域の衣装を用意されて楽しみにされてたんだけどなあ。」
「たぶん、鑑賞はされているだろう。あちらからさ。」
「ニールくん、ご苦労さま。」
 なんだかんだと話しながら、酒を飲んでいる面々は、ちょっと遠い目をした。本来なら、カガリが代表を継ぐまでウヅミの補佐として修業させているはずだった。それができなくて、カガリも、いきなり代表に就いた。山のような苦労はある。それを、ちょっとリアルに思い浮かべたらしい。
「愚痴大会なら、娘たちは下がってもらうぞ? 」
「いやいや、ちょっと思い出しただけさ、トダカ。」
「なかなか可愛いな? というか、おまえ、本気すぎるだろ? アクセサリーも全部、借り出したとは思わなかった。」
「せっかくなら着飾らせてお披露目しようと思ってね。カガリ様も、せっかくなら、と、フルレンタルで飾ってくれ、とのことだった。」
「確かに完璧だ。錯覚しそうなくらいに可愛い。」
「そうだろうそうだろう。うちの娘は可愛いから、どんな衣装でも着こなしてくれるんだ。」
「ちょっちょっと、お父さん? 」
「いいじゃないか、娘さん。きみは、本当に可愛いんだよ。」
「そんなことないですよ。カガリの衣装なんて借りてくるなんて・・・・本物すぎるっっ。俺は、もう三十路のおっさんなんですからね。」
「はははは・・・・おっさんねぇーきみを見て、そう評価する人を、私は見たことないけどねぇ。」
「トダカさんの前では言わないってだけでしょ? 」
「いや、大丈夫だ、トダカの娘さん。本当に可愛い。プラントの大使館でも、しばらくは話題になってたほどさ。」
「は? 」
「ああ、私も聞いたよ、その話。いろいろと衣装をつけて写真を撮ったんだろ? トダカが、『うちの子の写真を保存すると叩きのめす。』って宣言したから残せなくて残念がってた。」
「うちにも問い合わせがきたけど、死ぬからやめろ、と、脅しておいた。オーヴの正装軍服が絶品だったらしい。」
「ほら、ごらん、娘さん。私の目が歪んでるんじゃないんだ。カガリ様が、正式に軍の地位も用意させようかって言い出したから、止めたんだ。」
「ええ? 俺が軍人? 無茶なことを・・・」
「ギルさんだってプロポーズされたよね? 」
「あの人は変態なんだから、病気です。」
「デュランダルが? 」
作品名:こらぼでほすと 秋刀魚3 作家名:篠義