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こらぼでほすと 秋刀魚5

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「いえ、量は食べられませんが、なんでも。」
「オーヴの料理は食べられたかな? 」
「ええ、おいしかったです。たまに市販のペーストでオーヴ料理も試してます。」
「じゃあ、あっさりしたオーヴ料理を試そうか? じゃがいも料理があるかどうかは、おじさんたちにはわからないが調べてもらうよ。」
「いや、それより、じゃがいも料理っていうなら洋食のほうがいいんじゃないか? 」
「和食だと肉じゃががあるな。」
「ポテトサラダって和食だったかな。」
 一桁組は、何を食べさせてみようか、という話になっているので、トダカが、「どういうことだい? 」 と、娘に尋ねる。
「みなさんが、トダカさんの若い頃の話とか写真を見せてくださるそうなんで、一緒に食事することになりまして・・・」 と、説明したら、立ち上がった。
「おまえたち、うちの娘さんとデートなんて百億光年早い。デートしたいなら、私を倒してからいえ。」
「出たな、トダカ。」
「いいだろう、トダカの娘さん争奪戦だっっ。」
「ちょうど、どちらの親衛隊も揃っていることだし派手にやるか。」
「でも、顔に傷が残ると会議の時にまずいな。」
「トダカ、顔はNGで、どうだろう。」
「私は、かまわないが。うちのスタッフにはかなわないと思うんだがなあ。」
「え、親衛隊じゃないのか? 」
「うちの娘の争奪なんだろ? それなら、子供たちが黙っているわけがない。そうですよね? キラ様。」
 はて、どうしたもんか、と、慌てているニールの横には涼しい顔のキラが座っている。フルートグラスの液体を飲み干して楽しそうに笑っている。一応、対応策は考えていたらしい。
「ママを連れていくのは禁止だもんね。・・・・というか、トダカさん、ここでやると怪我人が出るよ? 穏便なのにしない? 」
「どんなものですか? キラ様。」
「別荘で騎馬戦なんて、どう? ママの乗っている馬を倒すか、ママのハチマキをとった人が、ママと一日デートする権利をゲットするとか? そういうの。それなら三蔵さんも参加してくれるだろうしね。うふふふふふ・・・・」
 つまり、ニールを守る最強の馬が完成することになる。誰も、その馬に近寄るのも難しいだろう。さらに、周囲に年少組の馬が妨害に加わる。いい遊びになるとキラは笑っている。さらに、ハイネが、さらに競技を盛る意見だ。
「キラ、どうせなら運動会にしちまえば、どうだ? 借り物競争とか大玉転がしとか玉入れとかさ。うちのレクリエーションにするなら、それぐらいの種類は欲しいぞ。」
「ああ、いいね、ハイネ。じゃあ、ウヅミーズラブばーさす吉祥富貴で運動会にしよう。会議のない日ならいいよね? 」
「それ、予定は空けられますか? お客様。時間は最低二時間は欲しいんですが。」
「会議が終われば、半日くらいは空けられるだろう。それで、どうだろう? みんな。」
「いいな。二週間後だな。・・・・とりあえず馬になる精鋭を用意するとしよう。」
「うちのメンツなら、トダカぐらいは倒せる。くくくくくく。」
「大きく出たな。うちのも強いんだけどねぇ。」
「現役軍人を舐めるなよ? 」
「連係プレーっていうのもあるぞ? トダカ。」
「だが、あまり数を増やすと大事にならないか? 」
「いや、そこいらは大丈夫です。地下のMS演習場なら、大人数で騒げます。ただし、ややこしいのは連れて来ないでくださいね? セキュリティーにひっかかりますんで。」
「もちろんだ。最初から携帯端末やらの機材は預けるさ。」
「優勝の商品が、トダカの娘さんというのはいいなあ。」
「それなら会議を、ちゃちゃっと終わらせることにしよう。そうすれば日時の都合もつけられる。」
「今度は、素のニールくんが拝めるんだな。それは楽しそうだ。」
「俺、このまんまですよ? 」
「いやいや、もっとキラ様たちと騒いでるんだろ? そういうのは癒しだよ。そうだ、それまでにトダカの写真とか映像も用意させるから上映会もやろう。確か、うちの運動会の映像が残ってるはずだ。」
「やってたんですか? 」
「そんな大層なもんじゃないけど、身体を動かすぐらいはやってたんだ。二桁組くらいまでしか参戦してないけどね。」
「それは面白そうだなあ。ぜひ、見たいです。・・・・あ、俺、別荘出禁だったっけ。」
「ママ、その日だけ解除するよ。ね? ハイネ。」
 ニールが別荘の出禁になっているのは、デュナメスリペアとキュリオスリペアが格納庫に収納されているからだ。それは見えない場所に隠しておけば、問題はない。キラが視線で隠してね? と、ハイネに頼むと、「はいはい、出禁解除でな。」 と、返す。格納庫の奥に配置して見えないようにするぐらいは造作もない。
「うちは午前中から遊んでますんで、都合のつく時間にいらっしゃってください。連絡してくだされば、こちらで手配させていただきます。」
「ああ、頼むよ。うちのほうも時間の調整をさせたら連絡する。」
 実務者レベルの国際会議さえ終われば、一桁組も時間を空けられるから、それでオッケーだ。まあ、勝てる見込みはないので、トダカも余裕で微笑んでいる。せっかくだから時間を目一杯空けて参加する方向だ。まあ、肉体的にはレベルが違いすぎるから、そういう競技はしないで、遊び優先の競技になる。
「パン食い競争とか昔は、面白かったなあ。」
「ムカデもいいぞ? あれはチーム連携だ。」
「障害物は、もう走れんなあ。」
「運動会っていうのは、記録会のことですか? トダカさん。」
「ああ、子供の頃に学校でやってたもんだよ、娘さん。ただ、単に身体能力で勝つものばかりじゃなくて、要領が必要なものや遊びの延長みたいなものがあったんだ。」
「それ、リジェネにもさせてやりたいな。」
「うん、いいんじゃないか。みんなで遊ぶのも楽しい。」
 もちろん、ニールも子供の頃に運動会のようなものはあったが、どちらかというと足の速さやジャンプ力、バランスなんかを計測するような記録会のようなものだった。特区は、それに遊びの競技もあるらしい。
 そこへ爾燕と紅が新しい料理を運んでくる。これで砂漠料理も全部出揃った。あとは、ただのどんちゃん騒ぎなので、盛り上がる盛り上がる。再度、お色直しをして訪問着に着替えたニールが、一桁組に肩たたきなんかサービスして、さらに盛り上がった。




 予定のかみ合わせやらなんやらで、なんとか二週間後の土曜に予定は決まった。それなら学業優先の年少組も参加できる。トダカが、実は、こういうことになっててさ、と、寺の坊主に説明すると、そういうことなら付き合おう、と、了承された。坊主は負けず嫌いなので、そういう時は参加してくれる。
毎日のように女房を拉致されるのは困るからのことだ。
「ただし、馬の足だけど? 娘さんを乗せてもらわないといけないんだが、いいかい? 」
「ああ、先頭なら戦えるからいいぜ、トダカさん。ケガをさせなきゃいいんだろ? 一桁のじじいどもを負かしたら、勝負だな。」
「おや、独占欲の激しいことだ。まあ、それもいいか。たぶん、私だけじゃないだろうし。」
作品名:こらぼでほすと 秋刀魚5 作家名:篠義