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こらぼでほすと 秋刀魚8

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 適当に組み分けして、大玉転がしから始める。見分けがつかないので、各チームで帽子を被る。ふたりで一組で大玉を転がして、旗のついたポールを回って交代する。はずなのだが、コーディネーターとか人外組あたりは玉を投げて走っていたりするのは、ご愛敬だ。投げて走るので、とても速い。だが、ここにオーヴ組も混じっているので、そこだけは玉を転がしているので、普通の速度になる。勝負事となると、みんな、本気だ。わーわーと走り回り、なんとかカガリチームが僅差で勝った。
「よーしっっ、次は玉入れだな。」
 おらおら全開で準備する。走る競技は若手だけなので、玉入れで小休止になる予定だ。




 ハイネは映像を再生しつつ留守番をしている。ソファの前に座り、ビール片手だ。そこへ寺の坊主が避難してきた。玉入れなんかは興味がないらしい。冷やされているビールを手にして、ハイネの横に座る。
「今、なんの競技? 」
「これから玉入れだ。・・・こんな古臭いものを鑑賞して楽しいのか? ハイネ。」
「まあ、顔を覚えるという目的がメインだな。亡くなってる人も多いけど、今現在のオーヴの中枢のメンバーだからな。たぶん、二桁組前半までしかいないはずだ。」
 三十年前のものではあるが、現在、カガリの主要ブレーンたちだ。顔を覚えるにこしたことはない。こういうものは諜報部門のハイネの担当だ。
「まだ、寝てるのか? 」
「午前中に、はしゃいでたからなあ。もうちょっと寝かせておくほうが安全だ。・・・・三蔵さん、騎馬戦は、どこいらまで本気でやる? 」
「適当だ。サルと王子だけは本気で排除するが、あとは、軽く蹴れば潰れるだろう。おまえ、面倒だから近づくなよ? 」
「わかってるよ。キラにも、そう言ってある。ある意味、暴れればストレス発散になるっていう感じだから、そんなとこでいいだろう。」
 ハイネも本気ではないので、そんなとこだろう、と、思っている。どうせ、寺に帰ればニールはいるのだ。わざわざ独占しようとは思わない。坊主に本気で立ち向かうなんて確実にケガするのでやりたくない。
「カガリが、今週は寺で泊まるつもりらしい。」
「それは女房の担当だ。俺の知ったこっちゃねぇー。」
「長くても四日か五日程度だ。それで、オーヴウィークも終わり。」
 ここんとろのオーヴ関係者出入りも、それで終わる。オーヴから、わざわざ遠征してくることも、あまりないだろうから静かになるだろう。運動会に出て来た三蔵に挨拶するものが多くて、辟易して逃亡してきたのもハイネは理解しているから、そう説明した。さすがに、うるさいのは坊主には迷惑だったらしい。坊主も、へっっと鼻で笑っている。
「舅だけでも面倒なのに、これ以上、舅が増えたら迷惑だ。」
「そこいらは大丈夫だろう。トダカさんも今回限りと釘は刺してたからさ。あとな、あんたを直に拝見したかったんだと思うぜ? 」
「ああ? 」
「例の奪還。トダカさん経由で報告されてるんだろうさ。くくくく・・・えげつなかったからな。」
「女房の用件だ。」
「だからさ、そう言い切れるあんたに興味はあったんだろうさ。実際、感心してた。一桁組としては、もっと会話をしたかったらしいけど、あんたがオールセルフサービスで押し切ったからさ。」
 普段なら、国家の重鎮たる一桁組がスルーされるなんてありえない。だが、寺は治外法権な場所だ。女房の客にまで愛想するつもりは坊主にはないから、普段通りにメシを食っていた。そこいらが感動されたらしい。もちろん、女房奪還事件のことはニールが知らないので緘口令も敷かれていて、詳しい話もできなかったのもある。
 けっ、と、舌打ちして坊主はタバコに火をつける。ぷかーっと紫煙を吐き出している。まあ、たまには年寄りたちも遊びたかったのだろう。オーヴ本国では顔が売れていてできないことも、特区なら可能だ。
 しばらくして、もぞもぞとハイネたちの背後が身じろいだ。そろそろ昼寝から覚める様子だ。ハイネは立ち上がって、飲み物の準備だ。
「・・・あれ? ・・・」
「休憩中だ。」
 ニールが目を開けると亭主の背中だ。上映会なんぞ付き合えるか、と、来なかったはずの男がいるので疑問符を投げたら返事があった。
「・・・・再開? ・・・・」
「おう、今、玉入れだ。・・・寝足りたのか? 」
「・・・はあ・・・いつのまに寝たんだか・・・」
「知らん。」
「・・・みんな、若くてはつらつとしてますよねぇ。」
「舅が俺ぐらいだろうな。」
「三十年前だから、そんなとこだろうな。ママにゃん、とりあえずポカリ。」
 ハイネがペットボトルを手に戻って来た。水分補給させておかなければ、と、一番効きやすいのにした。ありがとう、と、ニールも起き出してペットボトルを口にする。
「午後からの競技は参加しなくていいぜ、ママにゃん。とりあえず最終の騎馬戦だけ頼む。」
「わかってるよ。俺、全力疾走してもリジェネに負けそうだ。」
「すんなよ。」
「この人たちって、どれぐらい生きてるんだ? ハイネ。」
「半分強は生き残ってるよ。ウヅミさんが後のことを託すって言ったらしくて後追いできなかったそうだ。カガリのことがあったから、忙しくしてたってのもあるんだろうけどさ。今もトダカさんみたく体調の問題のある人間以外は現役で動いてる。たぶん、トダカさんやカガリが、おまえのことを話すから会いたかったんだろうさ。」
「俺に? 」
「そうだよ。トダカさんやカガリの癒しなら、ぜひってことだったんだろ? 」
「いいおじさんたちだぜ? トダカさんみたいな感じだ。」
「そりゃ、おじさんたちも癒されただろうさ。」
「そういうもんかなあ。」
 実感がないニールにしてみると、普段の実態を見せているにすぎないので、ピンとはこない。まあ、たまに寺に遊びに来てくれるぐらいなら親戚のおじさんが来たぐらいの感覚だ。
 映像は終わってしまったので、そろそろ動こうか、と、思っていたらリジェネとレイがやってきた。今度は玉が入ったよーとリジェネが抱きつく。
「そりゃよかったな。レイ、玉入れは終わったのか? 」
「はい、これから借り物競争です。目が覚めたんでしたら、ご覧になりませんか? ママ。」
「うん、見せてもらおうかな。」
 じゃあ行きましょう、と、レイとリジェネがニールの両側の腕に各人が懐く。借り物競争は個人戦なので坊主もハイネも参加だ。参りますか、と、二人も、その後を追う。




 庭のほうは競技の後片付けで右往左往状態だった。手伝おうとしたら、両側のレイとリジェネに止められて、さらにキラが紙とペンを手渡してきた。
「なに? 」
「人探しをするから、適当に書いて。名前でもいいし、優しい人とか怖い人とかタバコ吸ってる人とか、そーいうのでもいいから。」
「すいません、ママニール。人探しは誰が来るかわからなかったので書いてなかったんです。オーヴチームのほうは、一桁組とか軍人とかで大丈夫です。名前は俺たちだけで。」
「でも、下の名前がシンとか、そーいうのでもいいかも? 」
「とりあえず全員の名前と形容詞ぐらいにするぞ。」
「ママとトダカさんも書いてね? もし呼ばれたら徒歩でゴール。」
「はいはい。」
作品名:こらぼでほすと 秋刀魚8 作家名:篠義