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intermezzo ~パッサウ再会篇2

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「キャ!」

「お嬢ちゃん。大丈夫かい?駅で走っては危ないよ」

勢い余って構内を行く駅員にぶつかったネッタに、駅員は少女の目の高さに屈むと、「気をつけてね」と優しくネッタの頭を撫でた。

「ネッタ!急に走り出さないで」

ネッタの後を追いかけてやって来たユリウスの顔を見た駅員が、一瞬呆けたような顔を見せ、何か言いたげに彼女とネッタの顔を交互に何度も見つめる。

「すみませんでした。…あの?何か?」

「あ、失礼しました。…これからどちらへ?」

国境の駅の駅員が、行き先を尋ねる。

「最終的な目的地は…ロシアです」

「あ、ロシアの方でしたか」

「いえ…。私は…」

そこまで言いかけたユリウスが、少しの沈黙の後

「ええ。ロシア人です。仕事で今までフランスにいましたが…この度彼の地を離れる事になりましたので、折角だから、昔住んでいたドイツに立ち寄って行こうという事になりまして」

とにっこり笑って答えた。

「そう…。ロシアへ。…道中長いけれど、良い旅を」

駅員はそう言うと二人に軽く会釈して、去って行った。

「おーい。ユリウス。…ミーチャの乗った列車が少し到着が遅れるそうだ」

駅員と入れ違いに、アレクセイが二人の元へやって来た。

「そうなんだ」

「ムッター、お腹すいた」

ユリウスと手を繋いだネッタが鳶色の瞳で母親を見上げる。

「そうだね…。じゃミーチャの列車が到着するまで、一個だけお菓子を買って食べようか。あんまし沢山食べたら夕ご飯が入らなくなってしまうからね」

「ウン!」

母と娘が連れ立って菓子やパンなどを並べている行商の方へと歩いて行った。