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intermezzo ~パッサウ再会篇2

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「いらっしゃい」

「こんにちは。わぁ、懐かしいなあ。ドイツのお菓子。…ネッタ、どれにする?」

ネッタの鳶色の瞳が所狭しと並べられた焼き菓子の上を一巡する。

少し迷った末に、「これがいい」とそのうちの一つを指差した。

「これ下さい」

「ハイよ」

焼き菓子を受け取ったネッタと傍のベンチに腰掛ける。

「美味しい!」

「ムッターにも一口頂戴」

「どうぞ」

「ダンケ!…ん、美味しい」

ベンチに座って焼き菓子に舌鼓を打つ親子の姿を、行商人の女といつの間にやって来ていた先程の駅員がヒソヒソ話しながら、チラチラとユリウスたちの方を見ている。

「…まさか…」

「でもそっくりじゃあないか?それに年の頃も…」

「幾ら何でも…そんな奇跡のような偶然…」

断片的に耳が拾う内緒話から、どうやら自分の話をしているのに間違いなさそうである。

「…?」

首をかしげたユリウスと行商人の目が合う。

「あの?何か?」

そう尋ねたユリウスに、行商人の女が意を決したように問い返す。

「あんた…。つかぬことを聞くけど、お母さんの名前は、レナーテさんと言うのではないかい?」

ふと立ち寄った懐かしい思い出の地で思いがけず耳にした母の名にユリウスの碧の瞳が驚愕で見開かれる。

「何故?…何故、母さんの名を?」