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 ヤミヤミ団の壊滅、アンヘル社の新生と大事の重なったアンヘル記念日改めアルミア記念日から、既に一ヶ月過ぎた。
 ヤミヤミ団を追う必要がなくなると、慌しかった毎日は穏やかなものへと変わっていった。大きなミッションもなく、四人もトップレンジャーが留まる理由もないためにハジメとハーブさんをアルミアに残し、ダズルとセブンさんはそれぞれ違う地方に赴いたりもしている。実際にダズルは、つい昨日まで久しぶりにフィオレの仕事をしていた。ダズルの抜けた穴ともうひとり、ダズルがいた頃からリングタウンベースに所属しながらも居着いていなかった先輩が、例によって相変わらずリングタウンにいないので、古巣のあのベースも忙しかったようだ。手伝いに行っていた間は、リーダーのハヤテさんさえベースにいなくてあまり見かけなかったほどだった。
 こんな時でさえあのゆるい感じの先輩はベースにいないなんて、本当に仕事をしているのだろうかと思った。昔ハジメに聞いた“憧れのレンジャー”とあの先輩の特徴が一致している気はするが、まさかハジメの憧れの人が、あんなにゆるくて仕事をしているところを見たことがない人なわけがない、とダズルは自分に言い聞かせ続けている。
 とにかく人手が足りていなかったリングタウンベースの助っ人も終わり、やっとアルミアに帰って来ることが出来た。すっかりアルミアに馴染んだらしいパートナーのブイゼルは、船からプエルタウンの港が見えてくると海に飛び込んで、自分で波止場に泳ぎ着いてはしゃいでいた。フィオレで出会いはしたが、元々違う地方にいたらしいから仲間のいるアルミアの方が好きなのだろう。
 港から街へ歩いて行くと、顔見知りのプエルタウンの人々が一声かけてくれたりする。イオリの妹のロッコともすれ違った。これからハシモトさんのところに行くらしい彼女に手を振り、遊歩道に続く階段があるあたりの道に差し掛かると、そこで、見慣れた丸っこい後ろ頭を見つけた。相変わらず寝癖で後ろ髪が跳ねている。数日で変わるわけがないかと何だか安心して、声をかけようとダズルはそちらへ歩み寄った。先にダズルに気付いた、ハジメのパートナーのムウマが悪戯に消えたり現れたりしてクククと含み笑いする。ムウマが消えるたびにキョロキョロするブイゼルの頭を軽く撫で、ダズルはそこで初めて、さっきまで建物の影に隠れて見えなかったがハジメが誰かと話していることに気付いた。
 いまだに「一年に5㎝伸びる……予定」を立てているところから何となく予想できるハジメより、ずっと背が高いようだ。それこそ、頭ひとつ分違う。男だし、ハジメの嫌いそうなタイプだと思いながら相手の顔を見た瞬間、ダズルは頭が真っ白になった。
 あの顔を忘れるわけがない。女性に好かれそうで男に嫌われそうな顔だが、この際それは関係ない。問題は、どこでどんな時にあの顔を見たかだ。ダズルは、アプライト作戦の日にユニオンの壁を割って現れたあの顔を忘れてはいない。あの時と服装は違うものの、全体的にどこかキザったらしいのは変わらなかった。
「ハジメ!!」
 気付くと駆け出していたダズルは、咄嗟にハジメと相手――アイスとか言っていたはずだ――の間に立ちはだかった。ダズル、と驚いたように呼ぶハジメの声が背後から聞こえる。正面のアイスは、最初こそ驚いた顔を見せたが、すぐ、にやっと笑った。癇に障る笑い方だ。下から睨まなければならないのがこんなに悔しいなんて、初めてハジメの気持ちがわかった気がする。ダズルの感情に触発されたブイゼルが、足元で毛を逆立ててうなっていた。
「ダズル、帰って来てたの」
「ついさっき。ハジメ、こいつヤミヤミ団だろ? 何でヤミヤミ団と一緒にいるんだよ、何かされたのか?」
「人を変質者みたいに言うなよ、失礼だな。それに元だ、元」
 不快そうな言葉の割りに、顔はにやにや笑っている。ムウマが何故こいつを警戒していないのかがわからない。ずっとハジメにくっついているのだから、ダズル以上にこいつを現場で目撃していてもおかしくないはずなのに、どうして遊んでいられるのか。
「元だろうと何だろうと、ヤミヤミ団に変わりないだろ。何でここにいるんだ、ハジメに何か用か?」
「レンジャーさまがこんな町中でそうヤミヤミ団って連呼するなよ。俺は間違いなく善良な市民だし、同じく他の善良な市民の方々が不安に思うんじゃないか?」
 アイスが善良かはともかく、ダズルは言葉に詰まった。確かにこんな市街地で何か事を起こされたら困るのは自分たちの方で、何もないなら無駄な不安を与えない方がいい。ただでさえレンジャーは目立つし、アイスは別の意味で目立つ。
「そうカリカリしないで欲しいね。僕はお友達のレンジャーさんを見つけたから声をかけていただけだよ? ユニオンはレンジャーの交流まで管理するのかい? それとも、単に君が友達をとられたくないだけかな」
「僕とあんたがいつ友達になったんだよ」
 ダズルが何か言うより先に、ハジメが心底嫌そうに言ったのに少し溜飲が下がった。いちいちアイスの言い方は言葉も態度もどれを取っても腹が立つ。ハジメが不機嫌になるのも無理はない。肩をすくめる仕草がまたキザったらしくて嫌味だ。
「構ってたらキリがない。行こう、ダズル。ユニオンに帰るんだろ? 僕も帰るところだから」
 ダズルの手を引いたハジメに、でも、とアイスに目を向ける。
「あいつ野放しにしてていいのか?」
「へえ。証拠も何もなくても、自分が気に食わないだけで捕まえてくれるのか?」
 挑発するような馬鹿にしたような言い方にダズルが半身を向けると、ハジメに鋭く名前を呼ばれて掴んだ手に力を込められる。ハジメは眉間に皺を寄せたまま、首を左右に振った。
「……レンジャーは現行犯以外を捕縛できない。行こう」
「またな、ドハジメくん。次は邪魔が入らないことを祈ろうぜ」
 ダズルを引きずるように歩き出していたハジメが、ふと足を止める。振り返った耳が怒りで真っ赤に染まり、眉と眦が吊り上がっていた。相当我慢していたらしい。
「“ド”は要らない!」
 鼻息荒くそう吐き捨てると、ハジメは大股でダズルを引きずって行った。
作品名:No Title 作家名:NOAKI