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さみしさの後ろのほう 1~5

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3

結論から言うと、エロ本は無かった。ただ、なんだ。クッションが、問題だった。
なんだ、これ。デフォルメしたキャラクターと、ポエムっていうのか?元気づけるようなフレーズがプリントされていた。
……此所、あいつの部屋だよな?
試しにベッドの下を漁ってみる。すると出て来る出て来る。写真集。ただしいかがわしいのじゃなくて、猫とか、犬とか、小動物の。

か、可愛過ぎるだろ……!
むすっとした顔がデフォルトの帝が見た事も無い笑顔で小動物達と戯れる映像が一瞬脳裏に浮かんで、あまりの破壊力に眩暈がした。

そんな俺を現実に引き戻したのは解錠の音。急いで写真集を隠して死角に逃げるのと同時に帝が部屋に入ってきた。
デスクの上にバッグを置き、椅子にブレザーをかけると、自分の身は乱暴にベッドに投げた。
ほうと溜息を吐いて、再び体を起こして正座する。胸の前にさっきのクッションを抱いて、ぼうっとし始めた。

なんだ、こいつ。こんな可愛い奴だっけ?いつの間にか溜まった唾を飲み下す。まるでその音を聞いたように、帝が振り返った。
目が合う。俺は何も言えなかった。それは帝も同じようで目を大きくしたまま動かない。

「な、なんで……?」
「あ、その、はは」
「見ました、よね?」
「な、何を、だ?」
「っ!で、出て行って下さい!!」

怒鳴られたのと同じぐらいの声量で謝りながら家を飛び出した。
クッションや写真集と言い、怒鳴る時の涙目で睨んできた真っ赤な顔とか、見てはいけないものを見てしまった気分だった。
知らなかった、知らなかった。あんな奴だったんだ。もっと知りたいな、あいつの事。でも、明日からどんな顔をして会えば良いんだ。
なんて考えていた俺がファイルを忘れて来た事に気付くのは帰宅してからの事だった。