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未来のために 5

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ガンダムMkーⅡを巡るティターンズとエゥーゴの戦闘に巻き込まれ、Mk-Ⅱと共にエゥーゴの旗艦“アーガマ”へと来る事になった。
腐敗しきった連邦上層部や、ティターンズの横暴な行いに不満感を持っていたブライトは、特に抵抗する事なく、促されるまま付いて来てしまったのだ。

コックピットから降りたところで、ブライトは自分に向けられた視線に気付く。
顔を上げて周囲を見渡し、視線の主を探す。
そして、その視線の主に気付いた途端、驚いた表情を浮かべ、そのままその人物に向かって駆けだした。
「アムロ!?」
ブライトは自分を見つめる視線の主であるアムロの肩を掴んで叫ぶ。
「アムロ!お前やっぱり生きてたのか!!」
驚くアムロを他所に、ブライトはその身体に思い切り抱きつく。
そして、肩を震わせ何度もアムロの名を呼んだ。
しかし、当のアムロは何が起きたのか分からず、ただ困惑している。
自分を抱き締める見知らぬ男。さっき、この男を見た瞬間、頭が痛んだが、やはり見覚えがない。
「あ、あの。誰かと間違えていませんか?」
腕の中のアムロの言葉に、ブライトが慌ててアムロを離し、その顔を見つめる。
当時よりも年齢を重ね、大人になっているが、赤茶色のくせ毛に琥珀色の瞳、少し童顔なその容貌は間違いなくアムロ・レイだ。
「何を言っている…。俺だ!ブライト・ノアだ」
「ブライト・ノア?」
名前を呟くが、やはり聞き覚えがない。

と、そこに、リックディアスのコックピットからアムロを呼ぶ声がする。
「おーい!レイ!ディアスは何処に格納すればいい?」
「あ、兄さん!おかえり!二番ドックにお願い!」
アムロの言葉に、ブライトが呆然とアムロとロベルトを見つめる。
「…兄さん?」
「あ、はい。兄のロベルトです。俺はメカニックのレイ・ヴェガと言います」
まるで初対面の人間に接するように話し、見知らぬ名を口にするアムロに、ブライトは言葉が出ない。
しかし、アムロが嘘を言っている様にも見えず、困惑する。
「…アムロ・レイじゃ…ないのか?」
「ええ、人違いだと思います。それじゃ、俺は仕事がありますので」
アムロは軽く会釈をすると、ロベルトの元まで跳んでいく。
その後ろ姿を、ブライトはただ呆然と見送る事しか出来なかった。

Mk-Ⅱのコックピットから降りた時、目の前に長年探し続けていた少年の姿を見つけた。
変わらない赤茶色の癖毛に、琥珀色の瞳。
大人へと成長していたが、変わらぬその容貌に、思わず走り出していた。
そして、抱きしめたアムロから発せられた言葉はブライトを驚愕させた。
『あ、あの。誰かと間違えていませんか?』
他人行儀なその声に、思わず抱きしめた身体を離し、その顔を見つめる。
そして、見知らぬ男を兄と呼び、微笑む姿に、唯々意味が解らず目を見開いたまま動けなくなってしまった。
『どういう事だ?アムロじゃないのか?いや、しかしあれはどう見てもアムロだ。間違える筈はない』
呆然とするブライトに、アポリーが声をかける。
「どうかなさいましたか?」
「いや…、あの赤毛のメカニックは…」
ブライトの指差す方向を見てアポリーが答える。
「ああ、レイです。レイ・ヴェガ。若いけど腕のいいメカニックですよ。彼が何か?」
「彼と…ロベルトというパイロットは兄弟なのか?」
「ええ、ロベルトはレイの兄貴です。年が離れているせいかロベルトの奴、凄いブラコンなんですよ」
笑いながら話すアポリーに、ブライトは動揺しながらもアムロとロベルトを目で追う。
「…その…あまり似ていない様だが…」
黒髪にラテン系のロベルトと赤茶色の髪に日系の顔立ちのレイ、兄弟と言うには違いすぎる。
「ああ、血は繋がっていませんからね。レイは昔、ロベルトが拾って来たんです。前の戦争で頭に大怪我して記憶を失ったレイをロベルトが引き取ったんです」
「記憶を…失った?」
「ええ、結構危なかったんですけど、処置が早かったお陰で一命は取り止めたんですが、その後遺症で記憶を失ってしまったんです。」
ブライトはアポリーの話にゴクリと息を飲む。
「…彼を拾ったというのは…一体何処ですか?」
ブライトの問いに、アポリーは少し思案してから答える。
「戦場です。場所は…言えません」
アムロが元連邦の兵士だとこの連邦の軍人が知る事で何かまずい事になるかもしれないと、詳細は伏せることにした。
「…そうですか…前の戦争とは…一年戦争の事ですよね?それだけは教えてくれませんか?」
ブライトの悲痛な表情に、アポリーは少し間をおいて、コクリと頷いた。
「ありがとう」
少しホッとしたような表情で礼を述べるブライトに、アポリーはこの男はレイを知っているのではないかと思う。
しかし、会ったばかりのこの男を全て信用する事は出来ず、それ以上は口を噤んだ。


『間違いない!アムロだ。やっぱり生きていた!』
ブライトは喜ぶと同時に、今のアムロの状況を思い、小さく溜め息を吐く。
『記憶喪失…』
そして、さっき見た三機のリックディアスの内、隊長機と思われる一機の動きを思い出し、唇を噛む。
『あの動き…あれは…赤い彗星の動きだ。アムロは…赤い彗星の元に居たのか!?』
散々探しても見つからなかった戦友。
それがまさか記憶を失い、かつての仇敵と共に居たと知り、ブライトは握った拳に力を込めた。


アポリー中尉に案内され艦橋に上がると、そこにはエゥーゴの最高指導者ブレックス・フォーラ准将と艦長のヘンケン・ベッケナー中佐、リックディアスのパイロットでアムロの義兄であるロベルト・ヴェガ中尉、そしてクワトロ・バジーナ大尉が居た。
実際にシャア・アズナブルの顔は知らないが、妹であるセイラ・マスと似た容姿のクワトロに、ブライトは自身の考えが正しい事を確信する。
「これは!ブライト・ノア大佐!まさか君だったとは!一年戦争であのホワイトベースの艦長を務めた君に会えるとは思っていなかった!歓迎するよ」
ブレックス准将がブライトに握手を求める。
ブライトはそれに応じながら、少し困惑した表情を浮かべる。
「今は2階級降格で少佐です。ブレックス准将、私も貴方にお会いできて光栄です」
「それは…ティターンズへの編入を断ったと聞いたがそのせいか?」
「まぁ…。自分は彼らの行動に賛同出来ませんでしたから」
ブライトのその言葉に、ブレックスが笑顔を浮かべる。
「君には我々と共にエゥーゴとして活動して頂きたい。どうだろうか?」
ブレックスの言葉に、ブライトはチラリとクワトロを見て少し思案する。
「…少し考えさせて下さい。家族の事もありますし…」
そんなブライトにクワトロが少し反応する。
『ブライト・ノア…私に気付いたか。流石はホワイトベースの元艦長…侮れん』
そんなクワトロの心情に気付きつつも、ブレックスはブライトと会話を続ける。
「おお、ご家族は今どこに?」
「ジャブローです。おそらく家内の事なので私の状況に気付けば上手く行動してくれると思いますが…」
「そうか…。しかし我々としても名将を迎えることが出来れば心強い。良い返事を期待している」
「……」
ブライト返答出来ず、ただ、苦笑いを浮かべた。
エゥーゴの活動については耳にしていた。
作品名:未来のために 5 作家名:koyuho