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しょうきち
しょうきち
novelistID. 58099
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冒険の書をあなたに2

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 そこへぽつりと低い声が降ってきた────クラヴィスだ。
「……そう難しい話ではない」
「クラヴィス……?」
「私の執務室に出たときには、あれが我々に近づいたことで魔物はかき消えた。今日は出た瞬間に消えていったようだ……」
 よく思い返して見れば、中庭でジュリアスがいた場所はリュミエールから離れていたことに思い至ったルヴァが、はっとした顔つきでクラヴィスへと視線を投げた。
「物理的な距離が関係していると……?」
 クラヴィスはひとつ頷き、それからおもむろに語り出す。
「単純に考えればな。光のサクリアは魔を寄せ付けぬ一面もあるが……ここへ来てサクリアを強く感じるようになったのも、無関係ではあるまい」
 この世界へ来た当初には弱々しく感じられた光のサクリアが今は強まっているのを、ルヴァもまた感じ取っていた。
 懐から水晶球をそうっと取り出したクラヴィスは、それへ視線を落としたまま言葉を紡ぐ。
「勇者となる者は世界が悪しき力に覆われるときに生まれ来るのだと、魔法使いから聞いた。ならばあの者自身もまた、光の祝福を受け生まれてきたのだろう」
 クラヴィスの視線が水晶球からゆるりと動いた。その先ではティミーが楽し気に話し込んでいる。
「宿命に選ばれるときとはそういうものだ。こちらが望もうが望むまいが関係なく、な……」
必然であると告げたクラヴィスのその言葉は、どこか予言めいた重さを伴って一同の耳に届いた────彼ら自身がとうに選ばれた者たちであったが故に。