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intermezzo ~パッサウ再会篇8

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「同志だという若い男に連れて来られた潜伏先で、ぼくは…虎口を脱して、今度は狼の巣へ足を踏み入れてしまった事をすぐに悟った。その潜伏先は料亭の二階の一室で…、出入り口にはボリシェビキと対立する人間が見張りに立っていた。
ぼくはアレクセイに要請されて助け出されたのではなく…恐らくアレクセイをおびき出す為の人質として囚われたという事を瞬時に理解し…絶望に襲われた。屋敷に残して来たお祖母様たちも心配だったし、身重のぼくが、あの外の見張りを振り切って逃げる事は不可能だ。でも、絶望した一方で、希望も生まれた。ぼくを罠の餌にするという事は…アレクセイは生きている…少なくともまだ死亡が確認されていないという事だから。そうなるとぼくのしなくてはならない事は一つ。アレクセイがぼくの身柄を奪い返しにここへやって来る前に、そして出産日が近づいて動くことができなくなる前に、一刻も早くぼくが単身ここを脱出する事だった。外の様子ー、太陽の出る方角と窓から見えるペトロパブロフスク要塞の位置から今どこに囚われているのかは大体見当はついた。そして外の見張りも、よく観察していると、王党派の正規軍の兵士達と恐らく臨時政府が雇ったのだろう寄せ集めの用心棒たちが1日交代でついている事が分かった。ぼくは隙が多くて、士気の低い用心棒たちの立っている日にここを脱出しようと決めた。ぼくの身の周りの世話と監視の為に毎朝初老の女が部屋にやって来ていたので、ぼくはその女を襲って気絶させ、衣服を取り替え、その女に化けて、その部屋を脱出した。やはり臨時政府の雇った見張りのチェックは甘く、ぼくをチラリとみただけで、いつもの世話役の女だと思ったみたいで無事、その部屋を出ることが出来た。そうしてぼくはゆっくりと1時間ほど歩いて…我が家に…半年ぶりの我が家にたどり着いたんだ。部屋へついて、本当は一刻も早く自分が無事に帰ってきた事をアレクセイに伝えたかったのだけど、緊張の糸が切れて、もう限界だった。ぼくは長椅子に崩れ落ちるように、数日ぶりに深い深い眠りに落ちた」