五文字の伝言
私が愚かであるが故、貴方は死を認めず、生を探し続けるでしょう。
もう其処に〈〈物語〉〉は無いのに。
もう其処に〈〈幻想〉〉さえ無いのに。
貴方はとっても愚かだから、私の死を認めず、生を求め続けるでしょう。
もう其処には〈〈宝石〉〉があるだけなのに。
もう其処には〈〈私〉〉が見えるだけなのに。
もう其処には何もない。あるのは貴方の魂だけ。
私達は貴方に伝えるためのモノであるだけ。其処には貴方しかいない。
死を拒み、生に取りつく、まるで子供の一人遊び。
……そうね貴方はまだ生まれもしない子供だわ。
そんな長い〈〈伝言〉〉では、覚えられないわ。
もう そのままでは貴方が苦しむだけ。
やめて。
いい加減 とっととこちらに来るのよ。
ですから――――
ダカラ―――――
「いい加減にしよう。君達も、そして、僕も。
長すぎたんだ。〈〈物語〉〉を探すには。」
「私は、貴方に訪れなかった生を従える紫陽花の姫。
…そして、偽りの生。」
「私は、貴方に届かなかった死を従える菫の姫。
…そして、仮初の死。」
「「貴方は、生まれてこれない。」」
サァ、生マレテ御出デナサイ。
永遠ヲ偽ル <<冬>>ヨ―――――
貴方は、
“0302 0502 0501 0301 0102”
そして、全てが、薄紫の光に包まれ、消えた。