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星の糸 もう一人のウルトラマンACE (1)

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「恐ろしい革命が起きたのです。自分たちの力が万能であると確信した一部の科学技術者たちは、社会に存在するありとあらゆる身分や差別は不公平だと主張しクーデターを起こしたのです。それも自分たちが製造した超獣たちを使って。多くの主要都市が火の海となって灰となりヤハウェ星は地獄の星と化してしまいました。おかげで多くのヤハウェ星人は死に絶え、生き残った一握りの人々は宇宙を放浪することを余儀なくされたのです。地球人からすれば太古の昔のことですがね」

「それでそのヤハウェ星とあんたは何の関係があるんだ?」

「僕はテロリストたちの子孫が恐れるヤハウェ王家の末裔で王位継承者の資格を有する者。王族の大半は革命時腐敗の象徴として捕らえられ処刑されましたが、ごく少数の王族は脱出に成功しました。それでもテロリストたちは王家に主権を奪還されるのを永久に阻止するため王家の生存者に追っ手を放ちました。僕らは日々ヤハウェ星のテロリストたちとの情報戦を生き抜いてきたのです。僕は今冥王星にあるヤハウェ星コミュニティの出身です」
「それで何故あんたは地球に来た?」

「テロリストたちはヤハウェ星を我が物にすると周辺の星々にも覇を唱え始めたのです。皆が自由で平等な宇宙連邦を築くと謳って。銀河系も侵略しはじめた彼らがヤハウェ星に瓜二つの地球に目をつけるのは当然のこと。僕としては見過ごすわけにもいかず地球の皆さんに是非お知らせしなくてはと思い来た次第です。それにもう一つ目的がありました、これは絶対に果たさなければならないのです。僅かに生き残ったヤハウェ星人たちの悲願であり希望なのですから」

「悲願であり希望?何なんですかそれは…」

「古来からヤハウェ星に伝わる神の預言です。『ヤハウェ星は最大の繁栄を迎えた後、内側からの造反により滅びる。だが王家の末裔である王位継承権を持つ王子が、遠く離れた双子星に逃げ延びた王妃となるべき運命のプリンセスとめぐり逢い心を一つにした時、ヤハウェ星より出る一切の悪は殲滅され宇宙の秩序は回復される。そしてこの新たな王と王妃の下でヤハウェ星は再建されるだろう』と。生き残ったヤハウェ星人はこの預言を心の糧に今日まで生きてきました。そして僕は見つけたんです。預言のプリンセスを。それは南夕子さんあなたです。あなたと僕にはテロリストたちの陰謀を挫き、ヤハウェ星を再建する義務があるんですよ」

「な何を根拠にそんなことを?そんなことを言われても困ります。私には…」そう言いながら私は星司さんの隊員服の袖口をほとんど無意識に掴んだ。

「夕子…」

「北斗さんがいると?でもそれは僕と出会う日までの愛のレッスンだったと思えばいいんです。運命の恋なんて案外実らないものですよ。その運命の相手の次に出会った人と結婚するってこの星でも言うじゃないですか」

「いい加減なことを言わないで!ならば何故昨日はあんなことを言ったの?」

「ああ、あなた方がイエスとマリアのように愛し合いながら引き裂かれるという言葉ですか。僕はそう言ったつもりでしたがあなた上の空で何か勘違いしたんじゃないですかね」

「そんな嘘よ…お願い嘘だと言って」

「嘘?これは使命であり運命です。神が決められた定めなのですよ」

「いい加減にしろ!大人しく聞いていればいい気になりやがって。俺はお前の話を信用したわけじゃないぜ。お前はどこぞの侵略者のエージェントだろ。俺はお前になんか夕子を渡さない!それにあの月の光は何なんだよって聞いたじゃないか!」

「あっそうそうそうでした。月には今冥王星から僕の部下たちが来ていて、今夜にもテロリストたちの地球侵略は開始されると教えてくれたんです。今夜にも彼らは超獣を放ってくると。あなたが見たのはそのテレパシーの信号です。そして超獣を倒すためには北斗さん、あなたの協力も必要です、ウルトラマンエースであるあなたにも。ヤハウェ星の時はウルトラマンエースのような存在がいなかったから超獣を武器とするテロリストたちに思いの儘にされましたが、今度こそは大丈夫です。ヤハウェの神の預言が叶うお膳立ては完璧に整ったのです」と小鳥遊涼平は自信に満ちた表情で語り微笑んだ。

6

「正夢だったって言うのかあの夢が…」

星司さんは絞り出すような声でつぶやいた。そうだわ、星司さんは昨日、私と他の男の人が運命共同体だったと言って地球を去らなければならないという夢を見たって言ってた。それがこの事だったの。でも私は絶対嫌だ、漸く結ばれた星司さんと引き離されて、この人の王妃となってヤハウェ星という遠い星に行かなければならないなんて…誰か教えて!私と星司さんはこの人にどう対応すれば良いの?単に小鳥遊涼平がアンドロメダ銀河にあるヤハウェ星という星の王家の末裔で、ヤハウェ星を造反して我が物にしたというテロリストたちが彼の命をつけ狙いついでに地球を我が物にしようとしていると言うなら私たちは彼の話を素直に信じられるのに。でもヤハウェ星を救うために何故私がやっと掴みかけた自分の夢も人生も犠牲にしなくちゃならないの…こんなの理不尽よ、でもそれは私のエゴだと言うの?正義のために我が身を捧げるのが正しい人生だって言うの?

「夕子、大丈夫か?…」

星司さんは私を心配そうに見つめるとしばらく考え込んだように見えたがやがて意を決したように言った。

「いいだろう。お前の話がもし本当で、お前のいうテロリストたちが地球に超獣を送り込んで地球を侵略しはじめたら、俺はTACの隊員としてウルトラマンエースとして全力で戦う…」

「星司さん?」

「だがな夕子のことは別だぜ。俺は夕子を愛している。お前が想像できないほどに。出会った頃からずっと好きだったんだ。素直になるのに時間はかかったけど俺たちは運命とウルトラマンエースが結び合せた生きる時も死ぬ時も運命を共にする運命共同体という恋人同士なんだ。俺たちは二人で一人のウルトラマンエースだ。その俺たちを引き裂くのか。もしもそれでも夕子をヤハウェ星に連れていきお前の王妃とすると言うなら俺はお前が地球人の味方でも撃ち殺す。俺はヤハウェの神の預言など恐れはしない。預言は預言であってそれを信じている人間が実現するものだからだ。むしろ俺はお前に断言してやる、お前は夕子を俺ほど愛すことはできないし、守ることも幸せにすることもできない」

星司さんはそう言って私を強く抱き寄せた。まるで小鳥遊涼平にあてつけるかのように。