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あの日の夏は海の底 前編

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  それに海からって何?」

 「俺は海の神様だからな!海が俺なんだぞ」

 笑顔で答えるその神様は、優しく笑うカラ松
 にそっくりで顔が熱くなる。

 「ただの露出狂だろ…」

 「そうだな…俺は露出狂だな!
  見るんだ!この俺の肉体美!!!」

 「…」

 「oh…無視はよく無いぜ?」

 アホ面もそっくりだ。
 なんとなく自称神様に親近感がわいて緊張す
 ら解けていた。

 「俺にも名を教えてもらえないだろうか?」

 神様は僕に名前を問いてくる。

 「…一松」

 「一松か…素敵な名前だな!」

 「フヒヒ…何それ」

 神様の言葉に涙を忘れて、顔を綻ばせた。

 「…美しいな…」

 「…は?」

 神様一言呟いくと、僕の頬に手を当てた。
 僕は、恥ずかしくなり目をそらす。
 カラ松と同じ顔でそんなことされたら、照れ
 てしまう。

 「一松!俺はお前の笑顔に一目惚れした!」

 「何言ってんの?!神様はバカなの?!」

 神様の言葉に、困惑してしどろもどろにな
 る。

 「神様じゃなくて、ポセイドンと呼んでくれ
  ないか?」

 「…わかったよ…」

 神様…いや、ポセイドンに押しに押された僕
 は渋々頷いた。

 「一松!明日もここにくるか?」

 犬のように懐いたポセイドンは、嬉しそうに
 質問してくる。
 正直、家にいてカラ松と顔を合わせるのは辛
 いので、なるべく家にはいたくなかった。

 「まぁ…暇だから…来てやってもいいよ」

 「本当か!!良かった!」

 僕の返事に心底嬉しそうなポセイドンを見
 て、なんだか僕の心は暖かくなった。

 「明日からよろしく…ポセイドン」

 僕は柔らかく笑って呟いた。