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はじまりのあの日9 天使様がやって来た

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「あたしはね、キムチラーメンが食べたいです、カイトさん」
「よ~し、作ってあげる。あんまり辛くないのを。やっぱり、麺は茹でておいて外れないね、殿」

いろはちゃんは両手を挙げながら。微笑むカイ兄。ちなみに、二人の手によって『無臭キムチ』が漬け込まれ、常備されている

「やっぱり麺は鉄板だよな、カイト。オリバー、何が食べた~い」

最後、聞く紫様に

「ボクハ、macaroni au gratinガタベタイデフ」

応えたオリバー君。聞き取れなかったカイ兄が

「ん、えっと。マコル、え~っと、殿分かる」

翻訳を頼むと

「マカロニグラタンだな、オリバー。よしよし、カイト、お願いしていいか。和と洋中別れるカンジで」
「まかせて、殿。オリバーくんが好きなジャガイモも、沢山入れてあげるよ~」

通訳し、分担する彼。そこに被せて注文するのは

「神威さん、こちらもお願いしますわ」
「カイ兄、これで何か作ってよ~」

お揃いエプロンを付けた、二人の姉。キャスターを押して来る。発泡スチロール。その中身は、隙間なく詰められたお魚。同様、ダンボールの箱の中はぎっしり野菜。探る兄二人は

「キャベツにキュウリ、お、かぼちゃ発見。瓜繋がりで、これは金糸瓜(糸かぼちゃ)か。水菜もあるね。家庭菜園のトマトもあるし、野菜サラダは確定かな。サニーレタスとヤングコーンは、肉のお供だね。この流れならシチューもいいかも。あの牛肉、ちょっと使ってビーフシチュー作ろうか、殿」

メンバーに聞いてくる。カイ兄、とても楽しそう。ちょうど戻って来たレン、みんなからも、歓喜の声が上がる。テト姉は、使いすぎるなよと釘をさす、が

「独占禁止法って知ってるか重音、お前だけの肉ってわけじゃあないんだぞ。いいな、カイト、サシ(脂身)が少ない肉だ、使えるじゃない。糸瓜(糸かぼちゃ)は、俺がツナ和え作ろう。故郷の定番野菜だ。魚は、お、鱧と穴子。これは、湯引き、蒲焼き、白焼きだな。タイは、松皮造りにしようじゃない。どれも、つまみ、おかずに最適~」

テト姉、釘を差し返される。スチロールの中、氷をどけ、魚を取り出す紫の彼。美味しそうな調理法に、歓声がさらに大きくなる

「じゃあ、お米磨いでおくね、がっくん。定番のカレーも作ろ~よ、カイ兄。さっきのサイコロお肉使って甘いのと辛いの両方。じゃがいも、にんじん、玉ねぎも。まだ、たくさん残ってるじゃな~い」

彼の隣で、閃くわたし。額から閃光が出たかもしれない。土鍋を取り出しながら、彼の口癖を真似てみる。爆笑、彼&メンバー

「ふははは、良いアイディアじゃな~い、リン。お、イカ出てきた。ミクが買ってきた里芋もあったな。これは定番の煮物でいくか。イカと里芋の煮付け。よし、俺は和物と野菜料理担当だな」
「~~っふ。はぁ~。カレー、いいねぇリン。じゃあ、食材分けて、かかろうか、殿。オレ、マンションで作業するよ。洋と中華はオレが引き受けた。誰か手伝って~」

例のフリルエプロンをつける兄。腰巻きエプロン、彼。なんだか、反則的ツーショット

「あ、じゃ~ご飯、多めに炊いて貰ってイイ、リンちゃん。神威のアニキ~、お刺身分けて~」

Mikiちゃん、ピコ君もお揃いのエプロンを着けながら

「あら、カワイイ。でも、なんだか『ご主人様』と呼んでほしくなる格好ね、二人とも。ご飯、沢山炊いてどうするのMiki、あ、お刺身で海鮮丼とか」

めー姉、微笑むそして聞く。返ってきたのは嬉しいサプライズ

「お寿司握るの、メ~コ女王様。うち、お寿司屋さんでバイトしてたんだ。うちが握らないと回らないようなちっさなお店だったけどね。大将の人柄と腕で、人気のお店だったんだ。歓迎会って言えばお寿司でしょっ。まあ、うちが握るのは、不格好なお寿司だけどさ~」
「ええ~、すごいです~、Mikiちゃん。ぼくお寿司大好き~」

ピコ君、瞳が星空のように。メンバーも感嘆の声をあげる

「お願いしようじゃない、Miki。寿司握れるってすごいな。よ~し、別れて動くぞ~、手伝ってくれ、お・ま・え・達~」