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代打の代打
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はじまりのあの日10 歓迎会と思い出

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わたしとレン、同時に叫ぶ。宇宙戦艦の単語で、記憶がリバース。思い出宇宙、16万8千光年彼方から、伝説の船と共に還ってくる。その船の模型、二隻目を、わたしは、腹いせにぶち壊した

「ひっでぇよなリン。高い上に、難しいんだぞっ、あの『宇宙戦艦』作んのってぇ」
「なにさっ。レンだって『同じの買えば良いじゃ~ん』なんてっ。あれ、獲るのすっごく大変なんだよっ」
「コラコラ、ケンカの話しでケンカ始めるんじゃない」

あの日のように、わたし達を止めにかかる紫様。レンと顔を見合わせ

「「っ、はははははっ。子供だったね~、大げんかの理由がおもちゃだもん」」
「今もとってあるよ、あのヌイグルミ。なんか捨てられなくって」
「マジ、おれもだよ『星団決戦後』にアレンジしてさ」

盛大に笑い合う。本当に些細な理由。所詮、子供のケンカなんて―

「あ~でもまぁ、気持ちはわかるす。自分も好きだよ、レン『伝説の宇宙戦艦』カッケエよな~」
「限定のヌイグルミとか弱いよね~、オンナノコ。同じのとか言われたら、怒っちゃうカモ~」

同意してくれる、勇馬兄、めぐ姉。二人の手にはババロア。そう『人』がケンカを始める理由なんて、殆どはクダラナイ。大人も子供も総じて

「拙者モ大切にしている模型が有るデゴザルヨ。世界的に有名な日本ロボットアニメの。Newの方でござる」
「でも、ケンカは宜しくないですよ。皆で仲良くしましょうね。怒る前に、まず話し合いです」
「取っ組み合いなんかしたら、ダメだぞ。テト姉とおにぃ、勇馬なんかがやってるのは『稽古』だからな」

アル兄も頷く。先生、リリ姉は、天使様に注意する。ただ、おそらくはメンバー全員へ向けた言葉

「物よりも思い出か、物あっての思い出か。捨てないで取っておくのも大切じゃない、リン」
「ん、ど~いうこと~がっく~ん」

ふたたび、プリンを食べさせてくれる彼。自分も、揚げ浸しを口に運び、焼酎を流す。わたし、膝の上でお酌する

「あにさま、りんりん。今の流れが全部萌え。もえもえ」
「わかる、カルちゃん。殿とリン、一連の動作がナチュラルすぎ」

目を輝かせるカル姉。眉を下げ、微笑むカイ兄。二人の発言で、話の軌道がそちらへ一度逸れる

「甘えに行く妹をアマヤカス兄。年の離れた兄妹という風情でゴザルナ」
「わかるよ~、アルのダンナ~。でも、ゎたしは『も~一歩』踏み込んだ感があるな~」

アル兄、目尻を下げ、お酒を含みながら。IA姉はソファの上、萌え上がって足をパタパタさせている。そのIA姉の意見に、苦笑しながらキヨテル先生

「IAさん、それは『邪推』というものではありませんか」
「いや~、それはどうかな~センセ」

割って入ったリリ姉、小悪魔スマイルで反論する『もう一歩』がどういう意味合いだったか、今も真意はわからない。IA姉の考えだから、悪い意味じゃないとは思うけど

「一歩踏み込むって何、ど~ゆうこと~」
「妹、好きすぎ、変○シスコン兄貴ってことじゃな~い」

聞くわたしに、答えた彼。誰かが何かを言う前に、自分で道化を演じることで、話題をさらに逸らせたのかもしれない

「え~ひっど~い。がっくん○態じゃないもんっ」
「いや~、そいつは分からないぜ、リンたん」

頬を、これ以上無く膨らませていたであろうわたし。生じた不満を爆ぜさせる。テト姉は悪ノリ。すかさず先生が咳払い。押し黙る

「わっわ、違うよ~ぅ、リンちゃ~ん。もぅ、神威のに~さん、何でそんなコト言うの~。ゎたし、そんな風に思ってないよぅ」

慌てて弁解IA姉。今度は、紫様に向けて不満を言う。わたし同様、頬が膨らんでいる

「ふふふ、IA、発言には気を付けようじゃない。ま、安心して。踏み込んだってのがどんな意味か知らんが、お前はそんなことを考える子じゃない。それは分かってる」

イタズラっぽく笑う彼、IA姉、安堵のため息。そこであがる、無邪気な質問

「変○ってなぁに、氷山先生」
「しすこんて、なんですか、めぐねえさま」

ユキちゃんとリュウト君。もっともな疑問『俺こそ失言だったか』と、片手で顔を覆う彼。しかし

「○態というのは、悪いことをする人の事ですよ。みなさん、気を付けなければいけません。防犯ブザーは忘れずに」

逆に、教訓に置き換える神がかりぶり。キヨテル先生、苦笑い

「シスコンて言うのはね、妹をすっごく可愛がってくれる、良いお兄ちゃんってことだよ。わたしとぽ兄ちゃんみたいに。でもね、変○が付くと、妹をイジメル、悪いお兄ちゃんってことなんだよ」

その見解はいかがなものか、と思うが見事、煙に巻くめぐ姉

「そうなんだ。でもユキ、グミちゃんがうらやましいな。リンちゃんも、ぽ父さんにあまえてるし。ユキにもいるかなぁ、あまえさせてくれる人」

天使様、ユキちゃんの一言で、場の雰囲気が又変わる

「大切だよね、繋がりって。このメンバーとの関係、オレはもう捨てられないな。あ、話し逸れてたけど殿、さっきの話しの続き。捨てるって単語で思い出した」

ウォッカに浮かべたバニラアイス。蕩かしながら堪能カイ兄。話題の軌道を修正する

「ああ、何て言うかさ。今『捨てりゃ楽になる』みたいな風潮あるじゃない。けどさ、ならまず『持ってくるな、集めるな』って、俺は思っちゃうワケ」
「ああ、捨てれば楽になるって、やたら聞くよね、アニキ~」
「でも、捨てられない物たくさんです~」

仲良く、スモモ味の水ようかんを食べる、Mikiちゃんとピコ君。彼の言葉に反応する

「だろう、Miki。ピコ、捨てられないってコトは、集めちゃった、持っちゃったってことじゃない。ハナから、集めてるクセにさ『捨てなさい』なんて、なんだそれ」

一息に、焼酎を飲み干す彼。わたしはお酌する、彼の膝の上で。撫でてくれる、優しい彼。その手の感触が心地良い

「今、レンの『宇宙戦艦』で思い出すみたいにさ。物を観て、思い出す事もある。とっておいたから、思い返すこともある。反省できる事だってあるじゃない、物を観てさ」

みんな、彼の話に聞き入る。ただし、飲食はやめない。そこら辺が、メンバーの人間くささ。そりゃそうか『人』だもん

「『こだわらないほうが楽』なんて、仏様じゃないんだ。俺達にはムリ。神様だって執着するじゃない。そりゃ『ゴミなんたら』みたいな、執着癖まで行ったらどうかとは思うけどさ。大体『捨てる側』って気楽かもだけど『捨てられる側』になったらどう思うよ。ちょっと考えてみようじゃない」

捨てられる側。少し想像してみる。何だかとても恐ろしい

「わ、それこわいよ、ぽ父さん。ユキ、すてられるのやだぁ」
「いやです。すてられたくないです、にいさま」
「ウチは捨てね~よ。ユキも、リューも。センセ~も~」

不安げなユキちゃん、リュウト君。挟まれて座っているリリ姉、二人の肩に手を回す。強く抱き寄せる

「Japanニハ、物にも魂が宿るトイウ考えがアッタデゴザルナ。拙者モ、愛用の万年筆は捨てられんデゴザルヨ。例え、壊れても、デゴザル」
「あ~、お人形の髪がのびのび~とか」

アル兄、顔つきが神妙になる。IA姉、怪談を思い出したのか、やや青ざめる