妖夢の朧な夢日記-aoi
深い深いところで閉じ込められて
その思考の裏は、すべてと繋がっている
考えていることの何もかもは、元を辿れば一本の道
しかし、人と妖は生まれ方が違うのだと
目の前の閉じた瞳が微笑んだ
嬉しいのかはたまた悲しいのか
幸せなのか不幸せなのか
どちらともつかない顔をしていたのだ
そう思えばそうだし、そうと思わなければそうではないかもしれない
なんて、ジェスチャーで言った彼女は
物事に正解なんて存在しないんだ
誰かにとっては正解だし、誰かにとっては不正解
けれど、人と妖の在る所は違うのだと、浮遊者は語り掛けてくる
人は望まれなくても時間の経過で生まれてくるが
妖は人の噂などによって生まれてくる
時間の経過で生まれてきたよく判らないものは
どちらかというと人間なのかもしれないね
そう考えると、心理を統一するのはどうかと思うよ
曖昧な者もいるんだから
ああ、そうだ
自分のような曖昧な者は
そんな定義には合わないのだと思う
例えば
ああ、例えばの話だ
深層心理が種族ごとで違うのだとしよう
違うのだとして
どこに繋がっているんだ
どこを見ればいいんだ
考えてはダメなんだ
考えてはいけないんだ
空想上では保てると思っていたのに
目の前に居る無意識は保っているのに
どうして、どうして保てないのか
種族も
人格も
輪郭も
待って
待ってくれ
目の前がぼやけて―
体にかかる重力で目が覚めた
お腹に載られているのだろう、息が苦しい
謝りつつも起き上がる
―おはよう、剣士さん?
型にはまれということか?
作品名:妖夢の朧な夢日記-aoi 作家名:桜坂夢乃